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2018年11月27日

「人類の資産」のデジタル化に取り組むデジタルアーカイブサービス「AMLAD®」

NTTデータのデジタルアーカイブ技術を結集したデジタルアーカイブサービス「AMLAD®」

文書、画像、動画、音声など、あらゆる形式のデジタルデータを保管し、パソコンやタブレット、スマートフォンなどのデバイスから誰もが簡単に検索・閲覧できる仕組みを提供するデジタルアーカイブサービス、それが「AMLAD®(アムラッド)」です。NTTデータがこれまでに、国立国会図書館様向けプロジェクトなどを通して培ってきたデジタルアーカイブ技術を結集して開発したサービスで、デジタル資産の利用価値を高めてくれる地図検索やタイムライン検索などの「多角的な検索機能」、デジタル資産の活用の幅を広げてくれる「多様な連携機能」、さらには多種多様なクライアントニーズに対応しうる「柔軟で充実した管理機能」などを備えているのが特徴です。「AMLAD®」は現在、美術館や博物館、図書館、公文書館といった、貴重資料の長期保存が求められている分野を中心に導入が広がっており、データを安全に保存するためのアーカイブとしてはもちろん、保存されたデータの広範な流通に繋がることが期待されています。

画像:貴重資料の長期保存が求められている分野を中心に導入が広がる

人類の歴史的遺産を劣化から守り、後世に引き継ぐバチカン図書館様のデジタルアーカイブ事業に参画

そんな「AMLAD®」に一際注目が集まったのは、2014年3月の「バチカン図書館様デジタルアーカイビング事業」への参画に関する発表でした。ことの発端は、そこからさらに1年半ほど前まで遡ります。バチカン図書館様には人類の歴史的遺産ともいえる貴重な一点ものの手書き文献(マニュスクリプト)が数多く所蔵されており、これまでそれらは厳重に保存管理されてきました。しかし年月の経過とともに進む劣化は止められず、文化遺産の損失は時間の問題となっていました。その「貴重資料の長期保存」という危急の課題と、そうした貴重な資料を世界中の人が閲覧できるようにしたいというバチカン図書館様の目標には、両立できない矛盾がありました。そのような状況の中、解決策として採用されたのがマニュスクリプトのデジタル化です。そしてそれによって白羽の矢が立ったのが、先ほど紹介した「AMLAD®」でした。「人類歴史遺産の後世への継承」というバチカン図書館様の崇高な思いに共鳴したNTTデータはすぐさま、このデジタルアーカイビング事業を長期に渡ってサポートしていきたいという意向を表明。その後、一年半に及ぶ交渉期間を経て、2014年3月20日に初期契約を締結、調印に至りました。

4年間3,000冊の電子化および、長期保存のためのシステムの構築を1stフェーズとし契約

初期契約の内容は、バチカン図書館様が所蔵する8万2,000冊のマニュスクリプトのうち、3,000冊を4年間かけてデジタル化すること、そしてそのスキャンした画像データおよび付随するメタデータを長期保存し、公開するためのデジタルアーカイブシステムを構築することでした。デジタル化作業は、特別なトレーニングを受け、バチカン図書館様から承認を得たオペレーターが、専用スキャナで1ページごとに丁寧にスキャンして行われました。

画像:バチカン図書館様から承認を得たオペレーターが、専用スキャナで1ページごとに丁寧にスキャン

そうしてデジタル化された画像は、バチカン図書館様の職員またはNTTデータのデジタル化責任者による品質チェックを受けた後、長期保存に適した画像フォーマットに変換し、「AMLAD®」をバチカン図書館仕様にカスタマイズして構築したデジタルライブラリー(DigiVatLib)にメタデータとともに登録されていきました。2018年には当初の予定通り、3,000冊のデジタル化を無事に完了。バチカン図書館前CIO、ルチアーノ・アメンティ氏からは「マニュスクリプトのみならず、さまざまな種類のデータを優れたインターフェースで扱うことができる「AMLAD®」は、利用者の多種多様なニーズに応えてくれている」との声を頂いています。現在NTTデータは、バチカン図書館様とのパートナーシップ契約を延長し、DigiVatLibのサービス向上のため継続的なサポートを行っています。

海外からも注目。広がる導入事例と「AMLAD®」がもたらす未来

それまで、民間企業と費用の発生する契約を結ぶことなど考えられなかったバチカン図書館様のデジタルアーカイブ化事業に、NTTデータが取り組んでいるというニュースが世界を駆け巡ったことで、現在、「AMLAD®」には、北米、南米、ヨーロッパ等、世界各国の図書館や公文書館、美術館を初めとし、官民にまたがる多様なクライアントから問い合わせが続いています。また国内でも、伝統の継承(1200年にわたり連綿と続く密教遺産)と新たな価値の創出(国際的な宗教・観光都市としての魅力を発信)を目指している高野山大学様の「高野山アーカイブ」や、多様な事業領域で作成された資料・写真・映像等のデジタル資産を一括管理し、国内外の事業拠点で共有・利活用できる仕組みを実現したヤマハ発動機株式会社様の「デジタルアセットマネジメント」など、導入事例は広がっており、導入目的も多様化しています。さらにVR(仮想現実)技術との連携や、スポーツ領域、エンターテインメント領域といった新たな領域への応用も検討中。引き続き、価値のある様々な情報をデジタルデータとして保存することで、その劣化や紛失を防ぐ「価値の継承」や、世界中で検索・閲覧できる仕組みを提供することにより新たな情報利用の機会を生み出す「価値の発見」に努めながら、NTTデータはこれからも、「AMLAD®」を通じて未来の人類社会を豊かにするための仕事に取り組んでいきたいと考えています。