2023年12月4日~8日に中国の広州にて開催される暗号分野の難関国際会議Asiacrypt 2023において、NTT社会情報研究所から2件の論文が採択されました。採択論文は以下の通りです。
- ■Antrag: Annular NTRU Trapdoor Generation
- □Thomas Espitau (PQShield), Thi Thu Quyen Nguyen (カーン大学), Chao Sun (大阪大学), ティブシ メディ 特別研究員, Alexandre Wallet (レーヌ大学)
- □米国NISTの耐量子計算機暗号標準化プロジェクトで標準化が決まった格子ベース署名方式Falconは、処理速度が速く、鍵サイズ・署名サイズが短い一方で、アルゴリズムが非常に複雑で安全な実装が難しいという欠点がありました。本研究では、Falconの性能・効率・安全性水準を保ちながらアルゴリズムの構造を大幅に簡易化した新方式Antragを提案しました。
- ■Quantum Speed-Up for Multidimensional (Zero Correlation) Linear Distinguishers
- □細山田 光倫 研究主任
- □近年、共通鍵暗号技術に対する攻撃量子アルゴリズムが盛んに研究されています。本研究は、この流れに沿ったもので、「多次元線形解読法」という(古典計算のみを用いる)有力な攻撃手法を、量子計算の力で上手く高速化する方法を示しました。攻撃対象の暗号方式に量子フーリエ変換を上手くかけると、多次元線形解読法において暗号出力分布の偏りの指標となる値(キャパシティ)が現れることに気づき、これを利用することで本成果を得ました。
また本会議においてティブシ メディ特別研究員が、以下のタイトルで招待講演を実施いたします。
- ■Mathematical problems arising from timing attacks on signatures and their countermeasures
- □タイミング攻撃をはじめとするサイドチャネル攻撃へ対処することは、特に現実の暗号システムを社会で利用する上で非常に重要な課題です。これまで、電子署名方式を対象としたタイミング攻撃に対する安全性評価および対策の考案を行った際には様々な数理問題が発生していました。本講演では、それらの問題の内のいくつかを例に挙げて、その取り組み方について論じています。
本会議の議事録は、SpringerのLecture Notes in Computer Science (LNCS)に掲載されています。NTT社会情報研究所は引き続き、暗号技術の研究開発を通じて、安心・安全なサービスの実現に貢献していきます。