2021年9月 1日
日本電信電話株式会社
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:澤田 純、以下「NTT」)が運営する「NTT技術史料館」所蔵の「100km長VAD単一モード光ファイバ」が、9月1日に国立科学博物館の「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)*1」に登録されました。
VAD法*2による長尺低損失単一モード光ファイバの工業的製造が可能であることを初めて実証した光ファイバとして、全合成単一モード光ファイバ、VAD法の発展と普及、光通信時代実現の先駆けとなる技術として重要であると評価されています。
※登録証および記念盾授与式は2021年9月14日に国立科学博物館にて開催されます。
現在、光ファイバ通信に多く用いられている光ファイバは、光が通る中心部分のコア・外側のクラッドという2層構造となっています。VAD法とは、石英ガラスを原料として光ファイバのもととなる「母材」を製造する方法の1つで、ガラスの原料ガスから生成されるガラス微粒子(コア用・クラッド用)それぞれをバーナーで吹き付けて、2層構造を持つ円柱状の多孔質母材を作製、その多孔質母材に高温の加熱処理を施し透明化するという方法です。この母材を高熱で細く引き伸ばしたものが光ファイバとなります。
1960年代後半から通信用の伝送媒体としての実現可能性が提示されていたガラス製光ファイバについて世界で研究開発が始まるなか、1970年代初頭、NTTが光ファイバ製造技術の研究を開始します。米国で考案されていたMCVD法・OVD法*3などに接し、NTTは古河電工、住友電工、フジクラとの共同研究体制を立ち上げ、MCVD法の改良を行う一方、量産に適した日本独自の光ファイバ製造方法の考案をめざし研究開発を行いました。
1977年には、国際会議「IOOC'77」*4で量産性に優れた日本独自の光ファイバ製造方法としてVAD法を発表し、高く評価されました。
1977年以降もさらなる研究開発を推し進め、VAD法を用いた光ファイバ量産工程の確立、VAD法による超低損失光ファイバ*5の製造方法確立などを実現していきました。VAD法が持つ、光ファイバ母材の大型化・低損失化がしやすいなどの特長に加え、継続的な研究開発により、極めて伝送損失の少ない光ファイバを無接続かつ継ぎ目なしで100km長以上の長尺で作製することが可能になり、光ファイバの量産化・経済化に大きく貢献しました。現在も世界的に使われています。
100km長VAD単一モード光ファイバ
NTT技術史料館は、日本の通信事業のルーツから日本電信電話公社発足以降の半世紀を中心に、NTTグループの電気通信に関する研究・技術開発の歴史的資産を集大成した施設です。1,500点以上の技術史料を「歴史をたどる」と「技術をさぐる」の2部構成で紹介しており、これまでに以下の技術史料が「未来技術遺産」に登録されています。
NTT技術史料館では、自由にご来館いただける一般公開を行っております。詳細はNTT技術史料館ホームページ(http://www.hct.ecl.ntt.co.jp/)をご確認ください。
2010年度登録(第00060号)(1) 内航船舶無線電話装置 NS-1号 JAA-333
(2) ワイヤレステレホン(大阪万博の携帯電話)
(3) 自動車電話 TZ803A
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NTT情報ネットワーク総合研究所
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