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知的財産

方針・考え方

知的財産活動についての考え方

NTTグループは、幅広い技術分野において基礎から応用までの研究開発に取り組む、世界でも類を見ない通信事業者として長年にわたり知財投資(研究開発投資)を積み重ねてきました。
NTTグループは、新たな価値創造と地球のサステナビリティのために挑戦し続けるNTTグループの事業に安心安全を与え、成長を支えることを活動方針と定め、知財戦略の立案、知財投資により得られた成果を知的財産として適切に保護、他者の知的財産を尊重しながらの活用を進めています。

推進体制

NTTグループの知的財産マネジメント体制

NTT知的財産センタは、NTTグループの知的財産活動をマネジメントする中核組織として、経営戦略に即した中期的な視点も加味しながらグループ共通的なマネジメント方針を策定し、「NTTグループ知的財産管理会議」を通じてグループ各社の知的財産部門と連携し、情報共有や議論を重ねながらマネジメントを図っています。
また、同会議の配下には知的財産にかかる法制度や業務に特化した連絡会を設置し、国内外の制度改正、紛争事例、裁判事例などの動向とその影響や対処の考え方等を共有することで、ガバナンスの確立やビジネスリスクの低減を図っています。

NTTグループの知的財産マネジメント体制

目標と実績

⑩特許出願件数
2023年度実績:1968件
2024年度目標値:前年度同等

NTTグループにおける知財投資の大きな割合を占める持株研究開発の成果として得た特許の保有件数は、国内外をあわせ約20,000件となっています。

特許出願については、IOWN 構想下で将来の NTT ビジネスを支える基本技術群を中心に新規発明を拡充しつつ、不要となった権利の棚卸を進め、前年同等規模を維持しつつグローバルビジネスに即した特許ポートフォリオに更新してまいります。

NTTグループと同業グループ3社が保有するSDGs関連特許の比較※1

NTTグループの保有特許にはSDGsに関連する特許が多く含まれており、SDGsの各開発目標に貢献する特許ポートフォリオを構築しています。特に、目標7(エネルギー)や目標9(産業技術基盤)については、IOWN・5G/6G等の様々な先進技術の特許が含まれています。

※1LexisNexis社提供の特許分析ツールPatentSight®の2025年8月時点のデータを基に作成。

※2特許ポートフォリオの競合優位性・総価値を表す指標。量的指標・質的指標を基に算出。

IOWN オールフォトニクス・ネットワーク技術とサステナビリティ

IOWN構想の中核を担うオールフォトニクス・ネットワーク技術は、各事業会社においてお客さまと共創したPoC(概念実証)も進められており、社会実装に向けた取組みが加速しています。この技術はエネルギー効率の飛躍的な向上やCO₂排出量削減に寄与し、ICTインフラ全体の環境負荷低減を実現します。これにより、NTTグループはカーボンニュートラル社会の実現に貢献するとともに、ESG経営の観点からも持続可能な成長を支える基盤構築をめざしています。

NTT研究所では、このオールフォトニクス・ネットワーク技術のコアとなる要素技術の研究開発を推進しています。研究成果については、将来の国際標準化や事業会社のビジネス戦略をふまえ、事業の市場競争力と安心安全なビジネス展開をリードする目的に資する発明創出と権利確保を進めています。

(2025年8月時点)

AIに関連した特許ポートフォリオ

一方、ビジネス分野の視点でのポートフォリオでは、たとえば、世間の注目を大きく集めている生成AI技術についても長年研究開発を進めており、その成果である特許の取得も積極的に行っています。

2024年7月9日に世界知的所有権機関(WIPO)が発行したレポートによると、2014年~2023年の10年間の生成人工知能(AI)関連特許の出願件数において、NTTは世界13位に入っています。

出典:Patent Landscape Report - Generative Artificial Intelligence (GenAI)当該ページを別ウィンドウで開きます

また、学習技術等の基盤的技術だけでなく、多岐にわたる業界向けのビジネスを想定した応用発明についても幅広く特許取得を行うことで、ビジネスの優位性確保に努めています。

