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2025年2月 7日
社長記者会見
島田代表取締役社長
(同席)
中村執行役員財務部門長
服部執行役員経営企画部門長
2024年度第3四半期決算をご説明申し上げます。
まず、4ページをご覧ください。第3四半期連結決算の状況について、対前年増収減益です。営業収益は、第3四半期として過去最高を更新しています。NTTデータグループにおける国内外の増収やNTTドコモにおけるスマートライフ事業の増収などにより、対前年3,329億円増収の10兆497億円です。なお、この増収のうち為替影響は約1,250億円です。
営業利益は、NTTデータグループの増益や、NTTドコモのスマートライフ事業の拡大はありましたが、モバイル、固定における通信サービス収入の減や、NTTドコモにおける顧客基盤強化に向けた施策展開に加え、前年度に実施したノンコア資産スリム化の影響の反動などにより、第3四半期時点では対前年870億円減益の1兆3,992億円です。販売強化の取り組みにより、光サービスの純増数は前年比で増加しており、NTTドコモのMNP(携帯電話番号ポータビリティ)も足元では着実に成果が出てきています。年間の利益計画達成は厳しい状況となっていますが、各社の増益努力により、最大限のリカバリーを図ってまいります。
当期利益は、営業利益の減に加えて前年度の株式売却益の反動などがあり、対前年1,604億円減益の8,507億円です。EBITDAは、営業利益の減益などにより、対前年192億円減の2兆5,525億円です。
続いて5ページをご覧ください。セグメント別の営業収益について、総合ICT事業セグメントは、モバイル通信サービス収入の減はありますが、スマートライフ事業における金融・決済を中心とした成長などにより、対前年増収です。スマートライフ事業の増益はありますが、顧客基盤強化に向けた施策展開などにより、対前年減益です。年間計画達成は厳しい状況となっていますが、顧客基盤強化やネットワークの品質向上を確実に実行しつつ、さらなるコスト削減などあらゆる対策を講じまして、最大限のリカバリーに取り組んでまいります。
地域通信事業セグメントは、ネットワーク収入の減に加え、前年度に実施したノンコア資産スリム化影響の反動などにより、対前年減収減益となっています。光サービスの純増数は、10ギガプランやマンション市場向けの全戸一括プランの販売強化により、前年比で増加しています。営業収益、営業利益ともに概ね想定どおりの進捗であり、中期的な成長に向け、事業の選択と集中やオペレーション業務改革などの抜本的なコスト構造の見直しに積極的に取り組んでまいります。
グローバル・ソリューション事業セグメントは、日本における公共・金融・法人分野の増収に加え、為替の影響などにより、対前年増収です。日本国内での増益および海外におけるデータセンター事業の増益などにより、対前年増益です。
その他(不動産、エネルギー等)について、NTTアーバンソリューションズにおけるデータセンターエンジニアリングの拡大に伴い、対前年増収です。増収に伴う増益はありますが、物件売却益の減などによりまして、営業利益は前年並みです。
続いて6ページをご覧ください。次に、トピックスについて4つご説明をいたします。
7ページをご覧ください。まず、地域活性化・街づくりの取り組みについてご説明いたします。大阪・関西万博に合わせ、ホテルや公園・文化施設を新たに展開する予定です。大阪エリアでは、「パティーナ大阪」と「難波宮跡公園」および公園内の商業施設「なノにわ」を本年春にオープンします。さらに、スタジアム、アリーナについても、神戸、愛知など各地で順次運営を開始していく予定です。
続いて8ページをご覧ください。次に、インドでの「NTT DATA Leadership Event」の開催についてご説明いたします。ムンバイのデータセンターにおけるIOWN APN接続や、インド・シンガポール・マレーシア間の海底ケーブル、MISTとの接続開始に向け、3月にムンバイで「NTT DATA Leadership Event」を開催いたします。加えて、インド国内のデータセンターを拡充し、インド国内シェアナンバーワンのデータセンター事業のさらなる強化を図ってまいります。
9ページをご覧ください。次に、MWC(Mobile World Congress)への出展についてご説明いたします。3月にバルセロナで開催されるMWCにおいて、NTTグループの宇宙ビジネス戦略や生成AIを活用したネットワーク運用ソリューションなどの出展を予定しています。また、「IOWN Global Forum」としてソリューションの展示やセッションなどを予定しています。ぜひお越しください。
