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2021年2月 5日
澤田代表取締役社長
(同席)
中山執行役員財務部門長
谷山執行役員経営企画部門長
会見での発言のポイントをとりまとめて掲載しています。
新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受けていらっしゃる方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
2020年度第3四半期の連結決算の状況は、減収増益です。現時点では、営業収益、営業利益とも想定より好調に推移しています。営業収益は、新型コロナウイルス影響などによるNTTドコモの端末機器販売収入減や海外におけるSI収入の減、一部収入の会計処理方法の変更などによりまして、対前年1,247億円の減収となっています。
営業利益は、新型コロナウイルス影響による減益がある中、NTTドコモのスマートライフ事業の増益や海外収支の改善などにより、対前年519億円の増益です。
当期利益は、営業利益見合いの増益に加えまして、NTTドコモの完全子会社化による少数株主見合いの利益取り込み影響が約190億円あったことなどにより、対前年343億円の増益です。当期利益8,312億円は、第3四半期として過去最高の数値です。
海外売上高は、一部収入の会計処理方法の変更、新型コロナウイルスの影響などによりまして、対前年減収となる一方、海外営業利益率は、NTT Ltd.の合理化などによりまして改善しており、現時点では好調な進捗です。一方で、新型コロナウイルスによる世界各国での経済活動の再制限など、引き続き注視が必要な状況にあり、年間計画は、見直さない考えですが、年間計画を上回るべく取り組んでいきます。
なお、第3四半期決算における新型コロナウイルスによる収支影響については、営業収益で約1,600億円の減収、営業利益で約300億円の減益の影響が出ております。
次に、セグメント別の状況です。
移動通信事業は、対前年減収増益です。
地域通信事業は、NTT東西ともに好調な光純増を受け、対前年増収です。これは10年ぶりの増収です。NTT西日本においては、設備の大容量化に伴う除却などがあり、対前年増収減益となっていますが、四半期別に見ると、第2四半期、第3四半期と増益基調であり、想定を上回る進捗です。
長距離・国際通信事業は、NTT Ltd.における会計処理方法の変更や新型コロナウイルスの影響などで減収ですが、前年度に実施しました構造改革により営業利益が改善し、対前年減収増益です。 データ通信事業は、先日のNTTデータの決算発表のとおり、対前年増収増益と好調です。
主なトピックスについて説明します。
まず、新型コロナウイルスに対する取り組みです。NTTグループは、指定公共機関として、引き続き通信サービスの安定的な供給を確保していくことを実践していますが、固定通信のトラフィックは、今回の緊急事態宣言では前回と異なり、平日の昼間で1割程度の増加にとどまっています。また、お客さまの支援施策として、前回と同さまにお支払期限の延長を実施しております。緊急事態宣言が延長となったため、2021年4月末日までお支払期限を延長しています。また、NTTグループ内において、さまざまな技術を用いることで、自社のコールセンターにおける在宅勤務の拡大や、間接部門において7割以上の在宅勤務を実施している状況です。
前回の決算会見で発表した新サービスブランド「Remote World」においては、この世界観を広く共有し、世の中にサービスを浸透させていきたいと考えております。ブランドのコンセプトは、Face to Faceを超える新たな空間の実現です。
さらに、リモート対応可能な業務を拡大するため、新たなサービスを2つ紹介します。1つは、2020年12月にNTTドコモより、AI電話を提供しています。AI(人工知能)とRPA(Robotic Process Automation)を用いて、オペレーターが実施していた電話応対やPC操作を自動化するものです。
次に、音声を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する、NTTコミュニケーションズの「COTOHA Voice DX」のラインアップに緊急災害時に、テキスト入力内容を事前登録した電話番号に音声で一斉配信するメニューを追加しました。
