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2024年2月22日

株式会社NTTドコモ
日本電信電話株式会社

6G実現に向け新たにSKテレコム、ローデ&シュワルツと実証実験の協力に合意
~Nokia、富士通、キーサイト・テクノロジーと取り組みを進める実証実験成果も確認~

株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)と日本電信電話株式会社(以下、NTT)は、第6世代移動通信方式(以下、6G)に関する実証実験の協力体制※1※2をさらに拡大し、新たに海外オペレーターであるSK Telecom Co., Ltd.(以下、SKテレコム)、および高周波用高性能測定器のメーカーであるRohde & Schwarz GmbH & Co. KG(以下、ローデ&シュワルツ)の2社と、6Gの実現に向けた実証実験の協力について合意しました。

ドコモとNTTは、これまで取り組みを進めてきた富士通株式会社(以下、富士通)、日本電気株式会社(以下、NEC)、Nokia、Ericsson、Keysight Technologies, Inc.(以下、キーサイト・テクノロジー)の5社※1※2に加え、全7社に協力体制を拡大し、6Gのさまざまな周波数帯を想定した実証実験をさらに推進してまいります。

新たに加わった2社の具体的な協力内容は、SKテレコムについてはドコモとの技術協力※3の一環として、AI技術の活用によるさまざまな伝搬環境に合わせた無線インターフェースの実証実験に参加します。これまでドコモ、NTT、Nokiaの3社で進めてきたプロジェクトに合流し、ドコモと同じオペレーターとしてのノウハウ連携やエコシステム化を視野に入れ、想定するユースケースにより近い環境へ拡大し、実証実験を行う予定です。また、ローデ&シュワルツは、ローデ&シュワルツが保有する測定系構築技術を活用し、移動通信技術にとどまらない新たな無線センシング評価のためのチャネルモデルの検討を進め、実際の環境における測定やチャネルモデルを通じて無線センシングの性能評価を行う予定です。

図1 新たに協力する2社を含む、全7社の実証実験全体像 <図1 新たに協力する2社を含む、全7社の実証実験全体像>

また、2022年6月から主要ベンダー5社と新たな無線通信技術やAI技術の活用に焦点を当てた実証実験を進め、成果を確認しました※4※5。そして、今回以下のような新たな成果を挙げました。

  1. Nokia 140GHz帯の無線アクセス技術の実験

    成果: Nokiaが試作開発した140GHz帯無線部試作機と128素子のフェーズドアレイアンテナ※6を用いて、日本国内でビームフォーミングの実証実験に成功。実証実験の結果、フェーズドアレイアンテナの異なる方向へのビーム走査により、受信機を移動させても良好な受信強度特性を得られることを無線部試作機の実動作として確認。

    今後: 室内環境などにおいて、ユースケースに着目した実験を行っていくことでサブテラヘルツ帯※7の実用性を確認していく予定。

  2. 富士通 100GHz帯と300GHz帯を活用した分散MIMOの実験

    成果: 富士通が試作した100GHz帯フェーズドアレイアンテナと無線回路を用いた実験により、分散MIMOに相当する伝搬路情報取得に成功。

    今後: シミュレーションにより遮蔽耐性や分散MIMO特性などを分析する予定。

  3. キーサイト・テクノロジー サブテラヘルツ帯伝搬測定システムのアーキテクチャ検討、伝搬測定実験・チャネルモデル策定

    成果: NTTが中心に開発した896素子からなる超多素子の受信アンテナとキーサイト・テクノロジーが構築した受信信号解析装置を組み合わせ、サブテラヘルツ帯の電波の空間的な到来を視覚的かつリアルタイムで観測可能な装置を実現。また、ドコモが中心に開発した10GHzを超える超広帯域信号を用いたSISOチャネルサウンダとキーサイト・テクノロジーが構築した信号送受信装置を組み合わせ、サブテラヘルツ帯の時間的な電波の到来を超高分解能に観測可能な装置を実現。本装置群を用い、サブテラヘルツ帯を用いた超広帯域通信に向けた電波伝搬実験を実施し成功。

    今後: 引き続き、本装置群を用いて実利用環境の変動追従性を持つチャネルモデルを構築することで、効率的な超広帯域通信6Gシステムの設計に貢献。

ドコモとNTTは、国内外の主要ベンダー、海外オペレーターとの実証実験を推進するとともに、幅広い移動通信技術の研究開発に向けて、今後もさらにパートナーを拡大し、各社の強みを活かしたさまざまな取り組みを推進する予定です。これにより、6Gの研究開発を加速させ、世界的な6Gの標準化や実用化に向けた検討に貢献してまいります。

なお、6Gの実現に向けた実証実験の取り組みは、2024年2月26日(月曜)からスペイン・バルセロナで開催されるMWC Barcelona 2024のドコモブースで紹介いたします。