続いて10ページをご覧ください。中期経営戦略について、昨年11月以降の取り組みの進捗状況は記載のとおりです。
私からの説明は以上です。
昨今、DeepSeekなど、新しいAIのプロジェクトやプロダクトが生まれているが、見解を教えて欲しい。
中国のDeepSeekについて、AIを自らお客様に提供しているNTTにとって当然コンペティターになるので研究所で調べているところですが、まだ詳細はよくわかりません。他の様々なAIと同様にしっかり見させていただいて、負けないようなサービスを作っていかなくてはならないと考えています。
ソフトバンクがクリスタル・インテリジェンスについて発表しNTTのtsuzumiとコンセプトが重なる印象を持つが、この受けとめを教えて欲しい。
クリスタル・インテリジェンスは法人向けに作られると聞いていますが、まだ中身について具体的なご説明があるわけではないので、注視しながらNTTとしても対応を考えていきたいと思います。
tsuzumiに関して申し上げると、おかげさまで引き合いも1,000社以上になり、そのうち600社以上にご提案させていただいております。tsuzumiや他のAIも含めたサービス提供は100社程度になっておりますが、お客様の様々なご要望に応じて進化させていかなければいけないと思っています。
今、tsuzumiは非常に軽量なサービスとして展開させていただいておりますが、パラメーターを増やしてほしいというお客様の要望等もありますので、これを踏まえ年内に新しいサービスも出していきたいと思いますし、内容もさらに高度化してまいりたいと思いますので、他社に負けないようなサービスを提供可能な体制を充実させてまいります。
来期の業績見通しの方向感について、NTTドコモ、NTT東日本・NTT西日本、NTTデータグループなどそれぞれの事業の状況も踏まえ教えて欲しい。
まず今期は、特にNTTドコモの競争が厳しくなっておりますが、私もシェアは35%を切らないように言っており、NTTドコモの前田社長も同じ気持ちで営業強化をしています。おかげさまで第3四半期ではMNPもプラスで推移しており、成果がしっかり上がってきています。
一方で、成果を出すために販促のための色々な施策でコストをかけています。これは当初計画の中に必ずしも入れていたわけではないのですが、その対応は弱めることなく第4四半期もやってまいります。もちろん他のコストを削減することによりカバーするなど色々な努力はしていきますが、競争に対応することに関しては年度末までやり切りたいと思いますし、仮にその競争が来年度以降も続くのであれば、しっかり対応してまいりたいと思います。
全体で申し上げますと、来期の業績予想はしかるべきタイミングで出させていただきますが、基本的には今年度を底にしたいと思っており、来年度は全体ではプラスに持ち上げるような計画づくりをしていきたいと思っています。
NTTドコモにしても、今年度より良くしてまいりたいし、NTT東日本・NTT西日本は今年度が底になるとおおよそ目途がついてきていると思いますし、NTTデータグループは好調ですし、他の不動産や電力事業を営む会社も問題に対処可能な体制を整えてきております。来年度計画はジャンプと言えるまで飛べる計画にできるかはわかりませんが、少なくとも今年度より成長させていく計画作りに努めます。
IOWNを活用した省エネサーバーについて、どういう形で事業展開していく考えなのか教えて欲しい。
大阪・関西万博でお見せするものについては、もう少し時期が迫ったら具体的にお話ししますが、今時点の構想では電力消費が8分の1になる光電融合デバイスを使ったサーバーをNTTパビリオンの中に実装したいと考えています。ただ光電融合デバイス自体は、サーバーのためのデバイスということではありませんので、色々なところに応用ができます。
デバイスを使ってサーバーを作りたいという方がいらっしゃればデバイスの提供、完成形のサーバーが欲しいという方には完成形のサーバー、伝送装置が欲しいという方には完成形の伝送装置の中に光電融合デバイスを入れるなどお客様のご要望に応じて対応してまいりたいと思っています。
我々としてはまず普及させることが重要だと思っていますので、まずはお客様のご意思を尊重して柔軟にやりたいと思っています。2025年度はその普及活動として、実際のご提供はさらに1年後になると思いますが、お客様にデバイスや製品などをご提供し、まずご利用いただける形に持っていく1年にしたいと思っています。
NTTドコモの通信品質対策の最新状況を教えて欲しい。
NTTドコモは少なくとも関東エリアに関して申し上げると、昨年末までにSub6の基地局自体を15%程度増やしてきました。基地局を増やすこと、エリアチューニングをきめ細かにやっていくこと、パラメーターを制御していくこと、この3点にしっかり取り組むことが重要だと思っています。
