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2023年10月 8日

お知らせ

画像処理における難関国際会議ICIPにNTT から6件の論文が採択、NTT主催のセミナーも同時開催

2023年10月8日~11日にマレーシア クアラルンプールにて開催される、画像処理の難関国際会議ICIP(IEEE International Conference on Image Processing)2023にて、NTTの研究所から投稿した6件の論文が採択されました。ICIP 2023は、画像処理分野の最も大きい国際会議の一つとして知られており、各テーマにおいて新たな提案手法を示しました。
 さらに、10月11日にはNTT研究所主催のIndustry Seminarを開催します。当該セミナーではマルチモーダルAIや対話システムなどのNTT技術の概要や実用に向けた取り組みなどを幅広く紹介する予定です。

なお、所属は論文投稿時のものであり、略称の研究所名は以下のとおりです。

CD研:コンピュータ&データサイエンス研究所
人間研:人間情報研究所
社会研:社会情報研究所
SIC:ソフトウェアイノベーションセンタ
CS研:コミュニケーション科学基礎研究所

  1. Covariance-aware Feature Alignment with Pre-computed Source Statistics for Test-time Adaptation to Multiple Image Corruptions
    1. 足立 一樹 研究員(CD研)、山口 真弥 研究員(CD研)、熊谷 充敏 特別研究員(CD研/社会研)
    2. 深層学習による画像認識は広く応用されていますが、ノイズ・明るさ・天候等、学習時と運用時の環境変化により精度低下することが知られています。本研究では、運用環境から得られる画像のみを用いて学習済みモデルを自律的に適応させることで画質劣化に対する頑健性を向上する手法を提案し、複数の破損が混合した画像分類タスクにおいて従来手法と比較して高い分類精度が実現できることを示しました。
  2. Open-set Recognition for Facial Expression Recognition
    1. 内田 美尋 研究員(CD研)、折橋 翔太 研究員(CD研)、高島 瑛彦 研究員(CD研)、山﨑 善啓 社員(CD研)、増村 亮 特別研究員(CD研)
    2. 表情認識モデルに顔以外の画像が入力されると意味のない出力しか得られません。本研究では、学習済みの認識モデルに学習してないカテゴリのデータが入力されたことを検知するオープンセット認識を、曖昧なカテゴリの画像が存在する表情認識に適応する手法を提案し、表情認識の信頼性向上に寄与しました。
  3. OnDA-DETR: Online Domain Adaptation for Detection Transformers with Self-Training Framework
    1. 鈴木 聡志 研究員(CD研)、山根 大河 社員(CD研)、牧島 直輝 研究員(CD研)、鈴木 啓太 研究員(CD研)、安藤 厚志 主任研究員(人間研/CD研)、増村 亮 特別研究員(CD研)
    2. 画像系深層学習を用いた物体検出において、学習時から照明環境や天候環境等が変化し物体検出モデルが未知の環境に晒されると、精度低下が発生することが知られています。本研究では、この精度低下を防ぐために、運用環境で得られるデータを用いて未知の環境でも精度低下を防ぐ手法を提案します。提案手法の最先端の物体検出モデルであるDetection Transformerに対して、従来手法では得られない高い物体検出精度を示しました。
  4. Distilling Knowledge of Bidirectional Language Model for Scene Text Recognition
    1. 折橋 翔太 研究員(CD研)、山﨑 善啓 社員(CD研)、内田 美尋 研究員(CD研)、高島 瑛彦 研究員(CD研)、増村 亮 特別研究員(CD研)
    2. 風景の画像から文字領域を切り出して得られる画像の文字を認識する情景文字認識を日本語で行う場合、文字認識の処理単位が複数単語となることから、文字の出現頻度や順序に関する言語的な知識が必要となります。本研究では、外部の言語モデルに蓄積された言語的な知識を文字認識モデルに与える学習手法を考案し、長い文字列や不鮮明な箇所を含む画像に対する高精度な文字認識を実現しました。
  5. Multimodal Graph Signal Denoising with Simultaneous Graph Learning using Deep Algorithm Unrolling
    1. 高波 圭吾(大阪大学)、田中 雄一 教授(大阪大学)、坂東 幸浩 主幹研究員(CD研)、高村誠之 リサーチプロフェッサ (CD研/法政大学)
    2. 多様なセンサーにより環境を観測した信号を活用する際、信号の雑音を除去する必要があります。雑音除去には異なるセンサーの信号の関係を用いることが有効ですが、センサーが不均一に配置されている場合は十分に雑音除去できませんでした。本研究では、グラフ信号処理という信号処理技術に基づき、信号の潜在構造の把握問題と雑音除去問題を同時に最適化し、高性能な雑音除去を実現しました。
  6. Complexity Reduction of Graph Signal Denoising based on Fast Graph Fourier Transform
    1. 佐々木 崇元 研究員(CD研)、坂東 幸浩 主幹研究員(CD研)、北原正樹 主幹研究員(CD研)
    2. 繋がりを持った数値情報であるグラフ信号の活用で重要となる雑音除去では、グラフ規模の増大に応じて必要な計算資源や計算時間が爆発的に増加するという問題がありました。本研究では、高速グラフフーリエ変換という信号処理技術を応用し、性能を全く損なうことなく計算資源と計算時間を削減してグラフ信号の雑音除去を実行する手法を実現しました。

Industry Seminar については以下のとおり行います。

  1. Industry Seminar: NTT's Media Processing AI and Its Industrial Applications
    1. 増村 亮 特別研究員(CD 研)、鈴木 聡志 研究員(CD 研)、杉山 弘晃 主任研究員(CS 研)、Monikka Roslianna Busto 社員(SIC)
    2. 本セミナーでは、NTT研究所が取り組んでいるAI技術を紹介します。 具体的には、人間に近い情報処理機構を実現した次世代メディア処理AI「MediaGnosis®」や、イベント駆動型推論と呼ばれる新たなパラダイムによる高速かつ効率的なコンピューティング技術について紹介します。さらに、点群処理など、NTT 研究所における他のメディア処理技術についても解説する予定です。各発表では、これらの取り組みの背景やその産業上の応用についても紹介します。

NTTのR&Dは、環境にやさしい持続的な成長、多様性に寛容な個と全体の最適化を狙う未来のコミュニケーション基盤であるIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想を掲げ、その実現に向けた研究開発を進めてまいります。また、それとともに、今後も研究テーマの多様性・継続性を大切に、NTTグループの各事業会社をはじめ、さまざまな分野の産業界の方々と一緒に、さまざまな社会的課題を解決し、人々が意識することなく技術の恩恵を受けることができるスマートな世界の実現をめざし、世界を変革する技術の研究開発を続けていきます。

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