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2025年11月14日

お知らせ

ソフトウェア工学分野の最難関国際会議ASE 2025にNTTから3件採択

2025年11月16日から20日まで韓国 ソウルで開催されるソフトウェア工学分野の最難関国際会議ASE 2025(the 40th IEEE/ACM International Conference on Automated Software Engineering)において、NTTの研究所より提出された3件の論文が採択されました。ASEはソフトウェア工学の世界最高峰とされる国際会議であり、アカデミアおよび産業界から研究者や実務者が集い、大規模ソフトウェアシステムの解析・設計・実装・テスト・保守を自動化するための基礎理論や技術・ツールについて議論が行われます。

なお、所属としてそれぞれ略称で書かれている研究所名は、以下の通りです(所属は投稿時点)。
CD研:コンピュータ&データサイエンス研究所
社会研:社会情報研究所
NS研:ネットワークサービスシステム研究所

  1. M2QCode: A Model-Driven Framework for Generating Multi-Platform Quantum Programs
    M2QCode:複数言語の量子プログラム生成のためのモデル駆動フレームワーク
    1. 郭 笑雨 (九州大学)、斎藤忍 特別研究員 (CD研)、趙 建軍(九州大学)
    2. 量子コンピュータを実行するソフトウェア(量子ソフトウェア)の開発では、現状、量子デバイスとそれに対応する量子プログラミング言語の関係が多様化しており、同じ量子プログラムを異なる量子デバイス間で実行することは容易でありません。本研究では、同一の仕様(アルゴリズム)から複数の異なる量子プログラミング言語で記述された量子ソフトウェアを生成する技術を提案しました。生成された複数の量子ソフトウェアの出力を評価し、統計的・実務的にも類似なソフトウェアを生成できていることを確認できました。今後も量子ソフトウェアの開発・運用の生産性や品質の向上により、安心(誤りが少ない)・安全(故障が少ない)な量子コンピューティングの実現に向けた研究開発を進めます。
  2. A Secure Mocking Approach Towards Software Supply Chain Security
    ソフトウェアサプライチェーンセキュリティに向けたセキュアモック手法
    1. 山口 大輔 研究員(CD研)、斎藤 忍 特別研究員(CD研)、岩塚 卓弥 主任研究員(CD研)、千田 忠賢 特別研究員(社会研)、寺内 多智弘(早稲田大)
    2. ソフトウェアの共同開発は生産性や開発者確保の点で優れる一方、外部開発者と共有するプログラム部品が悪用されることで、プログラム部品の秘匿すべき仕様(アルゴリズム)が漏洩するリスクがあります。本研究では、そのようなプログラム部品の仕様の漏洩問題を定式化し、漏洩が起きないことを保証しながらも開発に必要なプログラムの振る舞いを維持した代替部品(セキュアモック)および、セキュアモックを利用した共同開発手法として八王子学派テスト駆動開発(Hachioji School-TDD)を提案しました。この成果によって、知的財産や機密情報がプログラム部品に含まれる場合でも安心して共同開発を進めることが可能になると期待されます。
  3. LLM-Powered Fully Automated Chaos Engineering: Towards Enabling Anyone to Build Resilient Software Systems at Low Cost
    LLMによる完全自動化カオスエンジニアリング:誰もが低コストで障害耐性のあるソフトウェアシステムを構築できる将来に向けて
    1. 菊田 大輔 研究員(NS研)、池内 光希 准特別研究員(NS研)、田尻 兼悟 准特別研究員(NS研)
    2. カオスエンジニアリング(CE)は、システムに意図的に障害を注入し、その際の挙動を事前に把握・改善することで、商用サービス環境におけるシステム障害の発生を減らすための取り組みです。障害注入実験の実行自動化が進む一方で、実験の設計や実験結果をもとにしたシステムの改善の自動化は進んでおらず、CEにかかる労力の大きさや敷居の高さが課題となっています。本研究では、これらの課題を解決するため、大規模言語モデル(LLM)を用いてCEを完全自動化するシステムを提案しました。検証では、提案システムがCEを通じて自律的にKubernetesシステムの問題を発見・改善できることを確認し、LLMを活用することで誰もが低コストで障害耐性のあるシステムを構築できる将来の可能性を示しました。今後は対話機能の追加やコーディングエージェントとの統合により実用化を進め、NTTが掲げる強靭なネットワークの実現に貢献します。

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