CX領域(コンタクトセンタ)の日本出願件数比較

2024年3月25日に商用開始したNTT版大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」は、軽量でありながら世界トップレベルの日本語処理性能を強みとしています。中でも、事業の注力領域の一つであるCX領域(コンタクトセンタ等)は長年の自然言語処理の研究開発の蓄積が活かされる領域であり、日本特許出願数からも高い技術優位性を有することが伺えます。

(2024年10月時点)

AI分野におけるNTTと競合2社の出願領域比較

(2024年10月時点)

知的財産権で裏付けられる競争優位性は、お客さまやパートナー企業の皆さまの関心を引き寄せ、NTTとの共創事業を誘発するものとなり、「tsuzumi」や「tsuzumi」を活用したサービス・ソリューションをお客さまに導入いただける機会を創出します。またこれらのサービス実装の基盤となるデータセンタやネットワーク商材の売り上げにも貢献することとなり、NTTの持続的成長に知的財産権は大きな役割を果たしています。

主な取組み

知的財産戦略の立案と推進

NTT知的財産センタは、中期経営戦略の実現に向け、知的財産活動の方針・考え方に基づき事業戦略・研究開発戦略と三位一体となって①戦略的な権利化、②リスクマネジメント、③保有知的財産の活用の観点から知的財産戦略を立案、推進しています。

第三者の知的財産権の尊重の取組み

NTTは、グループ各社が研究開発技術を事業で活用するにあたって第三者の知的財産権を侵害することがないように、研究開発の初期からグループ各社へ研究開発技術を提供するまでの各段階で国内外の他者権利を調査しています。また、知的財産に関する国内外の制度改正、紛争事例、裁判事例などの動向とその影響をグループ各社と共有することで、知的財産権に関する法令の遵守とビジネスリスクの低減を図っています。

知財教育・人財育成の取組み

知的財産に関するグループ社員の意識向上に向けた取組み

NTTグループでは、各社の知的財産部門が中心となって、個社の特性に応じて、社員へのeラーニング研修や啓発活動などを行っています。
NTTグループ全体の観点では、NTT知的財産センタがグループ社員の知的財産への関心をより一層高め、日々の業務に活かすことを目的とした総合イベント「IPR*-DAY」を2022年度より開催しています。
(*Intellectual Property Right)
2024年11月に開催したIPR-DAY 2024には、グループ80社から、幅広い職種で活躍する820名を越える社員の参加がありました。当日は、外部講師による招待講演に加え、NTT知的財産センタやグループ各社から、研究開発・事業・知財が一体となって取り組んだ事例等を紹介し、自分たちの業務・事業の中で知財を生かしていく意識が一層高まりました。
さらに、NTT知的財産センタが開設するグループ社員向けのwebサイトでは、知的財産の基礎知識やニュース解説のコラムなどを定期的に発信し、社員の意識向上を図っています。

発明報奨制度

NTTグループは、特許法で定められた職務発明制度に則り、将来の事業の源泉となる技術やビジネスに関するアイデア等の創出へのインセンティブを高めることを目的に、各社において発明報奨制度を設けています。

持続的な企業価値向上に資する特許ポートフォリオを維持・拡充していくためには、知的財産戦略に適合した質の高い発明が持続的に生み出されることが不可欠です。NTT知的財産センタでは、❶質の高い権利創出、❷積極的な権利活用、❸早期報奨による発明者のモチベーション向上を通じて、持続的に質の高い発明を生み、育て、質・量ともに強固な特許ポートフォリオを持続的に維持していく仕組みを整えています。

発明報奨制度はこの一翼を担うものであり、NTT知的財産センタでは、特許法の主旨を踏まえ、アイデア創出に対してできるだけ早期に報奨を行うことで、次の新たなアイデア創出のサイクルが促進されるよう、2024年4月に報奨制度の見直しを行いました。新たな制度では、NTTの過去の特許の活用実績データを学習させたAIモデルを用いて、発明の価値を評価し、報奨を行っています。積極的な権利活用を通じて活用実績データを増やし、AIモデルをアップデートしていくことで、権利活用・早期報奨・新たな質の高い発明創出のサイクルを効率よく回し、NTTグループの持続的成長の源泉を保護しています。