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2021年5月12日
澤田代表取締役社長
(同席)
中山執行役員財務部門長
谷山執行役員経営企画部門長
今日はお忙しい中、ありがとうございます。はじめに、今般の国家公務員などとの会食に関する対応について説明をさせていただきます。
改めまして、弊社経営層と省庁関係者などとの会食により、お客さま、株主の方々をはじめ、関係する皆さまに多大なご迷惑とご心配をおかけしていますことを心より深くおわび申し上げます。
現在の状況ですが、3月9日に社外の専門家を含む特別調査委員会を立ち上げ、事実関係の解明などに向けた調査を同委員会で実施しています。今回の事案は経営層の認識の甘さが原因で発生したものであり、本来、社員に範を示すべき経営層がこうした事態を招いたことを深く反省するとともに、今後は再発を厳に防止し、お客さま、株主の方々をはじめ、関係する皆さまからの信頼を取り戻すため、社内ルールを見直し、再発防止に向けた取り組みを徹底してまいります。
今後の取り組みにつきまして、特別調査委員会の調査結果が示された後に改めて公表させていただきたいと考えています。よろしくお願いします。
2020年度の連結決算は、営業収益増収、営業利益増益、当期利益増益です。営業収益、および当期利益は過去最高を更新しています。
営業収益は、新型コロナウイルス影響などによるNTTドコモの端末機器販売収入減や海外におけるSI収入減、NTT Ltd.の一部収入の会計処理方法の変更などの減収があるものの、NTTドコモのスマートライフ収入増や国内におけるSI収入増などにより、減収をカバーし、対前年446億円の増収です。
営業利益は、新型コロナウイルス影響による減益や、エネットにおける電力調達コスト高騰の影響を、NTTグループ各社の増収、またコスト削減などによりカバーし、対前年1,092億円の増益です。
当期利益は、営業利益の増益に加えて、NTTドコモの完全子会社化による少数株主見合いの利益を400億円取り込んだことなどにより、対前年609億円の増益となりました。
海外売上高は、一部収入の会計処理方法の変更や新型コロナウイルスの影響などにより、減収となる一方、営業利益率は、NTT Ltd.による合理化などにより、改善をしました。
営業収益、営業利益、当期利益はいずれも業績予想を上回る数値です。
なお、本決算における新型コロナウイルスによる収支影響は、営業収益で2,000億円の減収、営業利益で500億円の減益影響となりましたが、NTTデータの海外SI収入やNTTドコモの端末販売減が想定より抑えられた結果、当初想定していた年間影響に対して、営業収益で1,500億円、営業利益で200億円程度、影響が縮小しています。
セグメント別の状況については、後ほど各社から説明があるため、省略しますが、その他の事業で1,346億円の減収、261億円の減益となっています。これはリース事業の分社化やエネットにおける電力調達コストの高騰によるものです。
2021年度の業績予想です。対前年営業収益増収、営業利益増益、当期利益増益を予想しています。営業収益、営業利益、当期利益はいずれも過去最高となり、当期利益は初の1兆円超えをめざします。
新型コロナウイルスの影響が残る中、NTTドコモのahamo導入やギガホ プレミアによるお客さま還元の拡大などに伴う減収はありますが、旺盛なデジタル化需要を取り込んだSI収入の増、スマートライフ領域の拡大、海外における構造改革効果の創出、各社のコスト削減などによりまして、営業収益、営業利益は対前年増収増益です。
当期利益は、営業利益見合いの増益に加え、NTTドコモ完全子会社化の影響などにより、対前年1,688億円の増益を見込んでおります。この結果、EPS(Earnings Per Share: 1株あたり利益)は2020年度の248円から300円と大幅な増加をめざしています。
セグメント別の説明は省略します。
中期財務目標の状況ついて、中期経営戦略の見直しを5月に発表予定でしたが、総務省の公正競争確保の在り方に関する検討会議の報告書が発出されるタイミングを待つことが良いと考え、今回の決算発表での公表は見送ります。今後、検討会議の報告書が明らかになり次第、中期経営戦略見直しについて公表したいと考えています。
