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2017年2月 1日

日本電信電話株式会社

サービスに必要な機能をカタログから選ぶだけで、ネットワーク・クラウド・アプリも 一括申し込み・一括管理可能に ~複数事業者の実サービスを組み合わせた実証実験でオペレーション連携機能を確立~

日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下 NTT)は、サービス事業者が必要な機能をカタログから選択することにより、NTTグループを含む各社の提供するネットワークサービス・クラウドサービス・アプリケーションを一括で構築し、保守・管理も可能とするオペレーション連携機能を開発し、実在するサービスを連携した実証実験を通して技術確立しました。
本技術は、市中のネットワークやクラウドサービス等を組み合わせ必要な情報を記載したカタログを予め用意し、組み合わせたサービスを一元的に保守・管理することを可能とします。これにより、これまでサービス事業者がサービスごとに個別に行っていたネットワーク、クラウド等の申し込み手続きを簡略化するとともに、サービス利用までの時間および稼働の大幅な削減が見込めます。このため、サービスを利用するユーザも新サービスをより早く・低コストで利用できるなどのメリットが期待できます。
本オペレーション連携機能はサービスの追加が容易で汎用性が高く、連携に使用する共通的なAPI*1については、国際標準団体(TM Forum*2)で規定した仕様をもとに検討を行っています。標準化活動を進めることにより、多くのネットワークサービス、クラウドサービス等と連携することを目指しています。
本機能は、2017年度内の実用化に向けてNTTグループ内外と取り組みを開始しています。今後、NTTグループ各社のサービスとの連携のみならず、NTTグループ外のパートナーともより一層連携し、多くのサービスが本オペレーション連携機能を通してより便利に活用されることを目指します。

本技術は、NTTが策定した「NetroSphere(ネトロスフィア)構想」*3においてB2B2Xモデル*4を支えるオペレーション技術「MOOS(ムース)」*5に位置付けられます。今回、実証実験環境「NetroSpherePIT(ネトロスフィアピット)」*6と市中のネットワークサービス、クラウドサービス等の環境を結び、トライアルを実現しています。

背景

近年、クラウドサービスやアプリケーションサービスをはじめとするサービスの利用形態は多様化し、またIoTやOTT*7サービスなどネットワーク利用の増加傾向は続いています。
サービス事業者にも、市場変化に素早く対応することが求められていますが、クラウドサービス、アプリケーションサービスとネットワークサービスの利用開始にあたっては、サービス事業者が個別に申し込みを行う必要があり、利用中も個別に管理する必要があります。
各サービス事業者の中で個別に手続きの効率化・コスト削減の取り組みは行われているものの、業界全体の動向としては、業界共通的オペレーションの効率化を求める機運が高まっています。国際レベルの標準化団体でも、B2B2Xのための機能配備やインターフェース(API)を対象として議論がされるなど、オペレーションについても徐々に標準化が始められています。
このようななか、NTTはかねてよりオペレーションの効率化につながる研究を進めており、今回オペレーション連携機能の技術確立に至りました。

研究内容・成果

オペレーション連携機能とは、市中のサービスをAPI連携で組み合わせることにより、ネットワーク・クラウド・アプリケーション等のサービスを一括で設定、保守することを可能とする技術です。(図1)

図1 オペレーション連携機能の目指す世界図1 オペレーション連携機能の目指す世界

1)オペレーション連携機能について

本技術では、APIを介して連携した市中のサービスについて、サービスごとに必要な各種設定値(ネットワーク帯域、クラウド構成等)を記載したカタログをあらかじめ用意し、サービス事業者は、エンドユーザに提供しようとするサービスに必要な機能や各種設定をカタログから選択するだけで、必要なネットワーク・クラウド等の申し込み・設定が一括でできるようになります。ネットワークサービス、クラウドサービス、アプリケーションサービスを一括で管理・保守することにより、不具合発生時の対処時間の削減も期待されます。
ネットワーク・クラウド・アプリケーションの提供元(サービス提供元)は、サービス事業者に利用しやすい環境を提供できます。また、新サービスを提供したい場合には、新たなソフトウェア開発を必要とせず、カタログに加えることにより、サービス事業者に素早いサービス提供が可能となるなどのメリットもあります。

