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2023年9月 6日

圧倒的な低消費電力化を実現する「光電融合技術」デバイス製造 新会社 記者会見

新中期経営戦略「IOWNによる新たな価値創造(構想から実現へ)」の一環として、電力負荷問題への問題提起とそれにつながる解決策「光電融合技術」デバイスの製品開発並びに市場投入と事業拡大を掲げ設立したNTTイノベーティブデバイス株式会社の事業内容ならびに光電融合デバイスの開発に関する記者会見内容をお伝えします。
 記者会見で代表取締役社長(CEO)塚野英博は、次世代ネットワーク構想「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」実現に不可欠な光電融合デバイスを製造するNTTイノベーティブデバイス株式会社の事業戦略及び展望を発表しました。

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1) 「光電融合技術」とは

光電融合技術とは、電気信号を扱う回路と光信号を扱う回路を融合する技術のことです。NTTは新中期経営戦略「IOWNによる新たな価値創造(構想から実現へ)」の一環として電力負荷問題を提起しており、それにつながる解決策として「光電融合技術」の研究・開発に取り組んでいます。
 その背景にあるのが、暮らしのデジタル化に伴い、データ量が増加の一途をたどっていること。例えばWeb会議や音楽・動画配信などのサービスを利用する人は年々、増加しています。今後も自動運転の実現など、暮らしのデジタル化・IOT化は進んでいくことは間違いありません。
 このような暮らしのデジタル化を支える仕組みとして欠かせないのがデータセンターですが、電力負荷による電力消費の増加が問題になっています。現在、データセンターで消費される電力は世界の総電力消費の数%程度ですが現在の技術のままで2030年を迎えると、総電力の10数%を占めることになると予測されています。

暮らしのデジタル化という需要に応えつつ、いかに消費電力を抑えていくかが、データセンターにおける喫緊の課題であり、それを救う技術としてNTTが取り組んでいる「光電融合技術」が注目を集めているのです。

「光電融合技術」をイラスト付きで解説

2) 「光電融合技術」が解決する問題

光電融合技術がなぜ、データセンターの消費電力問題の解決につながるのでしょうか。
 これまでコンピュータ内の処理は電気を使って行っていました。しかし、電気での処理には熱が発生します。これは余分なエネルギーを消費しているということ。しかもその熱により、計算速度の低下を招くのです。そこでNTTイノベーティブデバイス株式会社は電気で行っていた計算を、光を用いた処理に置き換えるべく事業を進めます。光は電気に比べてエネルギー消費が小さく、遅延も起きにくいというメリットがあるからです。
 光電融合技術を活用することで、データセンターの消費電力の削減が可能になることに加え、よりクリーンで処理能力の高いデータセンターが増えることになります。クリーンで処理能力が高いデータセンターが増えることは、カーボンニュートラルへの貢献も期待できます。

3) 新会社と「光電融合技術」の関係

NTTイノベーティブデバイス株式会社は、IOWNによる新たな価値創造に向け、「光電融合技術」を搭載したデバイスの企画・設計・開発・製造・販売を行うことを目的としています。
 NTT研究所で進めてきた光電融合デバイスの開発等に係る機能をスピンオフし、光電融合デバイスの市場投入と事業拡大の加速をミッションし、2023年6月12日に設立しました。事業会社化したのは、従来までのネットワークを中心としたソリューションビジネスとは異なり、光電融合技術はハードを伴うビジネスであること。さらに同事業をさらに加速するため8月1日には、光電子部品メーカーとして開発・製造ノウハウを持つ最先端部品メーカーであるNTTエレクトロニクスと統合。これにより、光電融合デバイスの設計開発、製造、販売等の機能をフルスコープで備える専業メーカーとして新たな一歩を踏み出し始めました。

画像:3) 新会社と「光電融合技術」の関係

これまで光電融合技術の適用先は通信領域が中心でしたが、新会社はよりいっそうの大容量・長距離伝送の実現に向けて進化を続けるとともに、中長期的には低消費電力近距離光伝送商品の開発を加速させ、新たな市場であり、データセンターの電力消費問題を解決する手段として注目されているコンピューティング領域へと拡大していくべく、より薄く小さいデバイスの量産化実現に向け、様々な技術チャレンジに取り組んでいくことを考えています。

4) 新会社の構想

NTTイノベーティブデバイス株式会社のミッションは「IOWN構想の基幹インフラを構築するための戦略デバイスを担い、NTTグループが掲げる電力削減による社会貢献の追求」です。

画像:4) 新会社の構想

IOWN構想に貢献するためNTTイノベーティブデバイス株式会社は、例えると4階建ての事業戦略を計画しています。まず土台となる1階ではIOWNの基幹インフラを担う戦略デバイスである光電融合デバイスの開発を加速させていく。その上の2階ではインフラやハードの演算能力を高めるために光電融合デバイスの活用を進めていく。3階では2階で作ったハードやインフラをオーケストレーションする仕組み、最上階となる4階では業種別のソリューションやサービスを構築、提供していく。このような4階建ての戦略でIOWNの世界への貢献を考えています。

画像:4) 新会社の構想

光電融合デバイスの適用領域も従来の通信領域(大容量・長距離伝送)からコンピューティング領域(大容量・近距離伝送)、さらには車やPC、スマートフォンなどのコンシューマ領域へと拡げていき、早期に4桁億円の売上高を目指していきます。

画像:4) 新会社の構想

将来的には、様々な領域で光電融合デバイスの導入が進み、世界中の人々が、低消費電力・低遅延・大伝送容量等の光の力の恩恵を享受できるようになることです。そのためにも品質を担保しながらもコスト削減ができるような量産体制を築いていくことも今後、NTTイノベーティブデバイス株式会社が取り組むべきチャレンジです。
 NTTイノベーティブデバイス株式会社は光電融合技術の普及に注力することで、豊かな社会を実現し、カーボンニュートラルに貢献していきます。

今後のNTTイノベーティブデバイス株式会社の事業展開にご期待ください。

画像:4) 新会社の構想

5) 「光電融合技術」を解読[イラスト付き]

世界的な電力不足を救う?注目を集める「光電融合技術」とは
https://group.ntt/jp/magazine/blog/photonics_electronics_convergence/

画像:5) 「光電融合技術」を解読[イラスト付き]

NTTイノベーティブデバイス株式会社 概要
代表者名 代表取締役社長 塚野英博
所在地 〒221-0031
    神奈川県横浜市神奈川区新浦島町1-1-32
    アクアリアタワー横浜
資本金 65億7678万7680円
株主構成 日本電信電話株式会社100%
事業内容 光電融合デバイスの企画・設計・開発・製造・販売 等
https://www.ntt-innovative-devices.com/index.html当該ページを別ウィンドウで開きます

本件に関する報道機関からのお問い合わせ先
日本電信電話株式会社
広報室
ntt-pr@ntt.com

ニュースリリース
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/06/12/230612c.html

IOWN構想特集─オールフォトニクス・ネットワーク実現に向けた光電融合技術
https://journal.ntt.co.jp/article/5995当該ページを別ウィンドウで開きます

IOWN構想特集 - NTT技術ジャーナル
https://journal.ntt.co.jp/wp-content/uploads/2020/09/JN20200804_all.pdf当該ページを別ウィンドウで開きます

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