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2016年2月 8日

将来アクセスシステムの新コンセプトFASAを提唱 ~アクセス装置の部品化により、サービス事業者の「すぐにサービスを提供したい」に応えます~

日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下 NTT)は、アクセスネットワークを利用するお客様が多様なサービスを迅速かつ低コストに利用できること、サービス事業者がすぐにサービスを提供できることを目指し、将来のアクセスネットワーク技術開発に関するコンセプト「新アクセスシステムアーキテクチャ(FASA*1)」を提唱しました。
 FASA(ファーサ)では、これまでの専用装置を用いるのではなく、アクセス装置を構成する機能を徹底的に部品化し、それらを自由に組み合わせることによって、サービス品質を維持しながら、新たに必要な機能をサービス要件に応じて柔軟に、かつ経済的に組み込むことができるようになります。このようなアクセス装置の実装にまで踏み込んだ部品化技術に関するコンセプト提案は世界初です。今後、様々なパートナーとの協調活動を踏まえAPI*2を順次公開し、共通的に使用できるAPIの普及促進を図ります。
 また、NTTでは、NetroSphere(ネトロスフィア)構想*3を具体化、可視化する実証実験環境として、「NetroSpherePIT(ネトロスフィアピット)」を構築し、運用を開始しました。NetroSphere構想を実現する基盤技術である「マルチサービスファブリック(MSF)」や「新サーバアーキテクチャ(MAGONIA)」、統合コントロール等に加え、FASAについてもNetroSpherePITでの技術検証に着手しました。今後は他のキャリア、ベンダ等と協調しながら、これまで以上にオープンに研究開発を進めていきます。

背景

2015年2月に、NTTが将来の通信ネットワークの技術開発に関するビジョンとしてNetroSphere構想を策定しました。実現に向けた取り組みとしてMSFおよびMAGONIAの研究開発を発表し、将来のネットワークインフラのあり方を変革するべく検討を進めています。一方、2014年5月には、NTTが「光コラボレーションモデル」を発表し、様々なビジネスプレイヤーとの共創により新しい通信サービスの提供が可能となったことで、アクセスネットワークのさらなる利用が進んでいます。しかし、アクセスネットワークにおいては、多量のアクセス専用装置が導入されていることから、機能変更・追加への即時対応が困難で、かつ抜本的なコスト削減が進まないという課題があります。このような背景から、アクセスネットワークについても、NetroSphere構想の一環としてシステムアーキテクチャのあり方を変革するべく、FASAの提唱に至りました。

新アクセスシステムアーキテクチャ(FASA)(図1 (別ウインドウが開きます)

従来、ネットワークインフラは機能ごとに開発された専用的な装置によって構成されており、アクセスネットワークについても同様に専用装置が多量に導入されています。そのため、サービス要件に応じて機能を追加・変更するには、装置を部材レベルから開発し直す必要があることが課題となっています。また、ベンダ毎に装置の仕様が異なるため、装置コストの抜本的削減が困難で、かつ装置の保守運用が煩雑といった問題がありました。
 FASAでは、アクセス装置を構成する機能を、「<1>ソフトウェア部品」、「<2>汎用ハードウェア」、および「<3>外付けモジュール」の3種類の部品カテゴリに分け、それらを自由自在に組み合わせて必要な機能を提供します。
 「<1>ソフトウェア部品」では、サービス要件に応じて必要なソフトウェアを追加・更新するだけで、新しい機能を迅速、かつ柔軟に実現できるようになります。アクセス装置に汎用的な機能については、「<2>汎用ハードウェア」による共通部品化を図ることで、サービス要件に応じて装置を部材レベルから新規に開発する頻度を低減します。また、共通部品化により、装置コスト削減や、保守物品種などの削減による保守運用のシンプル化が進むことが期待できます。光送受信機能などの、「<1>ソフトウェア部品」化や「<2>汎用ハードウェア」化が難しい機能については、専用のハードウェアを交換可能な部品とした「<3>外付けモジュール」をサービス要件に応じて付け替えることで、最適な伝送容量等を実現します。
 このようにFASAでは、アクセスネットワークを利用するお客様やサービス事業者からの要求に基づき、必要な機能については新たに開発した「<1>ソフトウェア部品」をアドオンし、「<3>外付けモジュール」を付け替えることで、サービス事業者の「すぐにサービスを提供したい」という声に応えることができる世界を目指します。
 例えば、年々増大するモバイルトラヒックを効率的に収容するために、モバイル通信とアクセスシステムとの連携が期待されています。スピーディな進化を続けるモバイル通信方式に対して、アクセスシステムはFASAによる「<1>汎用ハードウェア」の活用と「<2>ソフトウェア部品」及び「<3>外付けモジュール」のタイムリーなアドオンおよび付け替えにより、新たなサービス開始までの期間短縮を可能にします。