各中期財務目標の進捗は順調です。特に、コスト削減におきましては、2023年度に▲8,000億円以上のコスト削減という目標でしたが、2021年度の業績予想では▲8,400億円を超えていくと見込んでおり、2年前倒しでの達成となります。
また、Capex to Salesの2021年度目標は13.5%で、この項目につきましても目標年度に達成の見込みです。
EPSについては、2021年度の業績予想は300円であり、2023年度の目標である320円を、1年前倒しの2022年度に達成できるよう努力していきます。海外営業利益率は、2020年度は0.6ポイント上昇し、3.0%となりましたが、NTTデータ、NTT Ltd.の増益が見込まれており、2021年度は6.0%をめざしています。
トピックスをいくつかご紹介します。
研究開発の強化・グローバル化としまして、研究所の基礎研究とベンダーの開発能力との連携の強化のため、IOWN総合イノベーションセンタを2021年7月に500人規模で新設します。NEC、富士通、他のパートナーとの連携も深め、人材の派遣も考慮しながら、この研究所を運営していきたいと考えています。光電融合デバイスなどを適用した「光ディスアグリゲーテッドコンピューティング基盤の開発」、「移動と固定の融合」、「ネットワークとコンピューティングの融合」などを強力に推進したいと考えています。センタ長には、現在、NTTアドバンステクノロジの顧問で、元富士通副社長の塚野英博氏が就任予定です。
なお、サービス開発や成長分野の投資を含む「新たな領域への研究開発」を2021年度に5,000億円規模まで拡大させる予定です。これは中期経営戦略で公表した、5年間で2兆円のうち、2021年度までの3年間で1兆2,500億円が実現しつつあり、あと2年間で2兆円を超えていくよう加速していきたいと考えております。
またナチュラルな世界をめざすラボ構想と銘打って5月にラボを立ち上げたいと考えています。IOWN構想がもたらす新たな社会像を、生活者が自分ゴトとして感じられる情報へ翻訳し、発信していきます。京都大学の出口教授との共創プロジェクトを軸に、情報通信総合研究所、博報堂とのアライアンスによる取り組み、理系知と文系知の融合により、具体的な未来の姿とIOWNの貢献領域を決め、発信をしていきたいと考えています。
ESG経営の推進については、ガバナンスの強化として2点紹介します。1点は、取締役会の活性化を目的に、100%子会社ですが、主要子会社に社外取締役・執行役員制度を導入します。もう1点は、役員報酬の見直しです。業績連動の割合を現在の3割から5割に拡大し、中長期的な企業価値の向上をより強く意識するよう、新たな制度を導入します。
リモートワールド実現に向けた取り組みですが、新たなサービスを2つ紹介します。ひとつは、中堅中小企業向けに簡単、安価でスピーディにリモートワークを実現するクラウド型のコンタクトセンタです。言ってみれば、在宅でコンタクトセンタを形成できる、そのようなサービス提供を始めています。
もうひとつは、リモートアクセス環境下で快適なレスポンスとゼロトラストネットワークに対応して、セキュアなアクセスを実現する「Flexible Remote Access」です。これはどこからでもリモートアクセスが快適、セキュアに利用できるということで、ID単位で出していくもので既に4月23日から販売を開始しています。
中期経営戦略の進捗について、いくつか紹介します。まず、B2B2Xモデルの推進ですが、2021年3月末のB2B2Xプロジェクトの総数は104となり、1年前倒しで2021年度の目標である100を達成しました。またパーソナル化推進において、NTTドコモが株式会社メドレーとオンライン診療を起点とした資本業務提携に合意しました。さらには、昨日、NTTドコモから発表しましたが、三菱UFJ銀行とデジタル金融サービス提供に向けた業務提携に合意しています。
グローバル事業の競争力強化について、オーストラリアのニューサウスウェールズ州とスマートシティの実現に向けたMOU(Memorandum of Understanding)を締結しました。また本日、報道発表しましたが、新たなビジネスの創出を目的として、本年7月に、イスラエルに現地法人を設立します。
