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2020年5月12日

日本電信電話株式会社
全日本・食学会
立命館大学

デジタルアーカイブによる食文化継承、おいしさ解明の共同研究を開始
~アフターコロナ時代の食文化発展のために~

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:澤田 純 以下、NTT)、全日本・食学会(東京都港区、理事長:村田 吉弘 以下、食学会)、立命館大学(京都府京都市、学長:仲谷 善雄 以下、立命館)は、視覚・聴覚にとどまらない人間の五感伝送、五感コミュニケーション技術をはじめとする最新のデジタル技術を活用し、食を人間の面から科学的に解明・記録・表現することによる日本の食文化の継承・発展、時代により変容する志向など、様々な人にとってのおいしさの解明、および、いわゆるアフターコロナ時代を見据えた飲食業界の新たな価値創造に向けた取り組みなどについて、ともに検討開始することに合意しました。

1.背景

食の志向は、核家族化や単身世帯の増加など、ライフスタイルの多様化に伴い、経済性志向、グルメ志向、健康志向など多様化・複雑化の一途をたどっております。

またこれまで日本は、豊かな自然、四季折々の食材を活かし、長い歴史の中で様々な食文化を生み出してきました。しかし、高度成長期から続く食の大量生産、グローバル化、少子高齢化等に伴う食生活の多様化により、これまで培われてきた豊かな食文化は失われつつあります。

さらに、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響から、いままでの食文化を牽引していた飲食店の中には存続の危機に見舞われているお店も少なくありません。

このような背景から、料理人がこれまで築き上げてきた文化価値としての料理や集いの場をいわゆるアフターコロナ時代に新たに昇華させる五感による基礎データとして蓄積することは、多くの料理人の夢と希望、喜びにつながる取り組みとなる可能性があります。

一方、近年デジタル技術の進歩は目覚ましく、高速大容量のネットワーク通信、ビッグデータ分析を可能にするAI、人とモノをつなぐIoTデバイスなどの発達により様々な分野で技術革新が起きています。

食学会は、日本国内はもとより世界各地で生活する人々に対して、日本の料理の発展を図るため、様々な分野の料理人が集い、卓越した匠の技を共有し、日本の食・食文化に関する教育、技術開発並びにその普及活動に取り組んでいます。

立命館は、食の総合研究の学部「食マネジメント学部」を日本で初めて開設し、経済・経営を基盤として、食の文化やテクノロジーを融合した新しい食科学の創造をめざしています。その中で心理学や、歴史学など人間と食とのかかわりについて様々な観点から研究に取り組んでいます。

NTTは、最新のデジタル技術を駆使し、様々な分野でデジタルトランスフォーメーションにより社会的課題を解決することに取り組んでいます。農業分野においても、様々な課題解決、従来になかった新たな価値創出をめざし、NTTグループ各社のサービス及び研究所の先端技術を集結させると共に、ビジネスパートナーとの密な連携により、「生産」から「流通・販売」「食」までをデジタル情報で一気通貫につなぐNTTグループのフードバリューチェーンを実現に取り組んでいます。しかしこれまでは、フードバリューチェーンの中でも「生産」、「流通・販売」のフェーズを主な取り組み対象とし、知見が乏しい「食」のフェーズについては十分に取り組めていませんでした。そこで、食学会、立命館の食に関する知見、分析ノウハウ等とNTTが有する最先端のデジタル技術を組み合わせ、フードバリューチェーンの最後のフェーズである「食」における新たな価値提供をめざした取り組みを開始します。(別紙1

2.取り組み概要

このような背景のもと、NTT、食学会、立命館は、食を人間の面から解明し、食文化を継承・発展させること等による、食を通じたウェルビーイング(人が身体的、精神的、社会的に良好な状態であること)の実現に取り組みます。

