2016年7月 4日
日本電信電話株式会社(以下:NTT)、松竹株式会社(以下:松竹)では、NTTと松竹が進める新たな歌舞伎鑑賞の提案を目指した共同実験の第1弾として、5月7日に羽田空港国際線旅客ターミナルにて、米国ラスベガス・MGMグランドにて行われた「KABUKI LION 獅子王」の公演模様を、あたかもその場にいるかのような体験をあらゆる場所で感じることができる世界を目指すイマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!」などの最新技術を使用して高臨場で遠隔に届ける3つの実験を行い、報道関係者、モニターの方などにご体験いただきました。
また、ラスベガスの劇場前での技術体験展示イベント「KABUKI LION Interactive Showcase」においては、歌舞伎独特の化粧法である隈取をモチーフに、NTTの研究所の先端技術を組み合わせた展示実験「Henshin Kabuki 変身歌舞伎」を行い、多くの来場者にご体験いただきました。
NTTの研究所の研究開発用ネットワークGEMnet2を基本に、米国のInternet2、Pacific Waveの協力を得て構築した日米間の映像伝送ネットワークを用いて、ラスベガスで行われている本公演を遠隔でライブ体験できるような3つの実験を行いました。
「Kirari!」の被写体抽出技術を用いて、ラスベガスにいる市川染五郎丈を擬似3Dで切り抜き、羽田空港のイベント会場にリアルタイムに伝送することで、あたかも本人が目前に居るかのような臨場感のある舞台挨拶を行いました。また、羽田空港の会場に詰めかけた取材陣から寄せられた伝統と最新技術の融合についての質問について、染五郎丈は、「映像でないとできない歌舞伎、画面を見ることによって成立する歌舞伎もあるのではないかと思います」と、最新技術への期待をまるで目の前にいるかのようにスムーズに回答されました。
ラスベガスに居ながら、羽田空港のイベント会場で、フォトセッションに応じた市川染五郎丈
ラスベガスの歌舞伎公演会場に設置した9台の4K高精細カメラの映像を、高圧縮率のH.265/HEVC技術で約200分の1に符号化し、MMT技術を用いて映像・音声を同期し、誤り訂正技術を駆使して国際伝送し、モニターの方にライブビューイングを体験いただきました。4Kマルチ映像の同期による国際中継を実現したのは世界初の試みです。歌舞伎俳優の迫力ある縦横無尽な演技を、舞台前の"かぶりつき"のお座席でご覧いただいているかのような高い臨場感でご体験いただきました。
4Kマルチ画面によるライブビューイングの模様
ラスベガスの歌舞伎公演会場に設置した360度全天球カメラの映像から、視聴者がヘッドマウントディスプレイ(HMD)を通して、好きな方向を自由に見渡すことのできるライブ視聴を当日来場いただいた方にご体験いただきました。NTTが開発した「全天球映像向けインタラクティブ配信技術」を適用して、スマートフォンの様な通信帯域の限られたモバイル環境での高画質・高効率なリアルタイム配信を世界で初めて実現し、多くの方々に歌舞伎の楽しさをご体感いただきました。
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)によるライブ視聴の様子
Hensin Kabukiでは、体験者が選択し手に取った好みの隈取のお面を「アングルフリー物体検索技術」によって高精度に自動認識され、体験者の顔にAR重畳表示(変身歌舞伎)されるほか、巨大な立体顔面オブジェクトに歌舞伎特有の間や表情といったダイナミックな演出と共にプロジェクションマッピングする演出を行いました。加えて、壁面に掛けられた、動くはずのない隈取に止まった画像にリアルな動きの印象を与える光投影技術「変幻灯」技術によって、笑ったり、怒ったり、多彩な表情を加えました。
本展示は、体験希望者が列をなすほど好評を得ました。また、市川染五郎丈、中村歌六丈をはじめとする歌舞伎俳優の皆さまに公演の合間にご体験いただき、日本が誇る歌舞伎と先進技術が融合した世界観をご体験いただきました。
NTTの技術展示を体験したKABUKI LION獅子王の出演者たち
左から中村隼人丈、大谷廣太郎丈、市川高麗蔵丈、市川染五郎丈、
中村歌六丈、中村歌昇丈、中村米吉丈
NTTと松竹は、本イベントを契機として、ICT技術を用いた次世代の歌舞伎の実現に向けた取り組みをさらに推進していきます。
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