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2017年10月 4日

摩耗しにくく、摩耗してもひと目で分かる点検しやすいマンホール鉄蓋デザインが登場 ~「テーパーダイア鉄蓋」が「2017年度グッドデザイン賞」を受賞~

日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下 NTT)は、マンホール鉄蓋の表面模様を抜本的に見直すことにより、材質・製造コストを変えることなく、点検しやすく、かつ耐摩耗性に優れた鉄蓋「テーパーダイア*1鉄蓋」を開発し、本日「2017年度グッドデザイン賞*2(業務用公共機器・設備)」を受賞しました。
 異なる形状(四角形と六角形)の二段構成を持つ模様により、模様の経年変化で鉄蓋の取り替え時期がひと目で分かるため、取り替え作業が安全かつ効率的に行えるだけでなく、模様の配置を工夫することにより、摩耗原因となる砂などを効率的に排出して耐摩耗性を高め、取り換えまでの期間を現行品の約3倍に延長することを可能にしました。
 作業自体の安全性に加え、点検・取り替え作業自体の頻度を減らすことによる維持管理コスト削減・環境保護などの効果が期待されます。本「テーパーダイア鉄蓋」は2018年より順次事業導入される予定です。
 NTTでは、今回の受賞も踏まえ、より一層通信インフラ設備の維持管理コスト削減や環境への配慮、安全性向上に貢献する研究開発を進めていきます。

10月19日・20日の「つくばフォーラム2017」にて「テーパーダイア鉄蓋」および旧型の鉄蓋を並列展示します。

「テーパーダイア鉄蓋」は審査委員が選ぶ「一品」にも選定されましたので、10月4日~27日の東京ミッドタウン・デザインハブ企画展「私の選んだ一品2017」展 ~2017年度グッドデザイン賞審査委員セレクション でもご覧いただけます。

図1 現行鉄蓋とテーパーダイア鉄蓋 図1 現行鉄蓋とテーパーダイア鉄蓋

背景

NTTグループが保有するマンホール鉄蓋の総数は約70万個あります。その保守運用においては、車両のスリップ事故を回避するためにマンホール鉄蓋の摩耗量の点検を行うとともに、劣化時には取り替えを実施しています。これらの点検、取り替え頻度を減らすことにより、維持管理コストを削減する技術が求められています。
 また、現行品では摩耗度合いを目視では判定できないため、作業員が対象のマンホールに近づいた上で測定・確認していますが、路上作業となるため車両事故のリスクがあり、安全性の向上に繋がる改善も求められています。

研究内容・成果

(1)鉄蓋取替時期がわかりやすい新しい鉄蓋模様

鉄蓋模様の一部に、異なる形状(四角形と六角形)の二段構成の模様を取り入れました。摩耗によって上段の四角形模様がなくなった際には下段の六角形模様を表出させることで、摩耗によって模様形状を変化させます。これにより、目視による容易な取り替え時期の判定を可能としました。

図2 二段構成の模様(摩耗前後の変化) 図2 二段構成の模様(摩耗前後の変化)

(2)耐摩耗性向上により、摩耗しにくい構造を実現

 鉄蓋の摩耗は、鉄蓋上を通過する車両荷重によって摩擦力が作用し、さらに砂やアスファルト粉塵などが摩擦抵抗を増加させることがわかっています。その摩耗原因となる砂などの粒子を効率的に排出することが可能な鉄蓋模様の形状、大きさ、配置間隔、模様段差を最適化しました。

(3)摩耗抵抗確保によるスリップ抑制により、耐スリップ性能を確保

鉄蓋模様は円に近づくほどスリップしやすい特性を持つため、二段階模様と四角形模様を一定の割合で交互に構成させることにより、現行鉄蓋を超える耐スリップ安全性を確保しました。

図3 二段構成の模様と一段構成の模様の配置 図3 二段構成の模様と一段構成の模様の配置

上記のとおり、鉄蓋取り替え判定の効率化を目指しながら、"摩擦しにくい構造の実現と摩擦抵抗確保によるスリップ抑制"という相反する課題を解決するため、多くの試行錯誤と実証実験を繰り返し、最終形状を決定するに至りました。

今後の展開

本「テーパーダイア鉄蓋」は、2018年から東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社において、順次事業導入予定です。
 今後もNTTは通信インフラ設備の研究開発に取り組み、維持管理コスト削減に貢献するとともに、環境への配慮や社会安全に資する研究開発を進めていきます。

用語解説

*1テーパーダイア "テーパー"とは、鉄蓋の受け構造がテーパー型(傾斜を持たせた形)となっていることを示しており、現行品もテーパー型です。加えて、"ダイア"は四角形の模様(DIAmond shape : ひし形)と、「Design for Inspection efficiency and Abrasion-proof」という意味を込めています。

Design 意匠、図形、模様、目的、意図など
Inspection efficiency 点検効率
Abrasion-proof 耐摩耗
「テーパーダイア」は、NTTの商標です。

*2グッドデザイン賞 1957年に創設された「グッドデザイン商品選定制度」を継承する総合的なデザイン評価・推奨の仕組みです。デザインを通じて産業や生活文化を高める運動として、国内外の多くの企業やデザイナーが参加しています。これまでの受賞件数は40,000件以上にのぼり、受賞のシンボルである「Gマーク」は、よいデザインを示すシンボルマークとして広く親しまれています。
 グッドデザイン賞の詳細はこちらから: http://www.g-mark.org/ (別ウインドウが開きます)

本件に関するお問い合わせ先

NTT情報ネットワーク総合研究所
企画部 広報担当
TEL:0422-59-3663
Email:inlg-pr@lab.ntt.co.jp

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