2022年4月 8日
NTT先端技術総合研究所物性科学基礎研究所の武居弘樹上席特別研究員が、令和4年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰の科学技術賞の受賞者に選ばれ、NTT先端技術総合研究所物性科学基礎研究所の東浩司特別研究員、先端集積デバイス研究所の長谷宗彦特別研究員が同表彰の若手科学者賞の受賞者に、それぞれ選ばれました。
武居氏は、光ファイバ通信に用いられる1.5μm波長帯において、光の量子性を用いて情報通信・情報処理を高度化するための基礎技術を創出し、量子光学と光通信を結ぶ分野を開拓しました。本研究により、光導波路素子中の光パラメトリック増幅を用いた量子もつれ光子対の発生、単一光子周波数変換に基づく量子インターフェース、光ファイバ上での長距離、高速量子暗号などの光通信波長帯における量子光学・通信技術を実証した点、および光パラメトリック発振器群を用いて組合せ最適化問題を高速に解く計算機、コヒーレントイジングマシンを実現した点が評価されました。
東氏は、理論上最適な「遠隔非破壊パリティ測定」を提案し、この測定だけで量子中継が実現できることを示しました。また分野に存在した物質量子メモリ必須説を覆し、光デバイスだけで動作する「全光量子中継」を提唱し、加えて量子鍵配送の通信可能距離を倍にする「全光都市間量子鍵配送」の提案とともに、任意の量子ネットワーク上で動作する並列化量子中継方式を提案し、それが光ファイバネットワークの量子・秘匿通信容量に到達することを示した点が評価されました。
長谷氏は、InP 系ヘテロ接合バイポーラトランジスタ技術がデジタル/アナログ変換回路の速度性能改善に優位であることに着目し、世界に先駆けて本技術を導入すると共に、高速動作に適した回路の提案によって世界最広の帯域性能を実現しました。更に、新しい速度性能拡張技術を提案・実証し、帯域性能を人類未踏の110GHz 超まで飛躍的に向上した点が評価されました。
科学技術分野の文部科学大臣表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進などにおいて顕著な成果を収めた者を顕彰しており、科学技術賞は、わが国の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与し、実際に利活用されている画期的な研究開発を行った研究者個人に与えられ、若手科学者賞は萌芽的な研究、独創的視点に立った研究など、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた若手研究者個人に与えられます。
<科学技術賞>光通信波長帯量子光学と情報処理への応用に関する研究
<若手科学者賞>量子インターネットに向けた量子中継の理論的研究
<若手科学者賞>化合物半導体による超高速デジタル/アナログ変換回路の研究
令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について(文部科学省)
武居弘樹上席特別研究員の紹介
https://www.rd.ntt/organization/researcher/superior/s_009.html
東浩司特別研究員の紹介
https://www.rd.ntt/organization/researcher/special/s_001.html
長谷宗彦特別研究員の紹介
https://www.rd.ntt/organization/researcher/special/s_024.html
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