検索パネルを開く 検索パネルを閉じる メニューを開く メニューを閉じる

2018年2月14日

5Gモバイルシステムと連携する低遅延光アクセス技術を開発・実証 ~基地局の効率的な収容・運用をめざして~

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦 博夫、以下、NTT)は、第5世代以降のモバイルシステムの普及期において、基地局の収容に必要な光ファイバ数の削減に貢献できる低遅延光アクセス技術を開発し、モバイルシステムと連携した光アクセスシステムの実証実験に成功しました。

本技術は、宅内のインターネット利用などで広く普及している光アクセスシステムをモバイルシステムへ適用する場合に課題となっていたデータ送信時の遅延時間を短縮します。具体的には、NTTビルなどに設置する光集約装置と基地局集約装置間の信号制御を連携させることにより低遅延化を実現します。

本技術により、光アクセスシステムをモバイルシステムへ適用する際の課題の1つが解決されることとなり、基地局とNTTビルなどを結ぶ光ファイバを集約することで、基地局収容に必要な光ファイバ数削減、基地局集約装置のポート数削減が可能となるなど、効率的な基地局運用に貢献できると考えています。標準化団体であるITU-T*1において、本技術について詳細化の議論も始まりました。

今後も、広くモバイル事業者の効率的なネットワーク構築を支援するための研究開発を進めていきます。

本技術は、2月22日・23日に開催する「NTT R&Dフォーラム2018」「https://labevent.ecl.ntt.co.jp/forum2018/info/当該ページを別ウィンドウで開きます)にて展示します。

背景

現在、高速、大容量、低遅延のモバイルサービスを実現するため、第5世代モバイルシステム(以下、5Gモバイルシステム)に関する研究開発が進められています。現在のモバイルシステムではNTTビルなどに設置された基地局集約装置と鉄塔やビルの屋上などに設置された基地局の間が光ファイバで接続されています。

5Gモバイルシステムでは高速、大容量の無線通信の実現に向けて、これまで使われていなかった新しい周波数帯の電波を使用するため、従来よりも多くの基地局を設置する必要が出てきます。基地局数の増加に伴い基地局集約装置と基地局を接続する光ファイバの数も増えることが予想され、基地局集約装置に必要なポート数も増大するなど故障対応・メンテナンスなど運用が複雑化することが懸念されています。そのため、多数の基地局が必要となる5Gの普及期には、基地局を効率的に収容、運用することが求められていくと考えられています。

研究内容・成果

今回NTTは、加入者の光宅内装置とNTTビルの光集約装置の間を接続する光ファイバ通信(FTTH(Fiber to the Home)サービス)に使用されている光アクセスシステムを5Gモバイルシステムに活用するための低遅延光アクセス技術を開発しました。(図1)

図1 モバイルシステムにおける光アクセスシステムの活用 図1 モバイルシステムにおける光アクセスシステムの活用

従来の光アクセスシステムをモバイルシステムに適用しようとする場合、データ送信に遅延が生じ、5Gの低遅延要求を満たせないという課題がありました。今回開発した低遅延光アクセス技術は、光アクセスシステムの光集約装置とモバイルシステムの基地局集約装置の信号制御を連携させることで光アクセスシステムの低遅延化を実現します。

従来の光アクセスシステムを用いた場合では、ユーザ端末からデータを送信すると、送信されたデータが光宅内装置に入力された後、光宅内装置が光集約装置に送信データ量を通知し、送信許可を受けた後に初めて光集約装置にデータを送信しています。このように、光宅内装置からデータが送信されるまでに、送信データ量の通知と送信許可を受けるまでの時間がかかるため遅延が大きく、これが5Gモバイルシステムの低遅延要求を満たせない原因となっています。

一方で、今回実証実験に成功した低遅延光アクセス技術を適用した場合では、基地局集約装置からユーザ端末の送信データ量を光集約装置に事前通知します。この事前通知が可能なのは、基地局集約装置がユーザ端末の送信データ量をユーザ端末から事前に通知されているためです。このように光アクセスシステムとモバイルシステムを連携させることにより、従来の光アクセスシステムにおける送信データ量通知と送信許可が往復する手順を省くことで光アクセスシステムの低遅延化を実現します。(図2)

図2 低遅延光アクセス技術 図2 低遅延光アクセス技術

今後の展開

今後も、広くモバイル事業者の効率的なネットワーク構築を支援するための研究開発を進めていきます。また、モバイルシステムと光アクセスシステムの連携に関して、世界各国の電気通信事業者および通信装置ベンダなどとのグローバルな議論・検討を続け、標準化に向けた取り組みを進めていきます。

用語解説

※1 ITU-T (International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)
ITUは国連の一機関であり、ITU-Tは電気通信の標準化を行っている。

本件に関するお問い合わせ先

NTT情報ネットワーク総合研究所

企画部 広報担当
TEL:0422-59-3663
Email:inlg-pr-pb-ml@hco.ntt.co.jp

Innovative R&D by NTT NTTのR&D活動を「ロゴ」として表現しました

ニュースリリースに記載している情報は、発表日時点のものです。
現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。