新領域、新事業へのチャレンジについて5つ紹介します。
1点目は、先般NTTアーバンソリューションズが報道発表した名古屋・東桜の開発案件で、現実と仮想をつなぐというコンセプトのまちづくりデジタルツインコンピューティングの実装をめざしていく取り組みの開始です。
2点目は、NTTインフラネットが、NTTグループの地下設備の3D空間情報を整備し、これをスマートインフラプラットフォームとして、東京23区から運用開始をしました。今後、エリア拡大とあわせて、他社設備への対応も進めていきます。
3点目、4点目ですが、NTT東日本が2つ会社を設立しています。1つは、NTT ArtTechnologyで、地域の文化芸術などを対象に、オンラインを中心とする新たな鑑賞スタイルを広く浸透させる新事業会社を立ち上げています。もう1つは、国産ドローンを用いて、まずは農業において、これを起点にビジネスを広げることを目的にNTT e-Drone Technologyを設立しました。
そして5点目、今週、NTTドコモから報道発表がありました5G、Beyond 5Gに向けた取り組みで、1つは海外通信キャリア向けに、「5GオープンRANエコシステム」を通じて最適な無線アクセスネットワークのパッケージ提供をめざす取り組みを、海外を含む12社の企業と開始しました。これは通信機器ベンダー以外に、インテルやデル、エヌビディアをはじめ、さまざま会社と一緒に提供していくものです。
それから、海外拠点を持つ法人のお客さま向けに、日本初の5Gソリューションを提供するためのコンソーシアムを12社で設立し、タイで実証実験、および商用サービスを開始します。
また、Beyond 5Gに向け世界で初めて、通信電波を用いた測位情報を活用した基地局切り替え制御技術について、60GHz帯、最高時速300kmのフォーミュラカーを用いて実証しました。
このように色々な取り組みをしていますが、その他、近畿大学とも昨年11月にスマートキャンパス化に向けてNTTグループ横断で包括連携協定を結び、鋭意検討を進めています。
最後に、株主還元につきまして、2020年度期末配当の配当予想を年度当初から5円増額し、55円とすることを、本日の取締役会で決議しました。年間1株当たり105円の配当、対前年で10円の増配になります。これは中期経営戦略において、継続的な増配を基本的な考えとする旨を発表しており、今期業績が順調に進捗していること、また、NTTドコモの完全子会社化による利益増、キャッシュフロー改善などを踏まえた対応です。
私からの説明は以上です。
昨年末の総務省の有識者会議で、今年の夏にNTTドコモによるNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアの子会社化の方向性を明らかにしているが、統合の検討状況、期待している効果について教えて欲しい。また、競合他社から統合に対する懸念が出ているが、どのように受け止めているのか。
昨年12月の有識者会議で、私たちがどういう方向で検討していくかについて発表しましたが、その後、ワーキンググループをNTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェア、NTT間で作り、法人営業力の強化、サービス提供力の強化、コスト競争力の強化、研究開発力強化、そしてグローバル展開のそれぞれについて、現在、検討を深めている状況です。有識者会議で色々なご意見も出ていますが、NTT東西とNTTドコモ、あるいはNTTコミュニケーションズの間の公正競争条件は今も担保できていると私たちは考えていますので、それを引き続き順守していく考えです。12月に発表したのは、あくまであの時点での方向感であり、いろんな議論がされていますので、その条件も見ながら、検討していきたいと考えています。
NTTドコモはもともとO-RAN Allianceに取り組んでいて、一昨日、「5GオープンRANエコシステム」の発表もあったが、このような取り組みは、検討中または、着手したばかりだと認識している。そのような中、国内情報通信産業の競争力強化への貢献について、今の時点で前進しているという手応えはあるのか。また国内情報通信産業の国際競争力を高めていくために、当面はどのような課題を解決していきたいか、短期的な課題感や解決の方向性について見解を伺いたい。
