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2024年3月27日

日本電信電話株式会社
学校法人 沖縄科学技術大学院大学学園

NTTとOIST、サステナブルなAI社会の実現をめざし、包括的な研究連携に合意
~環境・量子・脳神経科学分野などで連携~

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田明、以下NTT)と学校法人 沖縄科学技術大学院大学学園(所在地:沖縄県国頭郡、理事長:カリン・マルキデス、以下OIST)は、サステナブル社会の実現をめざし、環境科学や量子科学、脳/神経科学などの研究分野で連携していくことに合意しました。NTTとOISTは、ヒト・科学技術・自然環境が密接に結びついているというサステナブル社会のビジョンを共有しています。現在、AIに代表される科学技術が目まぐるしく進歩しています。科学技術の進歩により、ヒト・自然環境との均衡が崩れ、環境問題が悪化し、ヒトのWell-beingが低下することは避けなければなりません。NTTとOISTは、基礎研究を通じて、自然現象の原理や人間の情動のメカニズムを解明し、環境問題の解決、さらにはWell-beingの最大化をめざします。
 本連携は社会実装までを視野に入れ、基礎研究の成果をAIとしてモデル化し、さまざまな社会課題へ適用することで、サステナブル社会への新たな時代を切り拓いていきます。

NTT川添雄彦副社長(左)とOISTのカリン・マルキデス学長(右) NTT川添雄彦副社長(左)とOISTのカリン・マルキデス学長(右)

1. 背景

IPCC WGI第六次評価報告書(※1)によると、世界平均気温は、CO2などの温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、2100年には現在より2℃ほど上がると報告されています。OISTは、沖縄の海でのマリンサイエンス研究を推進して、気候変動・生物多様性維持などの問題に取り組んでいます。さらに、ナノ科学および量子化学、材料科学、フォトニクス、神経科学をはじめとした、基礎研究にも幅広く取り組んでいます。その成果は、優れた論文の割合を示すNature Indexの正規化ランキングで国内1位(世界第9位、※2)になるなど、世界最高水準として国内外から高く評価されています。NTTもIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)開発のなかで、従来使用していた電力量を大幅に削減することに取り組んでいます。通信経路での電気処理もすべて光に置き換えることに加え、コンピューティング処理も光に置き換えることに取り組んでいます。環境負荷ゼロをめざした技術の研究開発も推進し、温室効果ガスの削減も推進しています。
 NTTグループとOISTはこれまでも、以下のような先駆的な研究プロジェクトを立ち上げ、協力してきました。

  • 海洋および大気観測とデータ分析の最適化により、台風予測の精度向上をめざしたプロジェクト(※3)
  • 最先端ドローン技術を用いた珊瑚のeDNA分析により、海洋環境の把握をめざしたプロジェクト(※4)
  • 量子コンピューティング、量子通信、量子情報処理の高度化をめざしたプロジェクト
  • AI連合学習の革新的なアルゴリズムの創出をめざしたプロジェクト

今回の新たな包括的な協力の合意により、NTTとOISTは環境科学、量子科学、脳/神経科学などの研究分野での協力を深め、サステナブル社会の実現をめざしていきます。
 サステナブル社会を実現するためには、環境問題の解決と、Well-beingの最大化を両立する必要があります。環境科学の研究により、気候変動や生物の多様性に関するメカニズムが解明されることが期待されます。同様に、量子科学の研究により、化学反応などの自然現象の振る舞いを再現できるようになることが期待されています。これら基礎研究による原理解明によって、多種多様な自然環境が正確に再現され、現在の環境負荷とその原因が自動でシミュレートされていくような社会が望まれます。さらに、脳/神経科学の研究により、人間の情動・思考メカニズムが解明されることも期待されています。人間の情動が正確に再現されることで、一人一人のWell-beingが最大化されていく社会も望まれます。
 NTTとOISTは、環境問題の解決、Well-beingの最大化をめざし、自然現象の原理や人間の情動のメカニズムを解明していきます。本連携は、基礎研究だけでなく社会実装までを視野に入れ、基礎研究のそれぞれの成果をAIとしてモデル化することも想定しています。NTTは、多様なAIがつながり、相互に作用していくアーキテクチャを、星がつながり星座になっていくイメージをもって、「AIコンステレーション」と名付けています。さまざまな自然現象・情動を再現するAIモデルを連携させ、さまざまな社会課題へ適用することで、サステナブルな社会の実現をめざします。

2. 連携の概要

本連携では、サステナブル社会の実現に向け、NTT・OISTが有するさまざまな技術を組み合わせ、共同で基礎研究から取り組んでいきます。

  1. 環境科学:沖縄の海をフィールドとして、マリンゲノミクス、光学センサーや海中音響技術などの先進技術を融合させます。
  2. 量子科学:量子物理学、量子情報処理、量子通信、光学デバイス技術を融合させます。
  3. 脳/神経科学:神経科学研究と、脳科学研究、バイオデバイス研究を融合させます。

両者の研究者が最先端の研究で協力したいという希望を基に、双方経営陣の支持を得ながらそれぞれの研究領域に合致する新たな分野を、今後も探求し続けていきます。将来的に、両者で得られた理論的知見をAIモデル化することによって価値を還元し、サステナブル社会の実現をめざします。

3. エンドースメント

〇NTT代表取締役副社長(CTO)川添 雄彦

NTTは、多種多様なAIが相互に作用する「AIコンステレーション」の実現をめざしています。AI同士がIOWNで接続されることで、集合知が高速に生み出されていく期待をもっています。OIST学園との基礎研究を通じて、自然現象の原理や人間情動の原理を解明できるようになれば、その原理からさまざまな自然現象・ヒトをそれぞれ正しく再現するAI群を作り上げられると考えています。これら多様なAIを実現でき相互に作用させていくことで、現実世界の真理・真実を捉え、正しく再現できるデジタルツインの実現に近づけられると信じています。

〇OIST学長兼理事長 カリン・マルキデス

世界有数のICT企業であり、かつ、広範な分野で研究開発を行っているNTTとのパートナーシップを結ぶことを大変嬉しく思います。OISTとNTTは、基礎科学研究が、世界の諸課題を解決できる新しい発見の礎となるという共通の理念を持っています。本連携によって生み出される成果が、持続可能な世界の実現に向け、多岐にわたる大きな貢献となることを期待します。

※1IPCC WGI第六次評価報告書:気候変動に関連する科学を評価するための国連機関である、政府間パネル(IPCC)により報告されたレポート。

※2Nature Index:著名な科学ジャーナル145誌に掲載された論文をもとに、各研究機関の影響力を算出した指標。この値をもとに国や研究機関のランキングが閲覧できるデータベースも用意されている。正規化ランキングは、質の高い論文数の割合を示しており、その機関の規模に関係なく研究機関の卓越性を示したランキングとなっている。

※3NTT、OIST:「世界初、NTTとOISTが北西太平洋で、カテゴリ5の猛烈な台風直下の大気・海洋の同時観測に成功」、NTTニュースリリース、2023年5月23日。

※4OIST:「サンゴ調査に革命を:水中ドローンで准深海の環境DNA解析が可能に」、OIST研究関連ニュース、2024年2月15日。

本件に関する報道機関からのお問い合わせ先

日本電信電話株式会社
研究企画部門
nttrd-pr@ml.ntt.com

学校法人 沖縄科学技術大学院大学学園
media@oist.jp

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