さまざまなパートナーと共通的に使用できるAPI(図2 (別ウインドウが開きます)

FASAでは、従来のアクセス専用装置により提供しているアクセスサービスの品質(お客様間で公平な通信速度など)を維持しつつ、徹底的に部品化を追求します。そのためには、上記のようにアクセス装置の実装にまで踏み込んで部品化を行い、かつ部品間の情報のやりとりをするインタフェース仕様(API)を策定する必要があり、このような革新的なコンセプトの提案は世界初となります。さらには、国内外のパートナーと共通的に使用できるAPIを策定することで、多くのベンダの参入、装置の部品化・汎用化・経済化が期待できます。NTTでは、FASAを実現するAPIを、今後順次公開していく予定です(第一回目のAPI公開は2016年5月頃を予定)。さらに、コンセプトに賛同頂いたパートナーとの協調活動により、APIブラッシュアップに取り組んでいきます。

NetroSpherePITでの検証(図3 (別ウインドウが開きます)

NTTでは、NetroSphere構想のコンセプトを実証するための環境として、「NetroSpherePIT」を構築し、課題抽出や構想の具体化に向けた取り組みを推進しています。 「NetroSpherePIT」とは、新たな技術やサービスを様々なパートナーの方々と共にフィールド(商用化)に送り出す場所という思いを込めて、自動車レースのPITにちなんで名付けており、一部のパートナー企業と連携した検証を開始しました。
 NTT R&Dフォーラム2016*4では、MSFやMAGONIA、統合コントロール等と同様にNetroSpherePITでのFASAの実証実験を公開します。具体的には、汎用ハード上の仮想化された環境にOLT機能の一部ソフトウェア部品化とハードウェア部品化によるプロトタイプ試作品について、NetroSpherePITでのフィージビリティ確認を行っています。

今後の展望

FASAの実現に向けては、通信産業における多くのパートナーと共に変革を進めていく必要があります。NTTでは、FASAと同様のビジョンを共有する国内外の装置ベンダ、キャリア等と今後連携し、APIブラッシュアップの共同検討およびNetroSpherePITでの共同検証実験を含めたオープンな協調活動を進めていきます。

用語解説

*1FASA
Flexible Access System Architecture。

*2API
Application Programming Interface。部品間で情報をやりとりするためのインタフェース仕様。

*3NetroSphere構想
「NetroSphere:キャリアネットワークのあり方を変革する新R&Dコンセプトを策定」
NTTニュースリリース 2015年2月19日 http://www.ntt.co.jp/news2015/1502/150219a.html

*4NTT R&Dフォーラム2016
2016年2月18日・19日、NTT武蔵野R&Dセンタ(東京都武蔵野市)にて開催。

FASAおよびMSFは、NTTの商標です。MAGONIAは、NTTの登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

情報ネットワーク総合研究所
企画部 広報担当
TEL:0422-59-3663
Email:inlg-pr@lab.ntt.co.jp

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