2024年4月25日
日本電信電話株式会社
発表のポイント:
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、災害時に通信インフラの屋外設備における設備個々の被災予測AIを初めて開発しました。これにより、被災の軽減や早期復旧に必要なプロアクティブな対応を実現します。本技術はNTTグループがこれまで災害発生時に点検や補修を行った設備データから被災パターンを学習した予測モデルを構築することで、高精度な被災予測を可能とするものです。加えて全国で入手可能な公開データから予測が可能であるため、設備の設置場所を問わず予測することが可能です。本成果は、2024年5月16日、17日につくばフォーラム2024*1にて展示されます。今後は、本成果を踏まえ社会インフラの被災予測を可能とするための技術開発をめざします。
インフラは基本的には地震や豪雨といった災害による影響を考慮した上で構築されておりますが、大規模な災害が発生すると被災する場合があります。特に豪雨災害は近年激甚化しており想定を上回る災害となる可能性があります。これらに対し想定地震動や早期に得られる雨量等の予報などを基に被災規模を推定し、事前の準備を行うプロアクティブな対応により減災、早期復旧が可能となります。こうした対応のためには適切なタイミングで設備の被災を予測することが重要となります。しかし設備被災は雨量、地震動といった災害の強さだけでなく、地形、地盤といった環境条件や設備の条件が複雑に関係しているために、全国に広く分布しているインフラに対して設備個々での被災予測を統一的に行うことは困難でした。
このような背景を踏まえてNTTは通信インフラに対してNTTグループが各地で過去から蓄積した設備被災データと全国で整備されている地形や気象等の公開データを組み合わせることで、こうした課題を解決する被災予測AIを構築しました(図1)。こうした手法は全国の設備データを活用し、被災しやすい箇所を独自に分析することで構築された他にない技術です。今回までに具体的に確立した技術は図2に示す3種の技術です。いずれの技術も90%前後の精度を有しており、全国で特別な現地調査の必要なく設備個々の被災を高精度に予測できます。
図1. 被災予測AIの概要
図2. 確立した被災予測技術と性能
今回構築した技術を屋外通信インフラに適用し、災害発生前に被災リスクが高いと予測された設備に対して事前の準備等を行うことで、豪雨や地震発生時の減災および早期復旧に繋げます。例えば想定される地震動に対して被災リスクが高い管路の事前補強や、想定される豪雨に対して復旧に必要な資材の事前準備による早期復旧に活用予定です。加えて本技術は屋外通信インフラのみならず、類似した設備に対して応用可能です。このため図3に示すように電柱被災予測技術は電力柱、信号柱など、橋梁添架設備被災予測技術は橋梁本体など、地下管路被災予測技術は上水道管やガス管などの地下設備に展開することが期待できます。このように本技術を発展させ、社会インフラ全体の防災、減災および早期復旧に貢献し、日本のあらゆるインフラを強靭化することをめざします。
図3. 本技術の応用先例
*1つくばフォーラム2024
https://www.tsukuba-forum.jp/
本件に関する報道機関からのお問い合わせ先
日本電信電話株式会社
情報ネットワーク総合研究所 広報担当
nttrd-pr@ml.ntt.com
ニュースリリースに記載している情報は、発表日時点のものです。
現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。
NTTとともに未来を考えるWEBメディアです。