最後に、株主還元について、2021年度の配当予想は、対前年5円増とし、年間1株当たり110円とすることを本日の取締役会で決議しました。また、2020年11月に決議された自己株式取得については、取得を完了しています。
私からの説明は以上です。
コロナ禍で多くの企業が苦戦した中、NTTは最高益を更新し、当初の業績予想も上回る着地になった。当初の想定より力強かった部分は何か。また、今期の業績見通しの中で、新型コロナウイルスの収束をどう見ているのか、コロナ禍でどういう事業が業績をけん引するのか。
緊急事態宣言の中、第3四半期の決算の時も、上振れの兆候はありましたが、保守的に見ていました。何が伸びているかというと、NTT東西、NTTコミュニケーションズ、NTTデータのSIがまず上げられます。それとNTTドコモのスマートライフ領域です。リモートワークもそうですが、医療や学校、色々なものに関して、リモートで生活をする結果、IT、デジタルが求められている流れがあったと考えています。
現在も、感染拡大で厳しい状況であり、より一段と企業においてリモートワークを進めることが必要と考えています。それは、私たちをはじめ、デジタルに関係する企業が、頑張って良いソリューションを提供することと等価であると考えています。ウィズコロナに応じたソリューションを提供し、アフターコロナになり流通が大きくなると経済活動が活発化すると思いますので、リモートに限らず、多くのDX(デジタルトランスフォーメーション)を含めた案件が増えてくると捉えています。
2021年4月にKDDIやソフトバンクなどの21社が、NTTの接待問題などの検証が終わる前にNTTグループの再編が進んでしまうことは不適切であるという趣旨の意見書を総務省に対して連名で提出したことに対する受け止めを聞かせて欲しい。また、NTTドコモやNTTコミュニケーションズ等の統合は、当初の予定よりも遅れるという理解で良いか。またそれによりNTTグループ再編にどのような影響が出ると考えているか。
21社の意見は、総務省が実施した検討会議のパブリックコメントの募集に応じて出されたものと受け止めています。総務省でも情報通信行政検証委員会で検証を行っており、そのあたりがクリアにならないと、総務省自身も公正競争確保の在り方に関する検討会議の結論を出すのは難しい状況であり、私たちが先行して施策をやっていくのも難しい状況であると認識しています。NTTドコモ等の統合の議論は、遅れていく部分はあると思いますが、組織統合などをせずにできる議論については既に始めているところです。
IOWN総合イノベーションセンタを総合研究所として新設する狙いについて教え欲しい。また、IOWN総合イノベーションセンタにNTTドコモR&Dセンタも加わるのか。さらに、元富士通の塚野氏をセンタ長にした理由や狙いについても教え欲しい。
IOWN総合イノベーションセンタは4つ目の総合研究所になりますが、現在の3つの総合研究所とは色合いが違うものを考えています。名称も、イノベーションセンタとしていますが、非常に分かりやすく言うと、研究の段階よりも導入の段階、実用化の段階に近い開発を行います。つまり、今までは研究成果を、事業会社に渡して、事業会社で商品化や導入をしていくという流れがありますが、今回は、社外、パートナーの方と組んでいきますので、パートナーの方にきちんとしてものがお渡しできるような実用化開発が必要になります。このため、現在の3つ総合研究所は、より「Research」に近いところで、今回のイノベーションセンタはむしろ「Development」に近いところという捉え方をしています。NTTドコモは実用化側の事業会社であり、NTTドコモの中にIOWNの関係組織を別につくっていくことになるため、NTTドコモR&Dセンタを含める予定はありません。
塚野氏については、先ほど申したように、イノベーションセンタはメーカーとの関係も深くなりますし、実用化に近い部分ですので、適任ではないかと考えています。
NTTは東京2020オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナーを務めているが、感染の収束が見通せず、医療体制の不安が続いている中、開催にあたって必要な条件をどのように考えているのか。五輪開催の是非も含めて聞かせて欲しい。
