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2023年6月26日

30回目のInterop Tokyo 2023と商用サービスを開始したIOWN

2023年6月14日(水)〜16日(金)、幕張メッセにおいてInterop Tokyo 2023が開催されました。Interop Tokyoは最新のICTとそのソリューションを体感することができるインターネットテクノロジーのイベント。1994年に日本初開催され、今回は記念すべき30回目の開催となりました。毎年国内外から数百の企業・団体が参加し、技術動向とビジネス活用のトレンドを、会場でのデモンストレーションやセミナーを通じて紹介。国内のインターネットや技術革新の歴史とともに歩んできたイベントの模様をお伝えします。

1)基調講演「世界の状況とIOWNのこれから」

NTT 代表取締役会長 澤田 純

画像:1)基調講演「世界の状況とIOWNのこれから」

第1回目のInteropが開催された1994年ごろ、NTTではマルチメディア基本構想を掲げ、さまざまなマスメディアの実験を行っていました。NTT内でもインターネットという言葉を理解していない人が大半で、1人が1台のパソコンを持つ時代が来ると信じる人も多くはありませんでした。しかしこの30年で、当たり前のように1人1台以上のデバイスを所有する時代となり、データ通信速度は50万倍になりました。

2023年2月にNTTが取り組んでいるIOWNのネットワーク、All Photonics Network(APN)を利用した実験的なクラシックコンサートを開催しました。オーケストラの演者の方々が東京、神奈川、千葉、大阪の会場に分散しそれぞれの音をAPNで共有、約500km離れた場所で同時に演奏するというものです。演者の方にお話をうかがっても、APNでは遅延はまったく感じず、全員が同じ場所で演奏しているような体験だったとおっしゃっていただけました。

このように人間の感覚ではほとんど感知できない遅延のレベルを持つAPNは、分散化された工場をリモートで動かすスマートファクトリーや、一瞬の遅延も許されないeスポーツの舞台などで非常に有効であると言うことができます。またデータセンター同士のネットワークや、データセンター内のインナーネットワークにおいても非常に大きな可能性があると考えています。またAPNは2025年に開催される関西大阪万博で、NTT関連のブースばかりでなく、会場全体への導入も予定されています。その時期をターゲットとして東京大阪間、ゆくゆくは主要都市間を結ぶことをめざしています。

世界の人口がピークを迎え、エネルギー問題について真剣に向き合わなければいけない時代には、最大幸福という、いろんな立場の人々の幸せを集めて、その最大値をもっとも大きくしていくような世界をみんなが認識する必要があります。諸般の事情で外出が困難な人には、ロボットとIOWNの力を使って社会に参加することができるようになるかもしれません。NTTが掲げる「Self as We」という考え方は、デジタルが発展していくなかで、人間や人間社会の関係性、ありかたと言うものを考えていく必要があると世の中に投げかけています。

NTTはもう一度ゲームチェンジを行い、日本発の世界に広がるような基盤サービスや事業の構築を、みなさんと一緒に挑戦していきたいと考えています。

Self as We については、NTTが考える持続可能な社会~Self as We~
https://group.ntt/jp/csr/selfaswe/当該ページを別ウィンドウで開きます をご覧ください。

2)IOWNに関する講演「InteropとIOWN」

画像:2)IOWNに関する講演「InteropとIOWN」

「InteropとIOWN」
NTTコミュニケーションズ 山下達也

InteropとIOWNのつながりは、2019年開催のInteropにまで遡ります。当時の社長であった澤田が「Beyond The Internet」というテーマで基調講演を行い、パブリックの場でははじめて「IOWN構想」を発表しました。翌年の2020年にはカンファレンスの場において「IOWN構想の全体像とそれを支えるNTTの先端技術」、2021年には「IOWNが変える世界〜IOWNグローバルフォーラム」と題し、NTTばかりでなく各社の技術者の方々を招いての講演を行いました。そして今回の基調講演では、はじめて「構想」の文字が外れ、これはIOWNが本格的に実現の段階へと踏み入れたことを示しています。NEC我孫子事業場や大手町などがAPNで繋がれるなど、今年が本当の意味でInteropとIOWNのコラボ元年となりました。

3)IOWNデモンストレーション

NTTのIOWNブースでは、大容量、低遅延が特徴のAPNを使用したロボット遠隔操作のデモンストレーションが行われました。

「ロボット遠隔操作」

画像:3)IOWNデモンストレーション

光ファイバーの距離で約100キロ離れたNEC我孫子事業所に設置されたロボットアームを、幕張メッセIOWNブースのコントローラーで遠隔操作して動くカラーボールをキャッチするというゲームに挑戦。最初に従来のインターネット回線を使用してチャレンジしましたが、遅延により思うようにボールがキャッチできません。

そこで回線をAPNに切り替えたところ、遅延もまったくなくロボットによる遠隔操作でキャッチ成功。チャレンジした方は100キロ離れているとは思えず、ロボットアームが手元にあるかのように操作をすることができたと話していました。

「バーチャル卓球」

画像:3)IOWNデモンストレーション

NEC我孫子事業場と幕張メッセIOWNブースをAPNで繋ぎ、バーチャル卓球で対戦。卓球の動きはとても早いため、一瞬でも映像に遅延があるとプレイすることができません。しかし対戦が始まってみると、通常の卓球と遜色なくゲームが進行。まるで2人が同じ場所に続くような軽快なラリーが続きました。結果は3対2で幕張のプレイヤーが勝利。リアルに卓球をやっている気分だったと語っていました。

4)ShowNetとIOWN

画像:4)ShowNetとIOWN

ShowNetは、会場で利用するネットワークを各社が機器を持ち寄って構築するプロジェクトで、マルチベンダの機器接続、多地点接続、波長によるネットワークの仮想分離などの実証を行いました。

今回はここで、IOWNの8波1.1Tbpsの回線を引きました。
ブースに並ぶShowNetを構成するサーバーラックでは、対外接続のサーバーラックにOpen APNを受ける装置が並ぶほか、そこでAPNを終端せず、伝送層のラックにもAPNの装置が並び、ShowNet内部まで光信号のまま通じていました。

5)Interop Tokyo 2023とNTTの挑戦

画像:5)Interop Tokyo 2023とNTTの挑戦

「IOWN構想」から「構想」が外れ、いよいよ本格的に実現の段階へと踏み出したIOWNを、30回目のInterop Tokyoでご覧いただけました。2030年ごろには、多くの情報をリアルタイムに、かつ公平に分け隔てなく発信し、受け取ることができます。他人がいま見ているもの、いま体験していることを、まるで自分がその場にいるかのように共有することも可能になるということです。

これによって人と人、人と社会の「つながり」の質をより高めていくことができると考えています。IOWNによって私たちの暮らしがより便利に、より快適になるような新たな価値を創り出し、さまざまな産業間での資源の循環や地域創生のさらなる加速をはかり、持続可能な社会を実現できるよう、NTTは挑戦し続けます。

NTTグループ中期経営戦略(2023年5月12日)
『New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN』
https://group.ntt/jp/ir/mgt/managementstrategy/当該ページを別ウィンドウで開きます

報道発表資料:Interop Tokyo 2023にIOWN APNを出展(2023年6月12日)
ShowNetにて次期APNの実証、展示ブースでは低遅延・確定遅延ならではのデモを実演
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/06/12/230612b.html

Interop Tokyo 2023
https://www.interop.jp/当該ページを別ウィンドウで開きます