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代表取締役社長 澤田純の顔写真です。

メッセージ

NTTグループは「Your Value Partner」として、
事業活動を通じてパートナーの皆さまとともに社会的課題の解決をめざします。

新型コロナウイルス感染症拡大による社会・経済の変容

新型コロナウイルス感染症に罹患された方々、そして感染拡大により生活に影響を受けていらっしゃる方々に、心よりお見舞いを申し上げます。

新型コロナウイルス感染症拡大を抑制するための移動制限や生産活動の停止は、今まで当たり前だったヒトやモノの動きを急激に停滞させ、企業の業績悪化、個人消費の減速等、世界経済に大きな打撃を与えています。

この先、私たちの社会・暮らしには大きく2つの変化が起こってくると見ています。一つが、ソーシャルディスタンスの確保を前提としたリモートワールド(分散型社会)であり、もう一つは、ソーシャルディスタンスの確保が、ヒト・モノ・カネの動き・移動を制限してしまうことに伴うグローバリズムの変質です。その結果、これまで世界各地に分散して構築されていたサプライチェーンから、よりローカルを重視したサプライチェーンへの組み替えが起こり、新グローカリズムが台頭してくると考えています。また、こういった世界規模のリスクを踏まえた経済安全保障の強化に向け、エネルギーや食糧の自給・自立の必要性もより一層強まると考えています。

アフターコロナ時代におけるNTTグループの使命

1985年、日本電信電話公社の民営化によって発足したNTTは、設立時から公共性と企業性の双方を使命として求められてきました。新型コロナウイルスの影響等により、経済・社会が大きく変化したとしても、この使命に変わりはありません。社会基盤である通信サービスを、24時間365日安定して提供し続ける指定公共機関としてNTTが果たす責務は一層重要となる一方、一民間企業として利益を持続的に創出していく企業性の実現も重要です。引き続き、公共性と企業性の同時実現という軸を変えることなく、経済・社会の変化に合わせて自己変革を続け、「Your Value Partner」として、事業活動を通じてパートナーの皆さまとともに社会的課題の解決をめざしていきます。

アフターコロナの時代は、これまでの働き方や生活様式が大きく変わり、在宅勤務からエンターテインメントに至るまで、対面しなくても付加価値を高められる遠隔のソリューションが強く求められます。リモートワールドの実現に向け、企業のクラウド移行やデジタル化にあわせたソリューションビジネスの取り組みを加速させるとともに、在宅勤務や遠隔業務等の普及・定着の支援、DX(デジタルトランスフォーメーション)による働き方や業務の変革・生産性向上等を可能にする新サービスの提供等を進めていきます。新サービス戦略の第一弾として、2020年8月にオンラインワークスペース「NeWork」や、非接触会話を実現する「ウインドウトーク」等の提供を発表しましたが、これからも日本発の革新的な技術・製品・サービスの創出に向けて積極的に取り組んでいきます。

また、新グローカリズムの台頭は、国内回帰とあわせ、信頼できる国・企業とのサプライチェーン(トラステッドサプライチェーン)への組み替え等、さまざまな産業に変革をもたらします。産業別・プロセス別にDXを推進し、原材料調達から製造・販売に至るまでのバリューチェーンの生産性向上を支援していく取り組みや、持続可能性・レジリエンスの観点でのエネルギー自給に向けた取り組みも加速させていきます。

DXの推進、スマートシティビジネスの事業展開

NTTグループが手がけるB2B2Xプロジェクト数は、2018年度末の39から74となりました(2020年6月末)。センターBのDXをサポートし、エンドユーザ(X)へ付加価値を提供するというビジネスモデルを、5Gの活用等により、さらに拡大させていきます。

