2016年5月30日
NTTグループは、「社会的課題の克服」や「産業競争力の強化」といったテーマに取り組むにあたり、さまざまなプレイヤーの皆様とのコラボレーションを推進しています。
このようなコラボレーションをAI(人工知能)分野で、グループ一体となってさらに加速するため、R&Dで培ったAI関連技術群を活用した取り組みを新たなブランドネーム「corevo(コレボ)」に統一いたしました。
「corevo」には、さまざまなプレイヤーの皆様とのコラボレーションを通じて、一緒に革新を起こす(co-revolution)との思いを込めています。
「corevo」が提供する技術は、人の活動の一部を代替、支援し、あるいは人の能力を補完し、引き出すためのAI技術です。今後、NTTグループ各社は「corevo」を横断的に活用することで、コラボレーションパートナーや自治体の皆様と共に新たな価値の創造をめざします。
「corevo」を活用したさまざまなプレイヤーの皆様とのコラボレーションによって、無限の可能性を秘めた多くの価値が生み出される様子をロゴで表現しました。
<ロゴイメージ>
NTT R&Dでは、急速に注目を集めるようになったAI技術においても、日本語を中心として、さまざまな解析や音声音響処理等の分野で世界をリードする成果を創出してきました。その一部技術については以下のとおりです。
NTTが独自開発した、ひずみなし音声強調技術とディープラーニング(深層学習)に基づく音声認識の新技術によって、2015年開催の技術評価国際イベント「CHiME-3」において、参加25機関中トップの精度を達成しています[注1]
国立情報学研究所の人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」に、常識からの推論を必要としコンピュータが最も苦手とする英語担当として参画し、NTTの持つ自然言語処理、知識処理技術を駆使することで、2014年に初挑戦のセンター模試では受験者の平均点を越える好成績を達成しています[注2]
NTTは長年人間の感覚情報処理の研究に取り組んできており、その過程で開発した、「指でつまむと引っ張られる感覚:ぶるなび3」および、「変幻灯」は、「我が国の優れたコンテンツ技術」として、経済産業省より、Innovative Technologies 2014, 2015にそれぞれ選出されています[注3]
[注1]http://www.ntt.co.jp/news2015/1512/151214a.html
公共エリア雑音下でのモバイル音声認識の国際技術評価で、世界1位の精度を達成
[注2]http://www.ntt.co.jp/news2014/1410/141030a.html
国立情報学研究所の人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」に英語担当として参画し、初挑戦のセンター模試で好成績を達成!
[注3]Innovative Technologies 2014 http://www.meti.go.jp/press/2014/09/20140916001/20140916001.html
Innovative Technologies 2015 http://www.meti.go.jp/press/2015/09/20150910001/20150910001.html
NTT R&Dでは、「corevo」を構成するAI関連の要素技術を技術開発するにあたり、通信キャリアとしての強みを活かした4種類の方向性を以下のAIとして位置づけて取り組んでいます。
<「corevo」を構成する4種のAI>
「corevo」を構成する4種のAIを実現するために、これまでNTT R&Dで取り組んできた技術群※に加え「corevo」の基盤となるキー技術の研究開発に取り組んでいきます。
「corevo」には、NTTグループの技術群に加え、外部の最新技術も積極的に取り入れていきます。例えば、実空間からあらゆる属性の「人」を即座に見つけ出す技術の実現を目指し、PFN社の最新ディープラーニング技術[注4]を活用しつつ、その検知精度や処理性能の向上に取り組んでいます。
Agent-AI | ロボットに代表される擬人化されたエージェントが音声・言語・画像等のメディアを通じて人や人を取り巻く状況を理解し、人の表情や身振り手振り等も加えたマルチモーダルインタラクションをこなし、多言語を自在に操り、膨大な知識に基づいて推論することで人との高度な「対話」を実現することを目指しています。 |
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Heart-Touching-AI | 脳科学の研究を通じて人そのものの認知の仕組みを理解することに力を入れています。知能だけでなく、知性・本能・身体といった人にとって不可分かつ根源的な部分を理解し、人に働きかけ、拡張していくAIを目指しています。 また、スポーツ・芸術などの分野で、プロだけが持つとされていた感覚やひらめきを誰もが体験できるようになります。 |
Ambient-AI | センサによるリアルタイムな計測情報に加え、インターネット上の情報と組み合わせ、近未来の「いつ」「どこで」「何が」起こるかを予測します。学習型シミュレーションを用いた最適シナリオの立案や先行的な制御の実現を目指し、イベント会場での人流誘導などの適用を想定した時空間多次元集合データ解析技術の研究開発に取り組んでいます。 |
Network-AI | インフラとしてのネットワークをAIの視点から見直すことで、まったく新しい社会システムを構築できると考え、すでにAI技術の適用によるネットワーク故障の早期予兆検知、運用自動化、トラフィック予測などに取り組んでいます。その先には、複数のAIが有機的につながり成長し、社会システム全体を最適化することを目指しています。 |
別紙:corevo構成技術・モジュール群を参照
[注4]PFN社(株式会社Preferred Networks)とNTTは、2014年10月に資本・業務提携を行い次世代ビッグデータ技術の開発を進めております。本開発では、PFN社のディープラーニング技術DIMo(Deep Intelligence in Motion)を活用します。
