検索パネルを開く 検索パネルを閉じる メニューを開く メニューを閉じる

2020年6月19日

日本電信電話株式会社
株式会社MTI

世界初の無人運航船実証実験に向けた共同研究契約締結
~2025年までの無人運航船実用化に向けて~

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:澤田 純、以下「NTT」)と株式会社MTI(本社:東京都千代田区、社長:石塚 一夫、以下「MTI」※1)は、「Designing the Future of Full Autonomous Shipプロジェクト(以下「DFFASプロジェクト」)※2」を通じ、世界初となる輻輳海域での無人運航船実現に向けた実証実験を実施するため、共同研究契約を締結しました。MTIは無人運航船の実現に必要となるシステムのコンセプト設計、関連技術開発・検討、NTTはIOWN構想(アイオン:Innovative Optical & Wireless Network、以下「IOWN」※3)における技術の適用検討、とそれぞれの強みを活かし、DFFASプロジェクトがめざす無人運航船がつくる未来の可能性の提示に向けて、共同研究開発に取り組みます。


1.背景と目的

近年、我が国の長期的課題のひとつとして、インフラとして我が国の社会経済活動を支え、国内物流の約4割を占めている内航海運を担う船員の高齢化、人員確保の難しさ、が挙げられており、地方経済や関連産業(造船・舶用機器、保険等)に及ぼす影響も大きいことから、国と業界が一体となってその解決に取り組んでいます。

船の無人化、自動化はこうした課題の解決策として期待されていますが、船陸間の通信環境整備や障害物を瞬時に避けることが難しいなどの技術面、開発への莫大な資金が必要などの経済面から、これまで無人運航船の開発はほとんど行われていませんでした。

一方で日本は、IoT、AIや画像解析技術をはじめ、世界的に高い技術を保持しており、これらの技術を持つ複数の民間企業が共同で技術開発を行うことで、無人運航船にかかる技術開発を飛躍的に進められる可能性があります。そこで、公益財団法人日本財団(以下、「日本財団」)がハブとなり、2019年10月から「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」の募集が行われ、NTT、およびMTIは、国内22社で構成されるDFFASプロジェクトのメンバーとして採択されました。

無人運航船がつくる未来の可能性を世界に示すとともに、物流革命、および業界の発展を促進させることを目的に、自動運航船に関する技術を追い求める日本の海事産業企業・団体などとDFFASプロジェクトに参画し、日本財団の支援の下、NTTとMTIは、2025年までの本格的な実用化という目標に向けて、世界初となる無人運航船実現に向けた共同研究を実施します。

図1:無人運航船の普及を通じて実現したいことと必要な検討要素 図1:無人運航船の普及を通じて実現したいことと必要な検討要素


2.取組みの位置づけ

無人運航船の実現には様々な技術分野(操船、状態監視、通信など)が関連しますが、無人運航船の機能健全性(可用性)を担保し続けるために、新たな通信・基盤システムの設計・開発が重要となります。

NTTとMTIは、2017年より、船舶の安全性・経済性の追求および国際的な競争力の強化のため、海事産業のイノベーション創出をめざし、両社の持つ技術、および研究開発成果を組み合わせた共同実験に取り組んでまいりました※4。その船舶運航向けの通信技術・経験を活かし、無人運航船の開発に貢献するため、共同研究契約を締結することとなりました。


3.研究テーマの概要

本共同研究・実証実験において、NTT、およびMTIは以下の3つの技術開発のテーマに取組みます。DFFASプロジェクトをIOWNの将来ユースケースの一つと捉え、必要な要件の洗い出しと技術的課題の解決に取り組みます。

  1. 船舶向けコンテナ配信技術
    →衛星回線の狭帯域環境でのコンテナ技術とOTA(Over The Air)技術の実用化

  2. 船上、および船陸間の通信制御技術
    →SDN(Software Defined Network)による通信制御でのネットワークの可視化と運用性の向上

  3. 船陸間の無線通信・端末技術
    →船舶向け5G/LTE技術の適用、衛星・モバイルのハイブリッド技術など

図2:取組みテーマイメージ 図2:取組みテーマイメージ


4.今後の予定

2025年までの本格的な実用化という目標に向けて、2021年度の実証実験の成功をめざし、通信・基盤技術の検討・検証、搭載装置の設計・開発等を進めてまいります。

図3:無人運航船実現までのイメージと社会に与える影響 図3:無人運航船実現までのイメージと社会に与える影響



※1株式会社MTIは日本郵船株式会社の技術研究開発を担う戦略的子会社です。MTIの多くの研究は、社外パートナーとのコラボレーションで取り組んでおり、国内の造船所、舶用機器メーカー、船級協会、研究機関はもとより、欧州を中心とした海外のメーカー、船級協会、大学、ITベンダーとも幅広く連携して研究プロジェクトを推進しています。
https://www.monohakobi.com/ja/当該ページを別ウィンドウで開きます


※2DFFASプロジェクトとは 日本財団が実施する「無人運航船 プロジェクト MEGURI 2040」
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2020/20200612-45056.html当該ページを別ウィンドウで開きます
日本財団に採択された実証実験プロジェクト。NTT、NTTコミュニケーションズ株式会社、および株式会社NTTドコモが参画しています。

無人運航船 プロジェクト MEGURI 2040


※3IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network) スマートな世界を実現する、最先端の光関連技術および情報処理技術を活用した未来のコミュニケーション基盤
https://www.rd.ntt/iown/当該ページを別ウィンドウで開きます


※4船舶IoTの次世代プラットフォームに関する共同実験の開始とさらなる連携について
https://www.ntt.co.jp/news2017/1709/170919a.html当該ページを別ウィンドウで開きます

本件に関する報道機関からのお問い合わせ先

日本電信電話株式会社
広報室
ntt-cnr-ml@hco.ntt.co.jp

株式会社MTI
広報担当
info@monohakobi.com

ニュースリリースに記載している情報は、発表日時点のものです。
現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。