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2017年11月15日

武居弘樹上席特別研究員が仁科記念賞を受賞

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫)先端技術総合研究所 物性科学基礎研究所の武居弘樹上席特別研究員が2017年度の仁科記念賞の受賞者に選ばれました。
 仁科記念賞は日本の現代物理学の父と称賛された故仁科芳雄博士(1890~1951年)の功績を記念して1955年創設された、原子物理学とその応用に関するもので、独創的で優秀な研究業績をあげた比較的若い研究者に与えられる栄誉です。
 我が国で最も歴史と権威のある物理学賞で、ノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈、小林誠、益川敏英、小柴昌俊、中村修二、梶田隆章の6博士もこの賞を受賞しています。
 今回の武居上席特別研究員の仁科記念賞受賞理由は「大規模コヒーレントイジングマシンの実現」です。

武居弘樹上席特別研究員

授賞理由概要

現代のコンピュータの性能が年々、向上している一方でそれでも現実的には解くことが不可能な問題が存在します。
 その一つがNP困難な組み合わせ最適化問題でこれを解くことができれば、これまで難しいとされてきた、創薬の予想や無線通信システムの最適化などが可能となり現代社会が直面する様々な問題を解く糸口となります。
 そのため、この最適化問題を効率的に解く試みが歴史的に行われていましたが、近年、量子アニーラなど新しいタイプの計算機が開発され世界的に、この動きが活発になっています。しかし、実際に問題を解くには、ハード(またはシステム)の規模が不十分で必要とされる規模を実現するのは極めて困難とされていました。
 武居弘樹氏は、光信号技術を用いることで、この課題を解決しました。長さ1kmの光ファイバリング共振器中に同時に生成された2000個の縮退光パラメトリック発振光(OPO)パルスを信号として用い、フィードバック回路を用いて信号同士を結合させることによって大規模な計算を可能とするコヒーレントイジングマシンを実現しました。
 このコヒーレントイジングマシンの計算原理は、統計力学で古くから知られていたスピングラスモデルをベースとしたもので、このモデルを用いることにより、様々な最適化問題を効率良く解くことが可能となります。
 コヒーレントイジングマシンは大規模計算が可能であることから、今後、様々な応用への展開が期待できます。

本件に関するお問い合わせ先

日本電信電話株式会社
先端技術総合研究所 広報担当
a-info@lab.ntt.co.jp
TEL 046-240-5157

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