2017年3月 6日
2016年12月、ITU-T SG12は、アダプティブビットレート映像配信サービス(ネットワークの状態に応じて配信の調整を行う映像配信サービス)に対し、エンドユーザが体感する品質を推定するアルゴリズムについて記載した勧告P.1203を承認しました。この勧告は、サービス提供中の品質監視に適用可能であり、高品質なアダプティブビットレート映像配信サービスの開発に貢献します。サービスプロバイダやネットワーク事業者は、勧告P.1203を利用することによってエンドユーザの体感する品質を監視し、目標の品質に届かない場合にこれまで以上に適切な措置を講ずることができるようになります。
勧告P.1203は、ITUに候補となるアルゴリズムを提案した7社(機関)により共同で作成されました:Deutsche Telekom AG(Ilmenau University of Technology)、Ericsson AB、Huawei Technologies Co., Ltd.、NETSCOUT SYSTEMS, Inc.、NTTネットワーク基盤技術研究所、OPTICOM Dipl.-Ing. M. Keyhl GmbH、SwissQual AG / Rohde&Schwarz GmbH & Co. KG。
映像配信は今日最も多く利用されているインターネットサービスの1つであり、利用可能帯域幅の変動に応じて配信ビットレートの調整を行う、アダプティブビットレート配信がよく用いられています。これは、帯域幅が干渉やエンドユーザの動作によって変化するモバイル環境の場合に特に重要です。ビットレートの最適化によって、再生停止のない配信が可能となりつつありますが、エンドユーザの利便性を阻害するような、音響・映像の品質変動も依然発生しています。
今回標準化された勧告P.1203は、「音響・映像の短時間の品質を推定する機能」と、それらをまとめ「音響・映像全体の品質として統合する機能」で構成されています。統合機能では、映像および音響の品質推定から得られた短時間の品質値をもとに長時間の品質推定にまとめるほか、再生停止(フリーズ)の影響も含めて評価します。さらに、さまざまなレベルの暗号化や計算量に対応した多様なモードについても記載されています。
7機関が提案したアルゴリズムに対し多くのユーザ体感品質データを使用した検証が行われ、性能が優れていた複数のアルゴリズムが最終的に1つにまとめられ、標準化されました。
現在、勧告P.1203はH.264/AVCでエンコードされた映像(HD画像)までのアダプティブビットレート映像配信サービスに対応していますが、今後ITU-Tでは、H.264/AVC、H.265/HEVCおよびVP9でエンコードされた高精細映像(4K/UHD映像)までを対象とすべく、本標準を改訂する予定です。
勧告P.1203に関するより詳細な情報は、<http://newslog.itu.int/archives/1477>をご覧ください。
国際電気通信連合電気通信標準化部門(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector:ITU-T)は、ITUの3部門の1つ。ITU-Tの研究委員会12(Study Group 12:SG12)は、テキスト、データ、音声、およびマルチメディアアプリケーションに対するユーザの知覚品質・受容度の点から見た、端末やネットワークのエンドツーエンドの伝送性能に関する勧告を担当している。
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