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2024年3月 1日

日本電信電話株式会社

2024年度事業計画の認可申請について

日本電信電話株式会社(NTT)は、2024年度事業計画(単体)について、本日、次のとおり総務大臣に認可申請を行いました。

Ⅰ.情報通信を取り巻く環境

情報通信については、ブロードバンド通信環境の充実やスマートフォン・タブレット等の普及・浸透に加え、第5世代移動通信システム(5G)のサービス拡大、クラウドコンピューティングの利用拡大、AI、デジタルツイン、量子コンピューティング、WEB3等の新たな技術が急速に進展している。また、さまざまなデータが蓄積され、その利用環境の整備を図ることにより、データの分析・活用が進み、人々の生活における利便性や各産業における効率性の向上等、幅広い分野で新たな価値の創造・提供が可能となっている。こうしたイノベーションの創出は、デジタル田園都市国家構想実現に向けた取り組み、大阪・関西万博等を契機に更に加速していくと想定される。
 情報通信市場においては、様々な事業者が、既存の業種・業態の枠組みを超えた連携によりICTの利活用を通じ、持続的な経済成長、地方創生への寄与、少子高齢化等の社会的課題の解決のため、多様で革新的な新規サービスの創出に努めてきている。
 一方で、リアルとオンラインが共存した働き方・ライフスタイルが定着し、社会活動や経済活動のデジタルシフトが進展したことによるデータ流通量増加への対応、新たな価値創出や社会課題解決への期待の高まり、高度化・複雑化するサイバーセキュリティ上の脅威や激甚化する災害対策への取り組み強化等、安心安全な社会システムの運営及び豊かな国民生活の実現に向けた情報通信の役割はより重要となってきている。

Ⅱ.NTTの責務

当社は、このような情報通信をとりまく環境の中で、ユニバーサルサービスの確保に寄与するため、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下、「東西地域会社」という。)に対する必要な助言、あっせん、その他の援助を行うとともに、情報通信の基盤となる電気通信技術に関する研究開発の推進に努めていく考えである。
 なお、現在、情報通信審議会において、研究開発推進・普及責務の撤廃が議論されているところであるが、仮に当該責務が撤廃された場合でも、引き続き電気通信技術に関する研究開発を推進するとともに、様々なパートナーとより機動的かつ柔軟な連携を推進することで、研究開発成果の活用拡大を実現していく。

Ⅲ.基本的なグループ経営方針

令和5年5月に発表したNTTグループ中期経営戦略「New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN」に基づき、新たな価値創造と地球のサステナビリティのために取り組んでいく。具体的には、IOWNやデータ・ドリブンによる新たな価値創造、循環型社会の実現、事業基盤の更なる強靭化、それを支えるお客さま体験(CX)や従業員体験(EX)の高度化に取り組み、グループ全体の発展に向けた経営を推進していく。
 その取り組みにおいては、現行法の枠組みの下で公正競争条件を確保して進めていく考えである。

Ⅳ.令和6(2024)年度のグループ経営方針

令和6年度の事業経営にあたっては、この基本的な考え方に基づき、先進的なブロードバンドネットワークの構築や5G等を活用した多彩なサービスの提供に加えて、持続成長する社会における課題に対応するため、「オールフォトニクス・ネットワーク」、「デジタルツインコンピューティング」、「コグニティブ・ファウンデーション」から構成されるIOWN構想の実現に向けた取り組みをはじめBeyond 5G(6G)時代を見据えた移動・固定を跨るコアネットワーク等に係る研究を加速し、技術革新を通じた新たな価値創造を実現していく。
 オープンイノベーションを継続・強化し、新たなビジネスモデルを支える技術や人材を生み出す研究開発活動により、将来にわたって安定した事業の発展に期するとともに、これらの成果をお客さま、株主の皆様及び社会に積極的に還元できるよう努め、情報通信産業の発展に寄与することとする。
 さらには、安心・安全なICT基盤確保に向けた情報通信ネットワークの高度化・強靭化等災害対策への更なる取り組みや、固定電話のIP網へのマイグレーション完了に向けた円滑な移行、指針を遵守した共同調達によるコスト低減等を通じたお客さま還元や研究開発の促進を推進していく。
 自動運転サポートや遠隔医療等、5Gによる新たな利用シーンの創出に向けた取り組みに加え、大容量と低遅延が特徴である「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」サービスや世界トップクラスの日本語性能を持つ小型、省電力の大規模言語モデルであるNTT版Large Language Model「tsuzumi」の普及拡大に向けた取り組みを進めるとともに、「光電融合デバイス」についても、ボード接続用デバイスの開発や更なる低消費電力化に向けた研究開発を推進し、電力消費の大幅な削減を通じて社会全体の環境負荷削減に貢献していく。
 また、データ・ドリブンによる新たな価値創造に向けて、パーソナルビジネス強化、社会・産業のDX/データ利活用の強化を図り、お客さま体験(CX)を高めるサービスを提供していくことにより、持続的な事業成長を図っていくとともに、従業員体験(EX)の高度化に取り組んでいく。加えて、情報セキュリティも含めて内部統制機能等ガバナンスの一層の強化・充実を図り真摯に取り組んでいく。また、経済安全保障への対応やネットゼロと経済成長の同時実現に向けた取り組みを更に推進していく。