*参考本日同時刻にSKテレコム、Nokiaが報道発表を実施
(SKテレコム)SKT, DOCOMO, NTT and Nokia Team Up to Implement AI in the 6G Air Interface: https://www.sktelecom.com/en/press/press_detail.do?idx=1602当該ページを別ウィンドウで開きます
(Nokia)Nokia, SKT, NTT and DOCOMO team up to implement AI in the 6G air interface: https://www.nokia.com/about-us/news/releases/2024/02/22/nokia-skt-ntt-and-docomo-team-up-to-implement-ai-in-the-6g-air-interface-mwc24/当該ページを別ウィンドウで開きます

※1報道発表:国内外の主要ベンダーと6Gの実証実験で協力 -「5G Evolution & 6G powered by IOWN」の実用化に向けた研究開発において世界をけん引-
https://group.ntt/jp/newsrelease/2022/06/06/220606a.html

※2報道発表:国内外の主要ベンダーと6Gの実証実験の協力体制を拡大 -新たにEricsson、キーサイト・テクノロジーとの実験協力に合意-
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/02/27/230227a.html

※3報道発表:メタバース、デジタルメディア分野および5G evolution、6Gの技術分野における協力に向けてSKテレコム社と基本合意
https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2022/11/21_00.html当該ページを別ウィンドウで開きます

※4報道発表:世界初、28GHz帯で遮蔽を気にせず繋がり続ける分散MIMOの実証実験に成功 -ショッピングモールや工場など厳しい遮蔽環境でも、大容量通信が利用可能に-
https://group.ntt/jp/newsrelease/2022/10/31/221031a.html

※5報道発表:ノキア、ドコモ、NTT3社による2つの技術開発により、6Gが大きく前進
https://www.nokia.com/ja_jp/about-us/news/releases/2023/02/15/nokia-docomo-and-ntt-make-two-key-6g-advances/当該ページを別ウィンドウで開きます

※6フェーズドアレイアンテナは、複数のアンテナ素子の位相を制御することで、電波の到来方向にアンテナの指向性を向けることが可能なアンテナ

※7サブテラヘルツ帯とは、90~300GHzであり、5G Evolution向けに想定されている周波数帯よりもさらに高い周波数帯。ミリ波と比較して直進性がさらに高く、障害物による遮蔽に弱い性質を持つ

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTドコモ
広報担当
TEL:03-5156-1366

日本電信電話株式会社
情報ネットワーク総合研究所 広報担当
nttrd-pr@ml.ntt.com

<別紙1>SKテレコム、ローデ&シュワルツとの実証実験概要

1. 各社との実証実験内容(予定)

<SKテレコム>

  • 内容
    各社のさまざまな異なる拠点において設定したユースケース、および実際の環境シナリオに対する実証の開発と検証を実施。また、無線で実際のネットワークシナリオに近い検証を計画。
  • 役割
    ドコモ、NTT、Nokiaの3社連携し行っていたAIを活用した変復調技術の実験を、SKテレコムを加えた4社連携に体制へ移行。Nokiaは本技術の開発、SKテレコム、ドコモは各移動通信事業としての本技術のユースケース検証実験ならびに必要となる電波免許取得、NTTは本技術の要素技術部分の検証実験を担当。
  • 利用周波数帯
    3.5-7.2GHz帯を想定
  • 実験期間
    2024年2月~2025年12月(予定)

<ローデ&シュワルツ>

  • 内容
    無線通信の電波で物体検知などを行う無線センシングの電波伝搬特性および性能評価を実験予定。
  • 役割
    ローデ&シュワルツは無線センシングの性能評価や電波伝搬特性評価に必要となる測定系構築。NTTはセンシング技術評価、および同技術の性能評価に必要となる電波伝搬特性の推定技術の検討、ドコモは無線センシングが活用されるユースケースや環境の検討、ならびに実証実験の実施および必要となる電波免許取得を担当。
  • 利用周波数帯
    7~24GHz帯を中心に幅広く実施することを想定
  • 実験期間
    2024年2月~2026年3月(予定)

2. 各社概要

【SKテレコム】

代表者 Ryu Young-sang
所在地 SK T-Tower, 65, Eulji-ro, Jung-gu, Seoul, 04539, Korea
設立 1984年
従業員数 5,413名(2022年12月現在)
事業内容 情報通信業

【ローデ&シュワルツ】

代表者 Christian Leicher(社長兼CEO)
Peter Riedel(社長兼COO)
Andreas Pauly(社長兼CTO)
所在地 Muehldorfstrasse 15, 81671 Munich, Germany
設立 1933年
従業員数 約13,800名(2023年6月30日現在)
事業内容 電子計測、技術システム、ネットワークおよびサイバーセキュリティの各部門を通じた、より安全に"つながる"社会の実現

