2017年10月31日
日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下:NTT)と中華電信股份有限公司電信研究院(Chunghwa Telecom Laboratories、本社:桃園県楊梅市、院長:陳 祥義、以下:中華電信研究院)は、データセンタ間光伝送ネットワークにオープンソースソフトウェア(以下:OSS)とホワイトボックススイッチを適用するための共同実験を開始します。
近年のクラウドサービスの利用拡大、ITサービス継続性の重要性が高まり、企業は目まぐるしく変わるビジネスシーンへの迅速な対応が求められています。企業では複数のデータセンタを利用したビジネス展開が増えてきており、それらデータセンタを繋ぐ「データセンタ間光伝送ネットワーク」は企業インフラの中で今まで以上に重要となってきています。
NTTでは、ICT基盤においてOSSやホワイトボックススイッチなどのオープンソース技術を活用し、迅速な新機能実現、運用自動化によるスケーラビリティとアジリティの実現、外部システムとの連携によるサービスの高度化などを推進してきました。たとえばRyu[1], GoBGP[2]の開発や、OpenStackなどのOSSプロジェクトへの取り組みで得られた、ネットワークソフトウェア技術力、OSSの開発力を持つ他、OCP、TIP等でのコミュニティ活動を通してホワイトボックス型ネットワークハードウェアの活用に関して多くの知見を持ちます。
中華電信研究院は光伝送ネットワークのコスト削減、ネットワークサービスの高度化のためOSSを活用したSDN技術の光伝送ネットワークへの適用について研究を進めてきました。また、台湾最大の通信事業者・中華電信の傘下として台湾ODMベンダに大きな影響力を有しています。
今回のNTTと中華電信研究院による共同実験では、オープンソース技術を世界で初めてデータセンタ間光伝送ネットワークに応用し、ネットワークの高度化、コスト削減に有用であることを実証します。本実験において機械学習基盤等の様々な外部システムと光伝送装置とをオープンなAPIを介して連携させることにより、光伝送装置の光部品の経年劣化の自動検知や、上位IPレイヤと連動したパケットの効率的なルーティングなどを実現させることで、抜本的な運用省力化/自動化を目指します。
本実験ではホワイトボックス型の光伝送装置を利用することで、従来、密に結合されていたハードウェアとソフトウェアを分離し、それぞれ別の市場を形成することで、データセンタ間光伝送分野への参入障壁を下げ、より多くのステークホルダーを同分野に巻き込むことを目指しています。
またソフトウェアについてはOSSを活用することでオープンなAPIを光伝送装置に実装し、人手による運用ではなく、ソフトウェアによる運用を実現することで、開通作業や設定変更、統計情報の取得をSDNコントローラ・オーケストレータなどの外部システムと連携して自動かつ高速に行い、ネットワークサービスの高度化の実現を目指していきます。
中華電信研究院は主に検討を進めてきたSDNコントローラ・オーケストレータとホワイトボックス型光伝送装置の制御ソフトウェアの相互接続を可能にするためのオープンなAPIの検討、光伝送のフィールド実験の検討・実施、NTTはホワイトボックス型光伝送装置の制御を行うOSSの検討とコミュニティの拡大、ホワイトボックス型光伝送装置のデータセンタ間光伝送ネットワーク適用に際して必要とされる機能要件の検討に取り組みます。
両社それぞれが通信事業者として培ってきたネットワーク構築・運用の知見を活かし、今後もデータセンタ間光伝送ネットワーク分野における技術開発を連携して進めることで、光伝送装置のオープンソース化を推進していきます。
[1]世界最高性能のSDNソフトウェアスイッチをオープンソースソフトウェアとして公開
http://www.ntt.co.jp/news2014/1406/140606a.html
[2]NTT発のオープンソースソフトウェアGoBGPをインターネットマルチフィード社のJPNAPサービスに導入、運用の自動化を促進し、大幅な効率化を実現
http://www.ntt.co.jp/news2016/1609/160930b.html
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日本電信電話株式会社
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