2020年3月に商用開始した5Gサービスについては、2020年6月末時点において全都道府県92都市で整備が完了しました。2021年3月までに全政令指定都市を含む500都市、2022年3月までに基地局2万局の設置をめざし、高速・大容量を実現できる新周波数帯による5Gを積極的に展開していく考えです。医療・教育・製造分野等でのオンライン化やリモート化を支えるサービスや、多くの人手を要している農業や建設業のDX化を推進していくとともに、マルチアングル視聴・XR視聴等の新たな映像視聴体験等、5Gの展開にあわせ、さまざまな付加価値提供をさらに加速させていきます。

2019年12月には、三菱商事と産業バリューチェーンの変革と新たな価値創出を目的とした産業DX推進に関する業務提携を行いました。三菱商事においては産業横断的なICT企業と、NTTにおいてはB2B2Xビジネスにおける広範囲な総合商社との業務提携は、お互いがそれぞれ初の取り組みとなります。三菱商事が長年かけて構築してきた食品流通分野では、小売・メーカー・卸間で分断されている情報や業務プロセスの統合を図ることで、食品バリューチェーン全体の無駄・重複を排除し、効率的かつ最適化された流通のDX化を推進しています。

また、三菱商事とNTTは、在蘭持株会社(出資比率50%:50%)を通じ、HERE Technologies社の株式30%を取得し、位置情報サービスにおいて世界的なリーディングカンパニーである同社の技術基盤を、産業DXにおける中核技術の1つとして活用していきます。

2020年3月には、トヨタ自動車とスマートシティビジネスの事業化に向けて協業していくことを合意しました。価値観を共有し社会の発展をめざすコアなパートナーとして、住民のニーズに応じて進化し続けるスマートシティの実現をめざします。この協業の背景として、スマートシティにて集積されたデータの所有等に関して、自治体等が所有してオープンデータとして提供する考えが両社で一致したことは合意に至った大きな理由の一つです。

今後、静岡県裾野市東富士エリア(Woven City)と東京都港区品川エリア(品川駅前のNTT街区の一部)の再開発を先行ケースとし、その後、連鎖的に国内外含めてスマートシティビジネスの事業展開を図っていく予定です。この協業は、両社で長期的かつ継続的な関係を構築し、スマートシティプラットフォームとして研究開発、企画、設計・構築・実装し、両社が共同でオペレーションを牽引する等、進化し続けるスマートシティの運営を共同推進するため、長期的なパートナーシップの証として、約2,000億円の相互出資を実施しました。

グローバル事業の競争力強化

グローバル事業の競争力強化に向けては、ソリューションから通信基盤までを一元的に提供できる強みを活かし、お客さまのビジネスの進化のサポートと、革新的創造への取り組みを両輪とした施策を進めてきました。One NTTで取り組んでいくための基盤づくりとして、グローバル事業会社NTT Ltd.への統合、海外研究開発法人NTT Research, Inc.の立ち上げ等、さまざまな改革を実施しました。また、米MLB(Major League Baseball)とテクノロジーパートナーシップ契約を締結したほか、NTTグループが冠スポンサーである「インディカー・シリーズ」や、NTT Ltd.がオフィシャルテクノロジーパートナーとなっている「ツール・ド・フランス」等、世界的なスポーツイベントを通じて、NTTブランドの強化も推進してきました。さらに、米ラスベガス市での実証実験・商用化をはじめとしたスマートシティビジネスについては、マレーシア・サイバージャヤ地区における現地ステークホルダーと連携したアジア初の実施検証開始や、米オースティン市や米カリフォルニア大学バークレー校等に展開しており、今後もグローバル展開を拡大させていきます。

あわせて、この1年、業務集約等の構造改革を急速に進めてきました。その成果は徐々に出てきており、新型コロナウイルスによる厳しい事業環境においても、NTT Ltd.は今期黒字化を達成できる見込みです。今後も、構造改革を継続し、高付加価値サービスを提供できる体制に転換していくことで、更なる成長をめざしていきます。

