日本語は、世界の多様な言語の中でも特に解析が難しいと言われています。
NTTコミュニケーションズが2016年10月31日に提供を開始したAI(人工知能)サービス「Communication Engine "COTOHA™"」(以下「COTOHA」)は、NTTが40年以上にわたって蓄積・精錬してきた30万語におよぶ日本語データベースや処理技術を活用。日本語での書き言葉や話し言葉の高精度な分析・理解による、的確なコミュニケーションを実現しました。
自然な日本語での対話を可能にした新しいAIサービスは、コンタクトセンター等でのエンドユーザー対応や問題解決、オーダー投入や請求書発行等の業務処理に活用されています。
「COTOHA」は日本語の書き言葉・話し言葉を高い精度で分析・理解し、さらに相手への問いかけや反応を行うことで対話を積み重ねることができます。その優れたコミュニケーションを支えるカギは、NTTメディアインテリジェンス研究所が蓄積してきた膨大な日本語データベースと、これを活用した最高水準の日本語解析性能にあります。
自然な日本語を理解するためには「個々の単語に対するメタレベルの情報(例:「千代田区」に付随する「地名」で「東京都内にある」といった情報)」「"てにをは"などによる係り受け関係の把握に基づいた文意の理解」「表現のゆれを理解できる語彙(例:ユーザーが発する「申し込みたい」と「契約したい」の意味は似ている)」などが必要です。
「COTOHA」は30万語におよぶ日本語のメタ情報を含んだデータベースや、多量の文型サンプルに照らして係り受け構造の意味を理解する述語項構造解析技術、膨大な文例に基づいた類似度判定技術などを結集することで、高精度な日本語理解を実現しています。
そして「COTOHA」が繰り広げる自然で柔軟な対話は、その優位性を示す特長の一つとなっています。たとえばコンタクトセンターでは、問い合わせてきたエンドユーザーごとに対応内容を記録し、以前の対話情報を踏まえた反応が可能です。問題解決に必要な情報が不足している場合には自発的に質問を行い、情報を取得します。
また人間同士の対話では、"脱線"することも少なくありません。それまでの対話内容との関連が薄い疑問が投げかけられた場合、「COTOHA」それに回答した後で話を元に戻すといった対応が可能で、より自然なコミュニケーションを行うことができるのです。
もし「COTOHA」のみでの対応・回答が難しい場合には人間のオペレーターに自動で取り次ぎ、人間同士のやり取りを理解し、その内容を自らのノウハウとしてさらに蓄積していきます。
「COTOHA」は、チャット形式のテキストベースによる対話インタフェースのほか、他の音声認識エンジンと組み合わせることで、音声による対話を行うことも可能です。
問い合わせへの対応の自動化と、それに伴う応答率の上昇、そして「COTOHA」を通じた快適なコミュニケーションが、エンドユーザーの満足度向上につながっています。コンタクトセンターでのエンドユーザー対応や企業内のヘルプデスク業務などでの利用を中心に、対話に伴う予約の受付や請求書発行など、業務処理にも自動で対応。しかも、問い合わせの頻度(呼数)の変動にも柔軟に、そして24時間365日対応することができます。
将来的には電話やSNSを介した販売活動を担うことも見込まれる「COTOHA」。NTTグループがこれまでに培ってきた技術とデータが、先端的なサービスとコミュニケーションをつくり出しています。