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2020年11月17日

日本電信電話株式会社

医療健康ビジョン:バイオデジタルツインの実現
-心身の状態の未来を予測し、人間が健康で将来に希望を持つことのできる輝く“医療の未来”へ-

日本電信電話株式会社(東京都千代田区、社長:澤田純、以下「NTT」)は、人間を理解し、心身の状態の未来予測による疾患の予防、治療を通じ、人々と医療従事者がともに健康で将来に希望を持ち続けられる世界の実現に貢献していくため、このたび医療健康ビジョンを発表します。

医療健康分野を取り巻く環境変化

人類は、Covid-19のパンデミックの真っ只中にいます。医療や社会システムは深刻な打撃を受けました。その症状、重症度、致死率や予後に地域差や個人差が大きく、生体の未知な領域の広さと深さを再認識するとともに、市民のみならず、医療従事者の安全確保という課題も浮き彫りになりました。このため、これまで以上に疾病の原因が明らかにされ、事前シミュレーションによる個人の治療や健康活動の最適化等、より精緻で個別化された予防、治療やケアが求められています。更には、未知なる疾病の発生などを先回りして発見して対処するなど、心身の未来予測へ期待が高まっています。

医療健康ビジョン

そこでNTTは、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)の構成要素の一つであるデジタルツインコンピューティングによって人それぞれの身体および心理の精緻な写像(バイオデジタルツイン:Bio Digital Twin以下、BDT)を実現し、これを通じて心身の状態の未来を予測し、人間が健康で将来に希望を持ち続けられる医療の未来への貢献をビジョンとして定めることと致しました。
 ここで言う医療とは、医療従事者によって提供される医療のほか、ヘルスケア、介護、障がい者支援を含みます。
 心身の未来予測をするためにはまず、(1)臓器機能のデジタル写像化が必要です。生体は環境や負荷に対応して日々刻々変化していますので、(2)心電、心音、血糖値など(バイオマーカー)の生体情報は、個人の体に負担が小さく、常時もしくは適時に測定すること、(3)人の行動メカニズム、心理、臓器連関としての疾患など、複眼視的心身状態の予測シミュレーションが必要となります。また、未来の予測だけでなく、(4)体内の超ミクロ領域での診断・治療、(5)介護や障がい者支援などのために中枢神経系からの信号に沿った四肢動作を制御することも必要です。これら5つの各ゴールに対応するために、人それぞれをデジタルツイン化する技術、人それぞれの個性を捉える五感を超えた心身のリアルタイム非侵襲センシング技術、心身の状態の未来予測技術と思考や行動の分析技術、インプランタブルデバイス・バイオミクロロボット、生体内における情報伝達・制御技術の研究開発を進めてまいります。これらの技術により実現されるBDTは本人の同意のもとに個人情報を用いてデジタル世界に写像することができれば、その人の思考や取り巻く環境の影響等も踏まえた、過去から未来にわたる心身状態の把握が可能になります。また、薬の効果や手術の事前シミュレーションによる治療効果の最大化や、健康のために食事等を我慢することのない、個々人の行動メカニズムから導き出される無意識下に自然な生活習慣の改善など、様々なユースケースで活用され、Well-Beingの向上に貢献していきたいと考えています。

技術革新・バイオデジタルツイン・価値創造

具体的な取り組みとして例えば、心血管系においては、瞬時の調節から負荷や遺伝や生活習慣など時間軸の長い経過を経て疾病が発症する重層的機序が働いて全身の恒常性を保っている機構に着目し、段階的に心臓のBDT創成を計画しています。心電や心音などの生体センシングデータや診療データを使って心臓のBDTの構築、評価を進め、心不全の診断・治療における個人ごとの症状の把握、薬の選択や疾患の予防などの実現をめざしてまいります。
 また、BDTの実現には大学等の学術機関、医療機関、企業、自治体はじめ様々のパートナーの皆さまと連携が必要であるとの認識から、2021年度にコンソーシアム等の議論の場の設立を予定しています。

 なお、2020年11月17日~20日に開かれるNTT R&Dフォーラム2020 Connect(https://www.rd.ntt/forum/当該ページを別ウィンドウで開きます)にて、本ビジョンと関連する技術開発の取り組み内容の一部をご紹介します。

本件に関する報道機関からのお問い合わせ先

日本電信電話株式会社

広報室
TEL:03-5205-5550

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