研究開発の強化・グローバル化

NTTは、光を中心とした革新的技術で超大容量・超低遅延・超低消費電力を特徴とした革新的なネットワーク・情報処理基盤の実現をめざすIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想を提唱しています。IOWNは、主に3つの構成要素、ネットワークから端末まで、すべてにフォトニクスベースの技術を導入したAPN(オールフォトニクス・ネットワーク)、あらゆるものをつなぎその制御を実現するCF(コグニティブ・ファウンデーション)、実世界とデジタル世界の掛け合わせによる未来予測等を実現するDTC(デジタル・ツイン・コンピューティング)から構成されています。この構想の根幹となる光技術の分野において、NTTは世界初・世界一の成果を継続的に創出しており、また、光技術については、日本の通信IT産業が活躍できる余地が大きく、これにより現在の状況をゲームチェンジしていきます。

IOWN構想の実現に向けては、世界中の先端企業や組織と連携して進めていくことが重要であり、2020年1月には、オープンに議論を行うことができるIOWN Global Forumを米Intel・SONYとともに設立しました。次世代インフラの標準化等を多くのパートナーと協調して進めることで、新たなサービス・新マーケットを創出していきたいと考えています。

そのIOWN構想における光関連技術の適用を想定した取り組みの一つとして、革新的な環境エネルギー技術の研究開発等も推進しています。人類初の核融合実験炉を実現しようとするITER機構(イーター国際核融合エネルギー機構)と、日本の民間企業として初めて包括連携協定を締結しました。核融合炉と制御センター間を超高速・超低遅延で接続するネットワーク技術の開発や、膨大な演算処理を必要とする核融合制御シミュレーションに用いるための、デジタル・ツイン・コンピューティングを活用したサイバー空間上での高度な演算技術の開発に、IOWNの技術の適用を検討していく考えです。核融合という革新的なクリーンエネルギーの創出に向け、情報流通基盤や制御基盤整備の技術的貢献を推進していきます。

また、デジタル・ツイン・コンピューティングを支える基盤として、ヒト・モノ・コトのセンシングデータを、リアルタイムに高精度空間情報に精緻に統合し、多様な産業基盤とのデータの融合や未来予測を可能にする4Dデジタル基盤の研究開発に着手しました。地図情報の収集・管理能力、地図制作に関する豊富なノウハウ等を有するゼンリンとの協業を通じ、NTTグループの高精度測位技術、高精度な地図整備・インフラ維持管理のノウハウを活用し、高精度で豊富な意味情報を持つ「高度地理空間情報データベース」を共同構築しています。4Dデジタル基盤がさまざまな産業分野の基盤として活用されることを通じて、新たなビジネスの拡大につなげていくことを期待しています。

さらに、2020年6月にはNECとの革新的光・無線技術を活用したICT製品の共同研究開発およびグローバル展開における提携を発表しました。目的は大きく2つあり、1つ目はIOWN構想の実現です。NECとの共同開発により、デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサであるDSP(デジタルシグナルプロセッサ、小型光集積回路)を高性能化・低電力化し、それを組み込んだ情報通信機器の開発・販売をまずは実現します。中長期的には、光/無線デバイス、光伝送システムの大容量化にも連携して取り組んでいきたいと考えています。2つ目の目的は、NECとオープンアーキテクチャであるO-RAN(Open Radio Access Network)を牽引することです。国際競争力のある製品をNECと開発し、グローバルに展開することで、通信事業者が5G等のネットワークを柔軟に構築できる環境を整えたいと考えています。共同研究開発領域は多岐にわたり、中長期での研究開発が必要です。長期にわたって互いにメリットを享受できる良好な協業関係の構築が必要であることなどから、NEC株式の4.8%(約645億円)を取得しました。

持続的な企業価値向上に向けて

NTTは企業性と公共性の双方を求められる企業であり、他社よりも強く、社会の公器との位置づけにあります。言い換えれば、社会への貢献が私たちの企業価値の向上と等価ということです。ESG経営の推進は、NTTにとって、これまでも、これからも命題であり続けます。私たちは、さまざまな施策を通じて、世の中の変化に先んじて取り組んでいく考えです。