例えば基地局を増やす場合は地権者との折衝などが要りますが、順調に来ていて計画を上回っていると聞いています。年度末にかけて工程数が多いのですが、しっかり取り組んでいくことが品質向上につながってくると思います。
数字の結果はその後に出てきますので、例えばOpensignal社の「CQ(一貫した品質)」がどこのタイミングで上がるかは、発表されるタイミング、タイミングで向上していることがご確認いただければと思います。
またお客様がご不便を感じられる場所とかあった際にすぐに対応していく仕組みも強化してまいります。
最大の我々のブランドは品質だと思っておりますので、しっかりやってまいります。
通信品質向上に関し、島田社長からNTTドコモの前田社長に対して時期感のリクエストはしているのか教えて欲しい。
もちろんas soon as possibleですが、そうは言ってもどうしても工数の関係などもありますしパートナーの通信建設会社の方々の協力などご支援も受けていかないといけないので、着実にこなしていける計画をしっかり議論して、着実にやっていくようにと話をしています。
NTTドコモサービスの販促について、競争がどの料金帯で激しくなっていて今回好調だった点はどこにあるのかの分析を教えて欲しい。
おかげさまで例えば旧料金プランからeximoへの移行も想定を上回っていまして比較的順調と思っています。ahamoに関しても、ギガ数を増やしたことでお客様のご満足もいただき増加しています。irumoも計画通りに進捗しておりますので、順調に推移していると思います。
厳しい戦いをしているのは、量販店での販売だと思います。お客様のニーズにお応えしたものをお勧めしながら、丁寧な対応をしていくことが重要だと思いますので、そういった応対ができるレベルの人材を投入していくことが重要です。現実に今こういった活動を着実にやっていることが結果につながっていると思います。
インドでのデータセンター拡充についてスケジュール感と投資規模を教えて欲しい。またインド事業の足元の状況と見通しについて教えて欲しい。
インドのデータセンターは現在21棟運用しています。一番多いのはムンバイで13棟あり、バンガロールとチェンナイに3棟、デリーに2棟ありますが、追加でムンバイに6棟、チェンナイ・バンガロール・コルカタに1棟ずつ、合計9棟を建てていく計画です。今後数年で建てていきますが、合計30棟のうち19棟がムンバイエリアに建設されます。圧倒的にムンバイエリアの需要が高く、需要予測ではなくお客様が決まって建てています。
したがってムンバイエリアは、エリアの中である程度データセンター間の距離が離れています。ムンバイの3つのエリアを結ぶAPNを構築中ないし構築済みで、エリア内の19棟全部が1カ所にあるようにオペレーションができるようになります。
さらにそこにMISTの新ケーブルが夏までにはつながる計画ですので、これらがインドビジネスでは核になってまいります。
これらを踏まえ、3月17日にインドでイベントを行います。もちろんデータセンターだけではなく、SIビジネスや米国でのBPOの受け皿など様々な事業を展開し、従業員も4万人程度いる非常に重要なエリアですので、インド自体の成長のための様々な投資をデータセンター中心にしてやってまいりたいと思います。イベント当日は私もインドに訪問し参加したいと考えています。
あらゆる物価が上がっている中で、家計調査を見ても通信料金は唯一水準が上がっていないと思う。NTTドコモがahamoのデータ通信料を増量したことも実質値下げにあたると捉えているが、今後の料金体系はどうあるべきと捉えているか教えて欲しい。
モバイル業界は競争が激しいので、単純な値上げは中々難しいと思います。新しいプランを作り出していく中で、お客様の価値も上がる一方で、事業者としても一定程度コストをカバーできる体系を考えていかなければいけないので、NTTドコモが一生懸命考えていると思っています。工夫しながら、料金体系を常に見直ししていかなければいけない認識です。
一方で固定電話は、仮にNTT法が4月に改正されると、固定電話をどうやって巻き取っていくかという論点は当然出てくるので、例えば光回線電話やモバイル網を活用した固定電話に巻き取っていくなどの仕組み自体を考え、概括的展望を早いうちに出していきたいと思います。
その中で、固定電話も接続料金自体は上がってくると思うので、うまく移行しやすい料金体系を考えなくてはいけないと思いますし、新たに代替する通信手段へお客様に移っていただくことも考えていかないといけないと思っています。
社名変更に関する考えとスケジュールについて教えて欲しい。
