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2018年11月19日

一般財団法人ケケン試験認証センター
日本電信電話株式会社

科学的産地推定技術を取り入れたカシミヤ品質検査システムの実証実験を開始 ~レーザガスセンシング技術を利用したカシミヤ産地推定システムの実用性検証~

一般財団法人ケケン試験認証センター(本部:東京都文京区:代表者 本所寛)と日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区:代表取締役社長 澤田純、以下: NTT)は、科学的に産地を推定する工程を取り入れたカシミヤの品質検査システムに関する実証実験を12月より開始致します。
 両社は、主要産地で採毛したカシミヤ原毛の安定同位体比分析*1を、NTTが保有する高性能レーザを用いたガスセンシング技術*2の利用と前処理法の工夫により、安定して高精度に行えるようにし、安定同位体比と産地の相関関係を明らかにしました。本実験では、実際の品質検査工程の中で、従来の光学顕微鏡による目視検査に加え安定同位体比分析を行い、あらかじめ産地情報と関連付けて蓄積されているデータと照合することにより、カシミヤの産地を科学的に推定します。市場に流通しているカシミヤ製品を対象に産地推定を行い、表示産地と比較することで、参照データとして必要な蓄積データ数や推定精度など、産地推定システムの実用性を検証し、2019年夏以降のサービス化をめざします。

研究の背景(および役割分担)

近年、グローバル化が進む中、国内市場において、高級獣毛であるカシミヤ製品を、様々な流通経路から手ごろな値段で手に入れられるようになりました。反面、品質低下の懸念から、多くのアパレル企業や販売店では、消費者に安心して商品を購入して頂けるよう、正しく品質表示されているか、厳しい品質検査がされております。また、カシミヤ原産国では、消費者へ安心して高品質な製品を供給するだけでなく、ブランド化による生産者保護につながるトレーサビリティが確保された管理体制作りが始まっています。文書情報による管理と科学的な品質検査が実施される中で、従来の光学顕微鏡検査による外見の特徴からでは、産地を推定することは不可能でした。
 本実験では、NTTの保有する安定同位体比分析技術により、カシミヤに含まれる元素の安定同位体比を安定して高精度な分析を行い、あらかじめ産地情報(地理情報や、飼育情報含む)と関連付けて蓄積された安定同位体比データと照合することで、産地を推定します。産地推定精度を定量的に評価することで、必要な蓄積データ数や産地推定アルゴリズムの有効性を明らかにし、品質検査過程に科学的な産地推定工程を取り入れたシステムの実用性の評価をおこないます。

役割分担は、以下となります。

一般財団法人ケケン試験認証センター:

  • カシミヤの検査サンプル提供
  • 安定同位体比分析から推定される産地候補から光学顕微鏡検査により最終的な産地を推定

NTT:

  • レーザガスセンシング技術*2を利用したカシミヤの安定同位体比分析
  • 安定同位体比データと蓄積データの照合による産地推定

研究の概要

カシミヤを燃焼し、カシミヤに含まれる元素を、水蒸気(H2O)や二酸化炭素(CO2)等のガス(気体)にします。これに高性能な半導体レーザ光を照射し、同位体の違いによる僅かな吸収波長の差やその吸収量をモニタリングすることで、ガスに含まれる元素を同位体レベルで分析することができます。カシミヤに含まれる元素の安定同位体比を安定して高精度に分析することを可能にしました。このレーザガスセンシング技術を用いて、カシミヤに含まれる元素の安定同位体比とカシミヤ山羊の生育地や飼育環境に相関関係があることを明らかにしました。産地情報と関連付けた科学的なデータベースを構築し、従来の光学顕微鏡検査と併せた産地推定アルゴリズムを用いて産地を推定します。

今後の展開

今後は、引き続き、産地の確実なカシミヤ原毛の採集を行い、蓄積データの拡充を図り、データ処理による産地推定の精度を向上します。海外の牧場(原産地)から消費者までの流通過程において、商品に対する信頼性向上につながる検査システムの構築を目指します。IoT技術を利用した、産地や品質等、商品の履歴が保証されたトレーサビリティが確保された高度な品質管理体制を通して、海外のブランド地区の生産者を保護すると共に、アパレル企業や販売店が、品質が保証されたカシミヤ製品を消費者に提供できるよう積極的に取り組んでいきます。

図1:実証実験の流れ 図1:実証実験の流れ

用語解説

※1:「安定同位体の分析」
水素や酸素など同じ元素でも、同位体と呼ばれる質量数(原子の重さ)の異なる原子が存在します。動植物が取り込む安定同位体の比率は、地域等によって異なることが知られており、その比率を正確に調べることで産地推定等に利用されています。

※2:レーザガスセンシング技術」
ガスにレーザ光を照射すると、ガスによる光吸収が生じます。吸収波長と吸収量を調べることで、ガスの種類や濃度を調べる技術です。NTTが光通信分野で開発した高性能なレーザ光源を利用することで、高感度、高分解能な分析が可能です。 URL:https://www.youtube.com/watch?v=qHMQsBvhvYc (別ウインドウが開きます)

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先
一般財団法人ケケン試験認証センター
業務部 TEL:03-5817-8230
E-Mail:honjo@jwif.org

日本電信電話株式会社
先端技術総合研究所 企画部 情報戦略担当
TEL:046-240-5157
E-Mail:science_coretech-pr-ml@hco.ntt.co.jp

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企業・一般の方のお問い合わせ先
一般財団法人ケケン試験認証センター
獣毛総合研究所
担当:丸茂
TEL:0586-45-9887
E-Mail:marumo@jwif.org

日本電信電話株式会社
デバイスイノベーションセンタ 企画部
担当:近藤
TEL:046-240-2449

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