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2025年5月 2日

お知らせ

AI・機械学習分野の難関国際会議AISTATSにNTTから4件採択

2025年5月3日~5日にタイのプーケットにて開催される国際会議AISTATS(International Conference on Artificial Intelligence and Statistics)2025に、NTTの研究所より提出された4件の論文が採択されました。AISTATSは、人工知能(AI)、機械学習、統計モデル、計算機科学、および関連分野の研究者が集う学会であり、AISTATS2025の論文採択率は31.3と、難関国際会議として知られています。
 なお、このうち(*)の論文はOral発表論文(全体の2%程度)として発表されます。

なお、所属としてそれぞれ略称で書かれている研究所名は、以下の通りです。
 社会研:社会情報研究所
 CD研:コンピュータ&データサイエンス研究所
 CS研:コミュニケーション科学基礎研究所

  1. Importance-weighted Positive-unlabeled Learning for Distribution Shift Adaptation(*)
    「分布シフト適応のための重要度重み付きPU学習法」

    1. 熊谷 充敏 特別研究員(CD研/社会研)、岩田 具治 上席特別研究員(CS研)、高橋 大志 研究主任(CS研/CD研)、西山 泰史 研究主任(NTTセキュリティホールディングス/社会研)、藤原 靖宏 特別研究員(CS研)
    2. 異常検知などの入力データが正常か異常かを判別する2値分類問題では、片方のクラスのデータ(異常データ/負例)がもう片方のクラスのデータ(正常データ/正例)に比べて収集が困難な場合があります。正例とラベルなしデータ(PUデータ)からの学習はこのような場合に有用です。しかし、既存技術の多くは学習/運用時でデータを生成する分布が変化する問題に対処できませんでした。本研究では、学習時のPUデータに加え運用時の少量のPUデータを利用することで、分布変化に関する仮定なしに適応可能な手法を提案し、ベンチマークで有効性を確認しました。本成果はPUデータを用いた機械学習技術を、より実用的な問題設定で活用を可能とする技術です。
  2. Meta-learning from Heterogeneous Tensors for Few-shot Tensor Completion
    「少数観測でのテンソル補完のための異種テンソルデータからのメタ学習」

    1. 岩田 具治 上席特別研究員(CS研)、熊谷 充敏 特別研究員(CD研/社会研)
    2. ユーザ・商品・時間など複数の軸(観点)で整理された多次元データであるテンソルは、推薦システムや時空間解析、センサ信号処理など幅広い分野で利用されています。テンソルの欠損部分を予測するテンソル補完において、既存技術は観測数が少ない場合に精度が低くなるという問題がありました。本研究では、異なる種類のテンソルの欠損値予測を通じて新規テンソルでの予測精度を向上するメタ学習を、注意機構に基づく深層学習モデルに適用することで、少数観測でも精度の高いテンソル補完を実現する手法を提案しました。本成果は、データが十分に得られない状況においても予測精度の向上を可能にし、テンソルに基づくAI技術の適用範囲を広げることが期待されます。
  3. Meta-learning Task-specific Regularization Weights for Few-shot Linear Regression
    「少数データからの線形回帰のためのタスク特化正則化重みのメタ学習」

    1. 岩田 具治 上席特別研究員(CS研)、熊谷 充敏 特別研究員(CD研/社会研)井田 安俊 特別研究員(CD研))
    2. 線形回帰は、様々な領域で用いられる、解釈性が高い基本的な機械学習モデルです。線形回帰の性能を高めるには、正則化項の重みを適切に調整することが重要ですが、学習データが限られている場合には、この調整が難しく、精度の低下を招く可能性があります。本研究では、特徴空間の異なる多様な表形式データを用いたメタ学習により、学習データに応じた適切な重みを推定できる深層学習モデルを構築し、少数データにおける線形回帰の性能向上を実現しました。これにより、解釈性の向上による機械学習の信頼性と少数データしか入手できない状況での高精度な予測の両立に貢献します。
  4. Energy-consistent Neural Operators for Hamiltonian and Dissipative Partial Differential Equations
    「エネルギーの保存・散逸則を満たす偏微分方程式のためのニューラル作用素」

    1. 田中 佑典 研究主任(CS研)、谷口 隆晴 教授(神戸大学)、岩田 具治 上席特別研究員(CS研)、上田 修功(理研/CS研)
    2. 観測データに基づいて物理現象を再現し、超高速なシミュレーションを実現するためのアプローチとして「ニューラル作用素」が注目されています。しかし、従来技術は、高精度な物理現象の予測には膨大なデータが必要であるという問題がありました。本研究では、ハミルトン力学の理論に基づき、エネルギーの保存・散逸則を事前知識として活用することで、限られた量のデータからでも、高精度かつ高速な物理現象の予測を実現する技術を提案しました。本研究は、データ駆動型物理シミュレーションの高精度化に貢献し、工業製品設計や気象予測などへの今後の応用が期待できます。

NTTのR&Dは、環境にやさしい持続的な成長、多様性に寛容な個と全体の最適化を狙う未来のコミュニケーション基盤であるIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想を掲げ、その実現に向けた研究開発を進めてまいります。また、それとともに、今後も研究テーマの多様性・継続性を大切に、NTTグループの各事業会社をはじめ、さまざまな分野の産業界の方々と一緒に、さまざまな社会的課題を解決し、人々が意識することなく技術の恩恵を受けることができるスマートな世界の実現をめざし、世界を変革する技術の研究開発を続けていきます。

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