2016年6月2日(木)・3日(金)開催のNTTコミュニケーション科学基礎研究所「オープンハウス2016」においても、「corevo」につながる技術を展示いたします。ぜひご来場ください。
(ホームページ: http://www.kecl.ntt.co.jp/openhouse/2016/ /)
NTTグループは、「corevo」を活用した取り組みを通じて、IoT・ビッグデータ時代の「社会的課題の克服」や「産業競争力の強化」といったテーマに取り組むことで「安心・安全で豊かな社会の実現」をめざします。
<「corevo」活用の道すじと構成要素>
NTTグループ各社では、「corevo」を活用したさまざまシーン・分野への展開を海外グループ会社と共にグローバルな活動として取り組みます。
<「corevo」を活用したNTTグループの取り組み>
「corevo」を活用した取り組みの一環として既に取り組んでいる事例の一部をご紹介します。
ディープラーニングによる音声認識技術、知識QA技術、非構造コンテンツエンリッチ技術等の『Agent-AI』を活用し、「審査・分析・監視等のミドル・バックオフィス業務」や「窓口対応・コールセンタ等のフロントオフィス業務」において、「金融分野における法人審査の高度化」や、「顧客対応スタッフのサービス品質向上」等の実現に取り組んでいます。 また、クラウド対応型インタラクション制御技術「R-env:連舞™」やディープラーニング音声認識技術等の『Agent-AI』を活用し、ヴイストン社のSota™をはじめとする各種コミュニケーションロボットや、各種センサ・ディバイスの柔軟な連携を実現するNTTデータの「クラウド・ロボティクス基盤」を高度化することで、金融、小売等の店舗における顧客対応支援をはじめ、ヘルスケア分野やエンターテインメント分野における高度なコミュニケーションサービス等についても提供していきます。 |
(株)NTTデータ |
ディープラーニング等を含む『Ambient-AI』を活用し、「物を置く」「きょろきょろする」などの不審者の動作検出や複数カメラに映る同一人物の推定などの実証実験を行い、高い精度での検出に成功しました。このような実績を踏まえ、防犯対策やマーケティングをはじめとする様々な用途に最適な映像解析サービスの提供を検討しています。 また、人間の自然な言葉を高い精度で解析する『Agent-AI』を活用した対話業務支援サービス「Virtual Assistant(仮称)」を、日本語・英語の2言語で提供開始する予定です。同サービスは、企業のコンタクトセンターや店頭における問い合わせ対応業務や販売業務などの一部を、クラウド上のAIが実現するものです。AIは24時間稼動でき、多数の顧客にも対応が可能です。このため、人手のかかる顧客対応時間を削減することができ、別業務への人材シフトを可能にします。 なお、同じく顧客接点における例として、金融機関における営業活動の支援にAIを活用するための取り組みを始めています。具体的には、お客さまとの会話内容からAIが知識支援を行う実証を進めていきます。 NTT Comは、自社の強みであるクラウド環境上に蓄積したビッグデータを学習データとして活用することで、AIエンジンの高度化を加速度的に実現できると考えています。 |
NTTコミュニケーションズ(株) |
『Ambient-AI』とNTTデータの大規模・リアルタイムな予測技術「マルチエージェントシミュレータ」を活用し、「交通インフラの大規模リアルタイム最適制御」等の各種社会インフラへのAI適用に取り組んでいます。 | (株)NTTデータ |
ネットワークシステムのオペレーションビジネスに取り組んでいます。自社のオペレーション業務に加え、ディープラーニングを活用した「人間の感性に近い判定が可能な画像識別システム」等によるインターネット上の画像監視オペレーションの支援をはじめとしたお客様のシステムのオペレーション支援ビジネスにcorevoを活用して取り組んでいきます。 | エヌ・ティ・ティ・コムウェア(株) |
『Ambient-AI』の「センサーデータ分析判定技術」と東レ(株)の着るだけで生体情報を取得できる機能素材hitoe™を活用し、高齢者の自立生活を支援する見守りサービス、働く人のストレス計測、スポーツにおける身体の使い方の可視化等、ヘルスケアを中心にした各種生体情報の活用サービスの実現に取り組んでいます。 | (株)NTTデータ |
音声対話型サービスの開発を促進する「自然対話プラットフォーム」を活用し、パートナー企業との協創を通じて、「OHaNAS」をはじめとする新たなサービス提供に取り組んでいます。直近では、「すららネット社」提供のクラウド型学習システム「AIサポーター」や、「インターメディアプランニング社」提供の自動で対話を行うロボットが簡単に作れる「Repl-AI(レプルエーアイ)」の共同開発を行っております。 今後は、「自然対話プラットフォーム」の更なる機能拡充を追求するとともに、自然な音声対話が重視されるIoT分野においても利用拡大を目指していきます。 |
(株)NTTドコモ |
ポータルサイト「goo」が提供するQAサービス「教えて!goo」において、「悩み」「恋愛」等の「人生相談」にAIが最適なアドバイスをするサービスの開発を行っています。 1997年の「goo」提供開始以来蓄積してきたインターネット関連技術やノウハウと、「corevo」を活用し、AIに関する独自技術を開発しました。これより対象コンテンツのジャンルに応じてディープラーニングの精度を上げることが可能となり、実サービスに適用されることは世界的にも新しい取り組みです。今後も、相談者の現状や属性、背景に対するAIの理解の精度をさらに高めていくことにチャレンジしていきます。 |
エヌ・ティ・ティ レゾナント(株) |
<corevo構成技術・モジュール群>
本件に関するお問い合わせ先
日本電信電話株式会社
研究企画部門 R&Dビジョン担当
e-mail:corevo-info-ml@hco.ntt.co.jp
TEL 03-6838-5305
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