環境(E)については、2020年5月、環境エネルギービジョンとして、お客さま・企業・社会の環境負荷低減へ貢献する「環境負荷ゼロ」を制定しました。NTTグループは、日本の商用消費電力の1%近くを消費している会社です。まずは、自らの再生可能エネルギー利用を2030年度までに30%以上へと押し上げ、グリーン電力の推進を図っていきます。また、他の企業にもこの再生可能エネルギーを提供していきたいと考えています。我々と志を同じにする企業が増えていけば、日本の再生可能エネルギー率、エネルギーの国内自給率が上がっていきます。再生可能エネルギーの取り組みは、ESGの観点ももちろんですが、社会や経済のサステナビリティにもつながっていくものと考えています。さらに、気候変動イニシアティブへの参加、TCFDへの賛同、グリーンボンドの発行等、環境関連のさまざまな活動も推進しています。2020年7月には、革新的な環境エネルギー技術の創出をめざし、新たに宇宙環境エネルギー研究所を設立しました。スマートエネルギー分野等において、既存の限界を打破するイノベーションを創出し、地球環境の再生と持続可能かつ包摂的な社会の実現をめざします。

社会(S)については、まさにICTサービスを絶え間なく提供するという事業そのものが社会的責務です。昨今、台風や大雨等の大規模な災害影響が多発しています。通信設備やサービスへの影響は増大し、復旧が長期化していることを踏まえ、停電対策等の設備の強靭化、AIを活用した被害想定による復旧対応の迅速化等に取り組んでいます。

2020年9月に、KDDIと社会貢献協定を締結し、大規模災害時の船舶を利用した物資運搬協力や、災害対応の訓練・啓発活動における相互協力を開始しました。両社のアセットを活用することでより大きな効果が期待できる分野について協力し、さまざまな社会課題の解決に向けて取り組んでいきます。

自然災害以外の脅威として、アフターコロナ時代には、継続的な事業運営のためのセキュリティの確保はより一層重要になります。在宅勤務や遠隔業務等が急速に拡がっていくなか、サイバー攻撃のようなあらゆる脅威に対応し、自らの事業のみならず、お客さまの事業継続においても、これまで以上に支援するため、さまざまなサービスを提供していきます。

また、自らを変革していくには、多様な人材の活用が欠かせません。2019年12月には障がい者の活躍推進に取り組む国際イニシアティブ「The Valuable 500」に加盟するなど、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みも引き続き推進しています。その取り組みの一例として、当社の受付に、遠隔操作型分身ロボット「OriHime-D」を活用した来訪者対応を導入しています。外出が困難な障がいのある方が、このロボットを遠隔操作し、応接室までの先導や問い合わせ対応等を行っています。こういったリモートワールドに対応した新しい働き方を実現するために、DXを通じた業務プロセスの抜本的見直し、そして在宅勤務をスタンダードとした働き方をグループ全体に浸透させ、推進していく考えです。

ガバナンス(G)については、企業価値向上に資するための更なる強化を行っています。具体的には、取締役会における戦略的議論の更なる活性化のため、取締役会の運営・規模・構成の見直しを行い、社外取締役比率を50%にするとともに、執行役員制度を導入し、経営に関する決定・監督の機能と業務執行の機能を明確に分離しました。コーポレート・ガバナンスをより強化し、経営の機動力の向上を図っていきます。

新型コロナウイルス感染症拡大の状況下では、通信サービスの安定提供に加え、お支払期限の延長や一部サービスの無償提供といったお客さま支援策を行うなど、あらゆるステークホルダーの皆さまに配慮したさまざまな取り組みを実施しています。

NTTグループは、「Your Value Partner」として、自己変革を加速し、お客さま、株主の皆さま、パートナーの皆さま、地域社会といったステークホルダーの皆さま方に、引き続き信頼され続ける存在となることで、持続的な企業価値向上とSmart Worldの実現に貢献できるよう、全力を尽くしていきます。

代表取締役社長
澤田 純

澤田純