2018年7月31日
横浜市政策局共創推進課
公立大学法人横浜市立大学
日本電信電話株式会社
横浜市では、政策立案に向けた的確な現状把握や課題の見極めなどに、積極的にデータを活用し、民間等との連携によるデータ活用や新たな価値を創造する「オープンイノベーション」に取り組んでいます。
本日、横浜市(市長:林 文子)と公立大学法人横浜市立大学(理事長:二見 良之)、日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:澤田 純)は、横浜市官民データ活用推進計画の策定及び横浜市立大学データサイエンス学部の開設を契機として、官民データ活用に関する三者の連携・協力を強化し、超スマート社会(※1)の実現に向けて共に取り組んでいくことに合意し、包括連携協定を締結しました。
※1「超スマート社会」とは
国の第5期科学技術基本計画(平成28年1月閣議決定)に規定する「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」をいいます。>
横浜市が今年5月に「横浜市官民データ活用推進計画」を策定したことを契機に、これまでもグループ企業を通じて横浜市との共創に積極的に取り組んできた日本電信電話株式会社(以下「NTT」)から横浜市の共創フロント(※2)を通じて、データ活用に基づく超スマート社会の実現に向けた協力の提案をいただき、横浜市立大学(以下「市大」)を交えた協議を経て実現しました。
※1「共創フロント」とは
行政と民間が互いに対話を進め、新たな事業機会の創出と社会的課題の解決に取り組むために、横浜市が設置した相談・提案受付窓口です。
[HP]http://www.city.yokohama.lg.jp/seisaku/kyoso/front.html
今回の協定では、健康・福祉、子育て・教育など様々な分野で、データ活用を通じて市民生活をより便利にしていくことを目的とし、同時に、データを重視した政策形成の取組を通じて市政を効率的・効果的に運営していくことも狙いとしています。将来に向けて取組分野の拡充を図りながら、複雑化・多様化する市民ニーズに応えていきます。
以下の分野について、研究開発、人材育成、データを重視した政策立案等の観点も踏まえて取組を行います。
1.健康・福祉
2.子育て・教育
3.社会インフラ・モビリティ
4.地域経済活性化・まちづくり
5.市民サービス
6.働き方改革
7.その他三者が合意するテーマ
官民データ利活用によりさらなる発展を目指す横浜市、多彩なデータ分析スキルと専門的知見で市のシンクタンクとしての機能も期待される市大、民間の立場からデータ活用によるイノベーションで社会課題の解決に精力的に取り組むNTTの三者が共創し、市民生活の様々な場面で、データ利活用を容易にし、利便性を向上させるデジタルトランスフォーメーションを推進し、超スマート社会の実現を目指していきます。
また、こうした取組のプロセスを通じて、横浜市における「データを重視した政策形成」(EBPM:Evidence Based Policy Making)を進めます。
平成26年度に開始したよこはまウォーキングポイント事業(平成29年度末参加者:約30万人)に関する各種データを用いて、事業参加による生活習慣病の改善効果や医療費の抑制効果等の分析を行います。
【対象分野:健康・福祉】
1,800社以上が立地、10万人を超える就業者を擁し、約9,000人が居住、毎年約8,000万人が訪れるみなとみらい21地区をモデルとして、NTTの先端技術や市大の社会学的知見を活用し、子育て世代が容易に回遊できるバリアフリー環境の在り方を検討します。
【対象分野:子育て・教育、社会インフラ・モビリティ、地域経済活性化・まちづくり】
市内各地で展開されるリビングラボ(※3)(旭区「みなまきラボ」等)において、NTTが取り組んできた生活環境と健康状態の分析のノウハウ等を活用し、地域で暮らす人や企業などが双方向でつながる「まちのコミュニケーションプラットフォーム(仮称)」をインターネット上に展開し、地域課題の解決や地域のブランド力アップに役立てていきます。
具体的取組として、NTTと横浜市が共同開発したAIチャットボット「イーオのごみ分別案内(※4)」の開発・実証実験プロセスを通じて得られたノウハウ・知見の活用を検討します。
また、リビングラボにおいて新たなサービスや事業を創発するための技術やノウハウについても協働で開発していきます。
【対象分野:地域経済活性化・まちづくり、市民サービス】
※3「リビングラボ」とは
身近な地域の課題をテーマとして、住民を中心に様々な知見を有する企業、大学等と連携して課題解決のための対話を行う場をいいます。参加者の現状認識の共有化のため、官民データを活用して課題の可視化を進めながら、自由にアイデアを出し合うことで、新たな解決策を見出していくことが期待されています。
※4イーオのごみ分別案内
[HP] http://www.city.yokohama.lg.jp/shigen/sub-shimin/study-event/chatbot.html
市大の学生等に対し、実データの分析・利活用を社会実装につなげていくプロセスを体感する下記のようなプログラムを提供し、高度なデータ分析手法と社会実装の観点を併せ持つ、データサイエンティストの養成に取組みます。
【対象分野:子育て・教育】
来街者及び、高齢者や子育て世代等を中心とした市民の利便性向上に向けたデマンド型交通の実現可能性の検討を行います。
将来的には、NTTが保有する人流データ(※5)と市大のビッグデータ分析力を活用し、新たな観光資源の発掘、交通結節点の適正配置、市内イベントの効率的な運営等に活かすことを検討します。併せて市民・来街者の更なる利便性向上に向けたキャッシュレス化促進の取組を検討します。
【対象分野:社会インフラ・モビリティ、地域経済活性化・まちづくり】
※5「人流データ」とは
国内居住者約7,600万台、インバウンド約750万台の携帯電話ネットワークの仕組みを利用して個人のプライバシーを保護した形で作成される、人の動き・流れなどに関する統計的な情報等をいいます。
市職員の働き方改革に向け、定型作業の自動化を実現する仕組み(RPA:Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)を庁内業務で試行し、市職員による利活用の実現可能性、課題、効果等を検証・整理します。
【対象分野:働き方改革】
★を付した項目については、当面、横浜市及びNTTで検討を進めます。
平成29年3月28日 | 横浜市官民データ活用推進基本条例 制定 | ※自治体初 |
平成30年4月1日 | 横浜市立大学データサイエンス学部 開設 | ※首都圏初 |
平成30年5月22日 | 横浜市官民データ活用推進計画 策定 | ※単独計画としては政令市初 |
横浜市消防局が保有する15年分・約250万人分の救急搬送記録等の膨大なデータを活用し、将来推計人口やインバウンド、気象の影響等を加味し、2030年までの救急出場件数を予測、今後の救急車の効率的な運用などに活かす取組を進めています。
国のNDB(ナショナルデータベース:全国のレセプトデータ等を一元化した国保有のデータベース)を活用し、年齢、がんの種類、治療方法など多様な切り口で医療実態を細やかに把握し、がん患者の仕事と治療の両立支援や、がんの痛みをコントロールする緩和ケアの充実等に活かしていくことが期待されています。
本市の分別検索システムで培った2万語以上の単語(例:「CDケース」等)に対する分別方法などの情報を、NTTドコモのAI技術を駆使したプログラム「チャットボット」を活用して提供します。調べたい品目などをパソコンやスマートフォンに対話形式で入力することにより、ごみの分別方法や出し方など知りたい情報をスムーズに得ることができます。
本件に関するお問い合わせ先
横浜市
政策局共創推進課 梅澤 厚也
Tel 045-671-4394
公立大学法人横浜市立大学
企画総務部企画財務課 大吉 進
Tel 045-787-2018
日本電信電話株式会社
経営企画部門広報室 川野 大介
Tel 03-5205-5550
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