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2021年11月25日

お知らせ

量子計算機に対しても安全な電子署名技術を新たに開発

量子計算機の進展により、現在利用されている主要な公開鍵暗号技術(電子署名技術や鍵交換技術を含む)の安全性が損なわれることが知られています。NTTは、東京大学、九州大学と共同で、量子計算機に対しても安全な電子署名技術を新たに開発し、従来方式と比較して、安全性を損なうことなく公開鍵(署名を検証するための鍵)のサイズを大幅に削減することに成功しました。

本技術は、NTTサービスイノベーション総合研究所 社会情報研究所 清村優太郎研究員、東京大学、九州大学の共同提案方式で、国際暗号学会主催の難関国際会議Asiacrypt2021に採択されました。2021年12月6日~10日にオンラインで開催の会議にて発表予定です。

量子計算機に対しても安全な電子署名技術は、量子計算機でも現実的な時間で解くことが難しいと考えられている計算問題に基づいて設計されます。その中で、署名サイズが小さいことが特徴である、多変数多項式問題に基づく方式は、公開鍵サイズが大きいことが実用上の課題でした。

今回開発した多変数多項式問題に基づく方式は、数学的な構造を用いることを特徴とし、この特徴を活かして公開鍵を圧縮し、公開鍵サイズを削減することに成功しました。実用上では安全性が十分に高いパラメータにおいて、従来方式よりも公開鍵のサイズを約66%削減できました。本方式を用いることにより、安全かつ通信負荷が小さい暗号通信の実現が期待できます。

アメリカ国立標準技術研究所 NIST(National Institute of Standards and Technology)は、量子計算機に対しても安全な公開鍵暗号技術に関して、標準化技術のコンペティションを行っており、2024年ごろの標準化方式決定を目指して選考を行っております。電子署名技術は追加募集が予定されており、本方式を応募し、標準化方式への採択を目指します。

NTT社会情報研究所は引き続き、暗号技術の研究開発を通じて、安心・安全なサービスの実現に貢献してまいります。

【参考】

発表学会:

Asiacrypt2021 https://asiacrypt.iacr.org/2021/当該ページを別ウィンドウで開きます

タイトル:

A New Variant of Unbalanced Oil and Vinegar Using Quotient Ring: QR-UOV

著者:

Hiroki Furue, Yasuhiko Ikematsu, Yutaro Kiyomura, Tsuyoshi Takagi

トピックスに記載している情報は、発表日時点のものです。
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