検討はしています。日本電信電話株式会社という名前を変えるとすれば、定款変更しないといけませんので、株主総会に付議しないといけません。おそらく5月の期末決算の時になると思いますが、提案を出していければと思っています。グローバルで認知していただき、存在感が出せる形に持っていきたいと思います。
NTTドコモはフジテレビの親会社の株式を3%余り保有するが、株主としての立場から、今回の事案の受け止めや今後の対応について教えて欲しい。
まずは、フジテレビが早く通常なビジネス提供ができる形になることが望ましいと思っています。もちろんそのためには、今、第三者委員会で調査が進められていると聞いておりますので、その結果を、我々株主としても見させていただくことが重要だと思っていますし、見た上で、判断をする必要があれば、NTTドコモと相談して決めていきたいと思います。まずは、事実関係を早く明らかにされて、正常な運営の形になっていただくのが重要ではないかと思います。
株主としてだけではなく、フジテレビに限った話ではありませんが放送局は新しいコンテンツを色々作られており、NTTドコモとしても制作などで協業をしていく可能性もあるので、問題の解決をしてもらうことが重要だと思っています。
KDDIが社長交代人事を発表したが受け止めを教えて欲しい。
現職の高橋社長が強いコンペティターでしたので、社長を退かれるのは一抹の寂しさはあります。是非新社長と、新たなフェーズで戦いができるだろうと思っております。様々なチャンレンジや業界を成長させる新たなアイデアを出してもらえると、我々もそれに対応して違うことを出していく原動力にもなりますから、一緒に切磋琢磨できれば良いと思います。
昨年12月末に施行された電気通信事業法のガイドラインの改正で、お試し割とスマートフォン端末値引きの新たな規制が注目されたが、受け止めと評価について教えて欲しい。
お試し割についてNTTドコモが今どう検討しているかは、私も把握していません。元々楽天モバイルがご提案された話なので、楽天モバイルからスタートするのが普通かとは思いますが、状況がよくわかりませんのでコメントは差し控えます。
端末の料金に関しては、過去から規制の変化が続いておりますが、マーケットの環境やミリ波普及など環境の状況によって変化するので、ずっと同じ規制体系を継続するのではなく、その時々の状況に応じて臨機応変に変えていくことが重要だと思います。
昨今モバイル業界で金融決済との連携が重要視されている傾向にあると思うが、NTTグループとして、銀行事業参入可能性なども言われている中、金融決済事業の現状についての認識と、課題を教えて欲しい。
おかげさまでd払いは順調に伸びていますし、dカードについてもプラチナカードを出させていただき非常にお客様からも好評いただいているということで、ありがたく思っています。
金融決済分野についてはスマートライフ分野の中でも一番成長している分野でございますので、これを伸長させたいと思っております。
銀行事業参入の話はたくさんの方から質問を受けますが、色々なことを考えています。不要な機能は不要で、必要なものが欲しいという観点がありますので、最終的に自前で新しい銀行を作ることも含めて、5月の期末決算発表までには結論を出してまいりたいと思っています。
新しい時代のビジネスモデルに合った機能が重要なので、その機能をどう獲得するかという観点で、相応しくない機能を持つことは重荷になるかもしれませんので、踏まえて考えてまいりたいと思っています。
NTTグループが銀行に必要な機能は何か教えて欲しい。
既にマネックス証券やオリックス・クレジットへ出資している他、保険もOEMで供給を受けるなどしておりますので、これらの機能を円滑に、お客様にとってマネージできるような機能が必要と考えています。基本的にはシンプルなトランザクションができる機能が欲しいということですので、これを念頭に考えてまいりたいと思っています。
もちろん時間のことも考えなくてはいけませんので、仮にそうした機能が市場にあれば市場から獲得してまいりたいと思いますし、難しいようであれば自分たちで作っていくこともあると思っておりますので、一定の期間の中で結論は出してまいりたいと考えています。NTTドコモの前田社長とよく考えて、結論を出したいと思います。
フジテレビの問題について今後のCM出稿の再開についてどう考えているのか教えて欲しい。
第三者委員会の報告が出てくることが重要で、その中身を拝見させていただいた上でということになると思います。もちろん調査には一定程度の時間がかかると思いますが、できるだけ早い調査をしていただくことが重要だと思っております。
以上
NTTグループ中期経営戦略
2023年5月、「NTTは挑戦し続けます。新たな価値創造と地球のサステナビリティのために。」を基本的な考え方とした中期経営戦略を発表しました。
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