2025年3月25日
お知らせ
株式会社NTTデータグループ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:佐々木 裕、以下「NTTデータグループ」)、日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、NTTデータグループの気候変動シナリオ分析に関する長年のノウハウとNTTが開発を進める長期未来シナリオ分析技術を活用し、AIにより効率的かつ自社の状況に即した長期的シナリオ分析を実現するための共同実験を2025年3月より開始しました。
これにより、従来人手が主体であった持続可能な未来に向けた戦略的な意思決定を、AIを用いてより効果的に支援することをめざします。
国際サステナビリティ基準委員会注1や、その国内版であるサステナビリティ基準委員会注2は、企業に対してシナリオ分析を求める規制動向を示しています。これにより、企業によっては将来の環境変動やエネルギー需要の予測を行い、持続可能な経営戦略を策定する必要があります。これらの規制は、企業に対して持続可能な経営の実践を求める一方で、対応のための体制整備や、データ収集・分析の負担を増加させる可能性があります。
NTTデータグループは、AI技術の発展とその社会実装を推進するため、さまざまな分野での研究開発を行っており、特に、環境問題やエネルギー問題に対する解決策の提供をめざし、取り組みを強化しています。また、株式会社NTTデータ経営研究所におけるNTTデータグループのシナリオ分析支援やその他企業へのサステナビリティ関連コンサルティング実績を通じて、グループとして多くのシナリオ分析およびコンサルティングの実績を持っています。一方、NTTは、数値解析による社会変化の予測や、自然言語処理技術をもとに、長期的なシナリオ分析にAI技術を活用する研究開発を行っています。今回、各社の持つこれらのノウハウや技術を生かし、効率的で質の高いシナリオ分析を実現するために、AIを用いたシナリオ分析の共同実験を開始しました。
NTTが開発中の長期未来シナリオ分析技術は、自然言語処理技術および大規模言語モデル(LLM)を利用し、シナリオ分析に必要な外部環境要因の抽出を行います。この外部環境要因とは、起こりうる未来のシナリオを左右する要因のことであり、シナリオ分析には欠かせない情報です。本技術はこの外部環境要因をAIによって抽出することで、シナリオ分析実施者の業務負担軽減を図ります(図1)。
本共同実験では、自社の経営方針や、世の中の動向に関する外部情報を入力データとしてNTTが分析を行い、サステナビリティ関連の実務経験・ノウハウを保有するNTTデータグループが分析結果の評価を行います。この評価を通じて、本技術のフィージビリティを検証します(図2)。
本共同実験を通じた技術確立により期待される成果としては以下が挙げられます。
図1 「長期未来シナリオ分析技術」のイメージ
図2 共同実験のイメージ
NTTデータグループとNTTは、共同実験を通じて得られた知見を基に、戦略的意思決定支援におけるAI技術のさらなる発展と実用化をめざしていきます。特に、法定開示化が進む非財務関連情報の開示負荷軽減を目的として、より精度の高いシナリオ分析を実現するための技術開発を進めていきます。また、NTTグループとして、持続可能な未来に向けた戦略的な意思決定を支援するため、企業や社会全体に対して有益なソリューションを提供し続けるとともに、今後もAI技術の研究開発を通じて地球全体の未来を予測できるシミュレーション技術を使い、社会に貢献する取り組みを推進していきます。
(注1)国際サステナビリティ基準委員会
サステナビリティのグローバル基準策定を目的とした国際会計基準(IFRS)財団傘下の委員会。正式名称International Sustainability Standards Board(略称ISSB)。国際的な議論やパブリックコメントを経て、2023年6月26日にサステナビリティ開示基準の「IFRS S1」と「IFRS S2」を公表。
(注2)サステナビリティ基準委員会
国際サステナビリティ基準委員会に対応する形で、2022年7月に日本におけるサステナビリティ開示基準の策定と国際基準との整合性を確保する目的のため、公益財団法人財務会計基準機構(FASF)傘下に設立された委員会。
2025年3月5日に日本初となる下記の3つのサステナビリティ開示基準を公表。
サステナビリティ開示ユニバーサル基準
サステナビリティ開示テーマ別基準第1号「一般開示基準」
サステナビリティ開示テーマ別基準第2号「気候関連開示基準」
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータグループ
コーポレート統括本部 サステナビリティ経営推進部 グリーンイノベーション推進室
立開、江田
climate@kits.nttdata.co.jp
日本電信電話株式会社
情報ネットワーク総合研究所 広報担当
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