<別紙2>ベンダー3社との実証実験進捗概要

1. Nokiaとの進捗概要

Nokiaが開発した128素子のフェーズドアレイアンテナを搭載した140GHz帯無線部試作機(図2(a))を用いて、屋内環境においてフェーズドアレイアンテナの動作確認実証実験を実施しました。具体的には、NTT横須賀研究開発センタ内の実験室で、無線部試作機の送信機に実装したフェーズドアレイアンテナのビーム放射角度を-15°から+15°まで変化させ、受信機の位置を送信機から見て-45°から+45°まで変化させた各地点にて受信強度を測定しました(図2(b))。評価した結果、フェーズドアレイアンテナのビーム放射角度に応じ、所望の受信強度特性を得ることができ、ビームフォーミングの動作を確認しました(図2(c))。これにより、サブテラヘルツ帯のような超高周波数帯の活用において、移動する受信機へのフェーズドアレイアンテナを用いたビーム追従実現の見通しを、無線部試作機の実動作として示すことができました。今後、ユースケースを踏まえ、オフィスなどの屋内環境において実環境での実証実験を進め、サブテラヘルツ帯の移動通信への適用領域の検証と、その拡大に必要な技術検証を行う予定です。

図2 実験構成および実験結果 <図2 実験構成および実験結果>

2. 富士通との進捗概要

富士通が開発した4素子のフェーズドアレイアンテナ(図3(a))を搭載した100GHz帯無線回路を用いて、分散MIMOシステムの受信強度測定実験を屋内の遮蔽環境にて実施しました。具体的には、ドコモのR&Dセンタ内の実験室(5×10mエリア)で、エリア内に遮蔽物を設置し、分散MIMOを想定した送信機を3か所に順番に設置することで、エリア内の複数ポイントとの受信強度を測定しました(図3(b))。送信機側はアンテナビーム方向を変更し、受信機側は複数の方向から測定しました。基地局アンテナとして、全3か所を分散MIMOとして活用した場合と、1か所のみ設置とみなした場合の受信強度比較をオフライン解析により評価しました。評価した結果、分散MIMOによる遮蔽環境での品質改善効果、カバレッジ拡大効果を確認しました(図3(c))。これにより、100GHz帯で期待される超高速大容量無線伝送のユースケースとして、工場やショッピングモールなどの産業機器や人の遮蔽物が高密度に存在する屋内エリアでも、分散MIMOを活用することにより、100GHz帯を適用することの有効性を示しました。今後、このような屋内大容量環境に加え、駅前やビル街などの屋外大容量環境においても、実環境での実証検証を進め、100GHz帯以上のサブテラヘルツ帯の移動通信への適用領域の検証と、その拡大に必要な技術検証を行う予定です。

図3 実験構成および実験結果 <図3 実験構成および実験結果>

3. キーサイト・テクノロジーとの進捗概要

サブテラヘルツ帯を用いた超広帯域通信に向けた屋内外電波伝搬測定および電波伝搬特性のモデル化に向けた取り組みを推進しました。サブテラヘルツ帯の電波は、5Gで利用されている電波よりも波長が短く、携帯電話など端末周辺の車両や構造物の影響を大きく受け、非常に多くの電波が急峻に変動して到来します。屋外電波伝搬測定ではキーサイト・テクノロジーが開発した広帯域受信信号取得/解析装置に、NTTが開発した896素子からなる超多素子の受信アンテナ(図4(a))と信号処理技術を組み合わせ、サブテラヘルツ帯の電波の到来を超高精度で視覚的かつリアルタイムで観測可能な超多素子電波伝搬測定装置を世界で初めて※83社共同で開発しました。本装置は屋外都市部環境で実証を行い(図4(b))、フェーズドアレイアンテナによるビーム追従がミリ秒オーダーで正常に動作するとともに、受信機を移動させても、サブテラヘルツ帯の到来波について「いくつの電波が、どこから、どれくらいの強さで、どれくらいの遅延時間で到来しているか」を視覚的かつリアルタイムで解析できることを確認しました。屋内電波伝搬測定ではキーサイト・テクノロジーが開発したサブテラヘルツ帯広帯域受信信号取得装置により、ドコモが超広帯域通信に向けた屋内電波伝搬測定を実施しました(図4(c))。占有帯域幅が10GHzを超える時間分解能を活用して、これまでよりも詳細な電波伝搬特性の解析が可能となりました。
 引き続き、本測定を通じて電波伝搬特性のモデルを構築することで、6Gの実利用環境の変動に追従可能なサブテラヘルツ帯のシステム実用化に貢献し、ユースケース開拓に貢献します。

※82024年2月時点でのドコモおよびNTT調べ

図4 電波伝搬実験の様子 <図4 電波伝搬実験の様子>

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