2024年3月22日
現在の量子コンピュータには、計算エラーが頻繁に発生するという課題があります。そこで、ハードウェアへの負担を最小限にし、計算エラーを抑制する量子エラー抑制法の開発が非常に重要です。NTTの遠藤傑准特別研究員は、Google、University of Oxford、Graduate School of China Academy of Engineering Physicsの研究者らとともに、現在の量子エラー抑制法に関する研究をまとめたレビュー論文を執筆し、2023年の12月、物理学におけるハイインパクトな論文誌であるReviews of Modern Physicsに採録・出版されました。NTTは、量子コンピュータの発展の仕方として様々なバリエーションを想定しながら、量子エラー抑制法の果たすべき役割を明確化する研究を世界に先駆けて行っており、初期の誤り耐性量子計算に対する量子エラー抑制法の果たす本質的役割や、量子情報理論から導かれる量子エラー抑制法の性能限界などについての論文を発表してきました。それら蓄積してきた知見を活かし、今回のレビュー論文では、量子エラー抑制法の量子情報理論的性能限界に関する箇所、および初期誤り耐性量子計算への量子エラー抑制法の応用の箇所を担当・執筆しています。また、レビュー論文の中ではNTTによる論文が8件紹介されており、これは他の研究グループに比べても非常に多い本数となっていることから、本分野におけるNTTの強みを示しています。この論文はすでに150件以上の引用がされており、量子エラー抑制法に関する重要な参考文献として扱われています。このレビュー論文には、様々な量子エラー抑制法の長所・短所、および使うべきポイントが明瞭に述べられており、実用的な量子コンピュータの研究開発には高い頻度で参照される論文となると考えられます。今後もNTTは量子コンピュータの実用化に向け、標準的に使われる高精度な量子エラー抑制法の確立を進めていきます。
トピックスに記載している情報は、発表日時点のものです。
現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。
NTTとともに未来を考えるWEBメディアです。