2)APIについて

オペレーション連携機能では、APIを介して各種サービスを連携しています。本技術に関しては、標準化団体(TM Forum)で規定されているAPIに準拠してオペレーション連携機能を開発しています。
サービス事業者は、共通的なAPIを介してオペレーション連携機能を操作し、各種サービスを利用できるため利便性が向上されます。
また、サービス提供元については、標準APIを使用することにより、オペレーション連携機能から申し込み・設定を行うことができるので、利用される機会が創出されます。既にサービス提供元独自のAPIを利用している場合でも、標準化されたAPIに変換するメディエータを介在させることで対応可能です。
さらに、TM Forumに規定されていないAPIの中で、グローバルスタンダードとなり得る必要性の高いAPIについては、TM Forumへアップストリームする活動も同時に行っています。

3)実証実験について

上記技術を用い、サービス事業者であるパートナーと共同実験契約を締結し、実際のサービスから提供されているAPIを活用したトライアルを始めました。トライアルでは、NTTグループのネットワークサービス及びクラウドサービスの他、NTTグループ以外のネットワークサービス、クラウドサービス、アプリケーションを組み合わせて設定および管理のユーザビリティ確認を行いました。
上記に加え、業務プロセスの自動化により業務フローが削減されることを確認するとともに、事業化に向けた課題の洗い出しを行っています。(図2)

図2 オペレーション連携機能のイメージと実証実験の概要図2 オペレーション連携機能のイメージと実証実験の概要

今後の展開

本機能は、2017年度内の実用化に向けてNTTグループ内外と取り組みを開始しています。今後、NTTグループ各社のサービスとの連携のみならず、グループ外のパートナーともより一層連携し、多くのサービスが本オペレーション連携機能を通してより便利に活用されることを目指します。また、標準化の取り組みについても、引き続き活動を推進します。

複数事業者を跨るネットワーク・クラウド・アプリを一括オーダできる様子は、2017年2月16日~17日に開催の「NTT R&Dフォーラム2017」*8にてご覧いただけます。

用語解説

*1API(Application Programming Interface)
ソフトウェア間でデータ等をやり取りするためのインタフェース仕様

*2TM Forum(TeleManagement Forum)
通信業界の世界的な標準団体で、将来の通信に関する管理技術や共通化等について議論し、規定している。

*3NetroSphere構想
NTTが2015年2月に策定した、将来の通信ネットワークの技術開発に関するコンセプト
http://www.ntt.co.jp/news2015/1502/150219a.html

*4B2B2Xモデル
通信事業者やネットワーク事業者などが、他企業の顧客向け事業を支援・促進する事業モデル。「B」は企業の意味であり、「X」は顧客を意味する。「X」には個人、法人、従業員、官公庁などが該当する。

*5MOOS(Management and Orchestration Operation System)
NetroSphere構想の一環で、部品化されたネットワークの各種機能を制御する技術。機能を組み合わせ、サービス事業者が求めるサービスを提供する役割を担う。

*6NetroSpherePIT
NetroSphere構想の実現に向けた各種の検証を行うための実証環境(テストベッド)

*7OTT(Over The Top)
インターネット回線を通じて、メッセージや音声、動画コンテンツを提供する、通信事業者以外の企業

*8NTT R&Dフォーラム2017
2017年2月16日・17日、NTT武蔵野研究開発センタ(東京都武蔵野市)にて開催

本件に関するお問い合わせ先

NTT情報ネットワーク総合研究所
企画部 広報担当
TEL:0422-59-3663
Email:inlg-pr@lab.ntt.co.jp

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