令和6年度事業計画においては、以上の考え方をふまえ、次の項目に重点をおいて事業経営を行うこととし、その遂行にあたっては経営環境の変化に即応しつつ弾力的に行う。

Ⅴ.令和6(2024)年度事業計画

1.助言・あっせん等

当社は、東西地域会社に対し、適切な株主権の行使を行うとともに、良質かつ安定的なユニバーサルサービスの確保に向けて、電気通信ネットワークの品質及び高度化に係わる企画・調整、天災等非常事態の発生時における統括・調整機能の発揮、効率的な資金調達の実施及び資材調達の方針策定等、必要な助言、あっせん、その他の援助を行っていく。
 あわせて、東西地域会社を含めたグループ各社に対し、事業経営の効率化・事業機会の拡大等に関する経営支援、グループの中核となる人材の育成支援、現行法の枠組みの下での公正競争条件の遵守やコンプライアンスの徹底等を実施していく。

2.基盤的研究開発の推進

Beyond 5G(6G)を含むIOWN構想を早期に実現するべく、光電融合技術の研究開発の加速や、令和5年3月に提供開始したAPNサービスの高度化等、引き続き更なるIOWNサービス・プロダクトの事業化に向けて、ネットワーク基盤技術、新たなサービスやアプリケーションの基盤となる技術、先端及び基礎的な技術の調和を図りながら、付加価値の高い研究開発の推進を強化するとともに、IOWN Global Forumをはじめとして国内外において、他研究機関・パートナー企業等と連携したイノベーションや技術交流、普及・知財・標準化活動等に引き続き積極的に努めていくこととする。
 また、これらの基盤的研究開発については、その成果を活用し継続的な費用負担に応じる東西地域会社等からの基盤的研究開発収入により、グループ全体の成長を見据えて研究開発力を強化するとともに、一層の効率化を図りつつ継続的に実施することとする。
 具体的には、次の項目について重点的に研究開発を推進する。

(1)インフラ系研究開発

あらゆるものを「つなぐ」ための情報ネットワーク社会基盤を発展させるために、情報ネットワークを利用するお客さまやサービス事業者の多様なニーズに柔軟に応えられる経済性の高いネットワークの実現のための研究開発に引き続き取り組む。
 具体的には、APNサービスの大容量化や低消費電力化に向けた研究開発に加え、汎用装置を組み合わせて柔軟なネットワークを実現する転送系機能の技術や、自律化・自動化が可能なオペレーション技術、ソフトウェアにより需要に応じて柔軟に規模を変更できる高スケール性と冗長性を持つサーバアーキテクチャに加え、これらのオーケストレーション技術等の研究開発を推進する。
 また、重要な社会インフラである通信設備の維持管理に関する技術や災害に強いネットワークの構築に資する研究開発、移動固定融合型のサービス創出や宇宙における衛星間の光無線通信を見据えた異なる領域に適用可能な共通のネットワーク基盤の実現に向けた研究開発を推進する。

(2)ユーザ系研究開発

人々の生活をより豊かに快適にする先進的なサービスの創造に向けて、通信技術とコンピュータ技術を融合した、AI、メディア処理、パーソナライズ、クラウド、セキュリティ等の技術に関する研究開発に引き続き取り組む。
 具体的には、リモートワールドを見据えた超高臨場感の映像をリアルタイムに配信する技術、生成AIに活用する大規模言語モデル、街づくりDTC(デジタルツインコンピューティング)、分散型社会を見据えた認証・暗号化やサイバー攻撃対応等のセキュリティ関連技術に加え、カーボンニュートラルに資する研究開発を推進する。
 また、グループ内のセキュリティ技術者を育成すると同時に、産業界全体のスキル向上に向けた他企業や大学等への支援活動も行っていく。

(3)基礎技術研究開発

日本の情報通信の創意ある向上と発展に寄与し、将来の情報通信を支える技術研究における先導的な地位を確保するための基礎技術の研究開発に引き続き取り組む。
 具体的には、1Tbpsを超える次世代の大容量・長距離光伝送基盤、超高速光伝送技術、カーボンニュートラルに向けサーバーを含めて低消費電力化を実現する光電融合デバイス・集積ナノフォトニクス技術等の研究を推進する。
 また、現状の情報処理能力を凌駕する量子コンピューティング関連技術、環境負荷やユーザの利便性向上に配慮した先端材料・デバイスの研究、多様なシーンにおける人間の感覚・運動・情動メカニズムの科学的解明等、革新的な原理・新コンセプトの研究もあわせて推進する。

以上についての設備投資計画の概要は別表のとおりである。

別紙・参考資料

本件に関するお問合わせ先

経営企画部門 事業計画担当
TEL : 03-6838-5151

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