2023年5月17日~20日(米国太平洋時間)にオンライン・オンサイトハイブリッド形式にて開催される、情報通信分野の国際会議IEEE INFOCOM(IEEE International Conference on Computer Communications) 2023にて、NTTの研究所より提出された以下の2件の論文が採択されました。INFOCOMの論文採択率は19.2%(1312件の応募から252件採択)と、難関国際会議として知られています。
(以下、NTTコミュニケーション科学基礎研究所はCS研、NTT未来ねっと研究所は未来研と略します)
- ■A Fast and Exact Evaluation Algorithm for the Expected Number of Connected Nodes: an Enhanced Network Reliability Measure
- 中村 健吾 研究員(CS研)、井上 武 特別研究員(未来研)、西野 正彬 特別研究員(CS研)、安田 宜仁 主幹研究員(CS研)、湊 真一 教授(京都大学)
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災害や故障に対してもネットワークは頑健であることが求められます。そのため、ネットワークの頑健さを正確な数値によって評価することが必要です。本論文ではネットワークにおいて故障が確率的に起こると想定した場合の、接続ノード対の数の期待値を求める問題を取り扱いました。従来の研究は主に所定のノード間の接続確率だけを計算対象としており、故障の影響規模は計算が困難だと考えられていました。提案法では効率的な動的計画法により、700ノード超のネットワークについても10秒未満で計算できることを示しました。
- ■Cost-Effective Live Expansion of Three-Stage Switching Networks without Blocking or Connection Rearrangement
- 井上 武 特別研究員(未来研)、間野 暢 主任研究員(未来研)、宇野 毅明 教授(国立情報学研究所)
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近年、優れた伝送容量や電力効率により、データセンタにおいても光ネットワークが注目されています。しかしながら、光ネットワークは回線交換ネットワークであるため、拡張時には既存の通信を中断する、もしくは中断を避けるための大規模な初期投資を必要とするなど、実用的な拡張手法が確立されていないという課題がありました。
本論文では、すべてのリンクが使われる前に未使用リンクを再配線して新たなスイッチを増設していく拡張手法を提案し、数値実験により段階的かつ大きな初期投資なしでの大規模拡張が可能であることを示しました。
NTTのR&Dは、環境にやさしい持続的な成長、多様性に寛容な個と全体の最適化を狙う未来のコミュニケーション基盤であるIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想を掲げ、その実現に向けた研究開発を進めてまいります。また、それとともに、今後も研究テーマの多様性・継続性を大切に、NTTグループの各事業会社をはじめ、さまざまな分野の産業界の方々と一緒に、さまざまな社会的課題を解決し、人々が意識することなく技術の恩恵を受けることができるスマートな世界の実現をめざし、世界を変革する技術の研究開発を続けていきます。