国内の情報通信産業は、通信事業者と製造業者の2つに分けて話をしたいと思います。通信事業者については、各社、携帯料金の値下げを発表していますが、これにより市場が活性化していくことになると考えています。そのような値下げの中でも各社が5Gに積極的に投資をしていこうとしています。NTTドコモも今週のフォーラムで、例えばXR(VR、AR、MRなどの先端技術の総称)の眼鏡や、新しい端末にもトライをしていくと発表していますので、いわゆる通信事業として、5Gを含めかなり活性化していくのではないか、またそれは、各社の競争を通じて、産業自身が強くなるということで前進していると認識しています。
また、製造業者の方ですが、昨年、NECへの出資などIOWN構想の推進で、日本の通信機器ベンダーが海外のお客さまから受注したり、一緒に検討したり、そういう兆しが出てきています。かつ、先ほどご説明したように、O-RAN関係のコンソーシアムをNTTドコモがグローバルベースで構築する動きも出ております。そういう意味では、製造業者の短期的な手応えも出始めていると認識しています。
先日、NTTドコモから発表した5G技術のグローバル展開について、NTTグループ全体の戦略の中での位置づけを教えて欲しい。
O-RANは思想的にもオープンという概念を入れています。NTTドコモが先導して各国とのO-RANの連携を、既にスタートしていますが、こういう営みを今後、他の技術分野にも広げていけるのではないかと考えています。つまりキーワードはオープンです。もう1つが信頼できる人たちとパートナーリングをしていくということになります。IOWNにおいてもIOWN Global Forumにおいて信頼できるパートナーとの関係構築を進めておりますので、今後ともオープンと信頼できるパートナー、という2つのキーワードで世界での標準化と事業展開の素地を作っていきたいと考えています。
アメリカでバイデン新政権が発足したが、対中政策をめぐってはトランプ前大統領時代の強硬政策を継続するという構えを現時点では見せている。ファーウェイなどの排除や、5Gの覇権争いなど、米中の対立が通信業界にも今後波及することが見込まれている状況であるが、NTTの事業にとってどのような影響があるのか。
バイデン新政権は、基本、前政権の中国への政策を継続すると言っており、人権の問題を含めて、他の取り組みも基本的には同じであると考えています。そういう意味では、米中、あるいは経済安全保障という切り口で私たちへの影響や世界の事業者の動向については、今までどおりで大きく変化しないのではないかと考えています。
今回の当期利益については過去最高とのことだが、要因は何か。NTTドコモを取り込んだことが、影響しているのか、教えて欲しい。
当期利益は、過去最高ですが、対前年度343億円増のうちの約190億円がNTTドコモの当期利益の取り込み分となり、残りの150億円ほどが、営業利益の増加などによる影響になります。
なお、営業利益は519億円増の1兆5,023億円で、これは過去2番目に高い数字であり、NTTドコモの取り込みと、営業利益の拡大、この2つが要因で過去最高の当期利益になっています。
事業計画は据え置きつつも、配当については5円増額とのことだが、業績見通しで不透明な部分がある中で、増額に踏み切った理由や背景について教えて欲しい。また業績は好調に推移しているとのことだが、計画をどの程度上回って推移しているのか。
決算上は非常に好調な状況です。それに加え、NTTドコモの完全子会社化により第3四半期では約190億円、今年度では約300億円の当期利益増が見込まれていますので、株主の皆さまにも還元する部分があります。また継続的な増配の実施というNTTの株主還元に関する基本方針に則した対応になります。
一方で、今年度の最終的な決算の見通しですが、やはり全世界的に、再ロックダウンをはじめ、新型コロナウイルスによる厳しい状況があります。また、NTTグループでは、電力の販売もやっておりますが、先般の電力卸売市場の乱れの影響も見込む必要があります。そのあたりも踏まえ現時点では据え置きにしておいた方が良いと考えています。計画対比については、好調ではありますが、どの程度計画を上回っているかについては言及を控えさせて頂きます。
以上
NTTグループ中期経営戦略
2023年5月、「NTTは挑戦し続けます。新たな価値創造と地球のサステナビリティのために。」を基本的な考え方とした中期経営戦略を発表しました。
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