昭和39年の東京オリンピックの当時、私は小学校3年生でしたが、世界にこんなにも多くの国や、たくさんのスポーツがあって、当時、アスリートという言葉はなかったですが、選手の一生懸命な姿を見て、非常に感動した覚えがあります。日本自身がその中で貢献をしていく、そういう国にならなくてはと子供ながらに感じた記憶があります。
アスリートの方や、オリンピックを心待ちにしている方もいると思いますので、私個人としては、オリンピックは開くべきだと考えています。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大があり、大変な状況でもあり、オリンピックはやめるべきではないかという意見もあると思います。いたずらに、やるべきであるか、ないかということを議論するのではなく、やるためにどのようなことが必要であるか、そういう議論がより起こっていくのを望んでおります。ぜひ、メディアの方々も、どのようにして実現していくべきか、という課題で議論いただけると幸いであると感じています。
なお、開催にあたっての条件を、私がお答えするのは適切ではないと思いますが、無観客にするのか、もしくはどれだけの観客を入れるのか、その場合どれだけ動線を分離するのか、その度合いの問題ではないかと考えています。
オリンピックをどのように開催していくか、どのように感染防止をするかということに知恵を絞るべきとのことだが、仮に無観客となった場合、NTTが配信などの分野で、技術をより活かせる可能性はあるのか。また、仮に中止となった場合、ゴールドパートナーとしてどのような影響があるのか。
オリンピックの場合は、放映権については、テレビにしても、インターネットにしても、全てどなたがそれをスポンサーして、ハンドリングするかは決まっていますので、無観客だから新たに実施することは難しいとは思います。ただ、4月時点で、いくつかの競技に関しましては、VR(Virtual Reality)、またはXR(X Reality)と言うべきかもしれませんが、より臨場感のある映像配信をご提供するようにしています。その点につきましてはNTTの技術を活かせますし、インターネットで見られる方が多くなった場合のセキュリティやトラフィックの安全な流通という点においては、基本的に私たちが頑張らなければいけないところだと考えています。
また、オリンピックが中止になった場合ですが、毎月、毎年のスポンサーのコストというのは既に各年度で支払っており、その年度にそれぞれ広告効果は上がっていますので、コストが無駄になるというものではないと認識しています。
脱炭素の取り組みについて、昨日、ソフトバンクモバイルが2030年のカーボンフリーの方針を打ち出し、世界を見渡せば、グーグル、アマゾンなども2030年までに順次、100%再生可能エネルギーにするということをうたっている。そのような中、NTTグループの事業において、脱炭素の取り組みはどのような状況、進捗なのか、また、GAFAと比べてどうなのか。
NTTはグループ全体で日本全体の約1%の電力を消費しており、かなり多くの量となっています。2030年までに、この消費電力のうち30%を自然再生エネルギーするというビジョンを昨年掲げており、現在、十数%まで獲得できています。その後、カーボンニュートラルの議論になり、より加速をする議論が出ていますので、どういう目標を置いていくかについて、再検討に入っています。もう一度ビジョンを見直すということで議論していきます。
一方で、先ほどもリモートワークがニーズとしても出ていると申しましたが、DXの中で、より分散型の社会を形成していく努力、いわゆるGreen by ICTをよりもっと進めるべきではないかと考えています。加えて、私たちが提供するひとつのサービス単位のエネルギーを削減する、いわゆるGreen of ICTを進めるべきであると考えており、この2つを強力に推進したいと考えています。いずれもまだ途上の段階です。
以上
NTTグループ中期経営戦略
2023年5月、「NTTは挑戦し続けます。新たな価値創造と地球のサステナビリティのために。」を基本的な考え方とした中期経営戦略を発表しました。
NTTとともに未来を考えるWEBメディアです。