上記実現に向け、取り組むべき課題は様々ありますが、まずは食のデジタルアーカイブ化、おいしさの解明の2つのテーマに取り組みます。(別紙2-1

A.食のデジタルアーカイブ化(別紙2-2

本取り組みでは、失われつつある食文化の継承・発展をめざします。食文化には様々な要素がありますが、その中心となるのは料理です。料理が作れなくなれば、その文化が失われてしまうことにつながりかねません。現在、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、飲食店業界は営業の自粛を余儀なくされていますが、この状況が長引くと、これまでお気に入りの飲食店で料理を楽しんできた人々が離れてゆくことにもつながります。そこで、おいしく料理を食べた体験や思い出を五感で刺激し、高臨場に再現することで、まるでその店で料理を味わっているかのように仮想的に体感することを通じて、また店に行きたい、通いたい、という人々の思いをよみがえらせることができるような「食のデジタルアーカイブ」を実現します。

B.おいしさの解明(別紙2-3

様々な人へおいしさを提供するためには、人がおいしさを感じるメカニズムを解明することが必要ですが、人がおいしさを感じるのは味覚だけなく、様々な要素が複雑に絡んでいます。

そのため、ある料理がおいしいと感じるという何気ない日常的な出来事がなぜ起こるのか、その仕組みが未だ解明されていない部分が多いのが現状です。

そこで、おいしさの解明に向けて、(a)おいしさを形成する要因とそれらの関係性、(b)おいしさの個人差を生み出す要因の 2つの観点から取り組みを始め、様々な人がおいしさを感じられる食体験を実現します。

(a)おいしさを形成する要因とそれらの関係性

おいしさの要因にはどのようなものがあり、各要因がどのように関係しあっておいしいという感覚を生み出しているのか、多因子の相関分析を行う技術などを活用し、解明します。例えば、料理や食品のおいしさをより一層感じられることや、偏食を少なくすることにつながるような知見を獲得します。

(b)おいしさの個人差を生み出す要因

食品の地域や時代による違い、変容を解明します。例えば、日本全国各地でどのような食材、調味料、料理が好まれているか、なぜ好まれるのかなど地域に伝わる情報(ビッグデータ)の分析を通じて解明します。

3.プロジェクト名

 食のデジタルアーカイブ、おいしさの解明に向けた共同研究開発

4.参画企業等

別紙3の通り

5.今後の展開

今回始める取り組みは、食文化の継承・発展、おいしさの解明に向けた第一歩です。今後は、「食のデジタルアーカイブ化」、「おいしさの解明」などを通じた食文化の継承・発展、様々な人へのおいしさの提供の早期実現をめざします。先行的に、食学会所属のプロの料理人の一部のレシピを公開して、調理した料理のおいしさや、調理方法などを体感できるようにし、外出自粛の生活を楽しめるような取り組みを行う予定です。

また将来は、おいしさと健康との関係性解明にもテーマを拡大し、健康を維持しながら個人の好みに近づけるような調理方法の推奨など、健康の観点を盛り込んだ形での食を通じたウェルビーイングの実現もめざします。

これらの活動を通じて、ESG経営への貢献、企業価値の持続的な向上も実現してまいります。

別紙1 NTTグループの食農分野の方向性

別紙2-1 食を通じたウェルビーイング実現の取り組み方針

別紙2-2 食のデジタルアーカイブ化

別紙2-3 おいしさの解明

別紙3 参画企業等と役割

参画企業等 担当概要
NTT
  • 触感伝送技術、AIなどを用いたシミュレーション技術等最新のデジタル技術の提供
全日本・食学会
  • 食に関する知見提供
  • 料理人、料理に関するデータ収集環境提供
立命館大学
  • 食に関する心理実験ノウハウや環境提供
  • 食に関する日本の歴史資料の調査・分析

本件に関する報道機関からのお問い合わせ先

■日本電信電話株式会社

広報室
ntt-cnr-ml@hco.ntt.co.jp
※全日本・食学会への問い合わせについては、日本電信電話(株)広報室までお願いします

■立命館大学

広報課 担当:中村
TEL:075-813-8300
E-mail:erika-m@st.ritsumei.ac.jp

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