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2023年8月18日

お知らせ

複数の組織がもつデータの統計分析に適した関数型暗号を世界で初めて実現

NTT社会情報研究所は、複数の組織がもつデータの統計分析に適した関数型暗号を世界で初めて実現しました。この結果をまとめた論文は、2023年8月19日~24日に国際暗号学会(IACR)が米国で開催する、暗号理論の難関国際会議Crypto 2023(the 43rd International Cryptology Conference)において発表されます。

■Attribute-Based Multi-Input FE (and more) for Attribute-Weighted Sums

Shweta Agrawal (IIT Madras), 富田 潤一 (NTT社会情報研究所), Anshu Yadav (IIT Madras)

一般に、暗号化されたデータから何らかの計算結果を得るためには、一旦データを全て復号し、その上で必要な計算を実施する必要がありますが、不必要なデータの復号はデータの安全性の低下につながります。
 関数型暗号は、暗号化されたデータから余分な情報を漏らすことなく必要な計算結果だけを復号できる次世代暗号で、上述のような安全性低下を起こさない特徴があります。
 本論文では、統計分析に適した関数クラス(※1)の関数型暗号において、複数の暗号化データを用いての計算結果の復号が実現できることを、世界で初めて示しました(※2)。
 これにより、複数の組織が持つデータを統合しての統計分析を安全に行うことができるようになり(図1)、安全なデータの利活用が一層進むことが期待されます。
 NTTグループは引き続き、暗号技術の研究開発を通じて、安心・安全なサービスの実現に貢献してまいります。

図1 図1

(※1)関数型暗号の関数クラスは、暗号化されたデータに対してどのような計算結果を復号できるかを示すものです。この論文ではAttribute-Weighted Sumsと呼ばれる関数クラスを考えています。

(※2)厳密には、汎用関数型暗号を利用せずに当該機能を実現したことが世界初です。汎用関数型暗号は強力な要素技術で、それを利用すると様々な暗号技術を実現できることが知られていますが、非常に効率が悪いという欠点があります。そのため、汎用関数型暗号を用いずに様々な暗号技術を実現する方法も盛んに研究されています。

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