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生態系保全

方針・考え方

NTTグループの事業に欠かせない通信設備、特に電柱、通信ケーブルなどは自然環境の中に設置しており、生態系に対し少なからず影響をおよぼしています。また、通信ケーブルなどがリスやカラスによってかじられ破損するなど、生態系から影響を受けることもあります。生物多様性を含む生態系からの恵み(水や食料など)は、人類を含む生物全体にとって不可欠なものであり、その保全に向け考える必要があります。

ありのままの自然を未来に引き継ぐために、事業活動および社員活動を通して、自然に寄り添い、生態系保全に関する取組み(自然資本への配慮)を推進します。

推進体制

以下のページをご覧ください。

目標と実績

NTTグループは、生態系保全と自然資本への配慮を前提に、最善を図る事業活動と社員活動を推進していきます。

主な取り組み

生物多様性の保全・水利用の地域性評価

事業用設備の種類別(通信設備、基地局(鉄塔)、データセンター、再エネ(太陽光・風力発電))に対して地域性評価を行い、生物多様性の保全及び水利用による影響度を確認しました。

①生物多様性の保全

事業用設備のうち通信設備、基地局(鉄塔)、データセンター約4.3万拠点に対しKBAやIBATをもとにスクリーニングし、深堀調査を行いました。
再エネ(太陽光・風力発電)設備は想定される自然への依存・影響が大きいと考えられるため、施工会社にヒアリングを行い影響リスクへの対応を確認しました。

②水利用

データセンターに対して水リスク分析ツール「Aqueduct」を用いて、「水ストレスExtremely High」となる拠点を深堀調査を行い影響を確認しました。

評価基準・本取組みで採用した基準・指標・ツール

診断結果

①生物多様性の保全

深堀調査を行った通信設備・データセンターについては、各施設の影響として周辺生態系への懸念事象が生じていないか把握するため、各市町村自治体への問い合わせにより現状把握を行いました。結果、対象設備に関して懸念事象はなく、事業上生じうるリスクは限定的と判断しています。

再エネ(太陽光・風力発電)設備においては、影響評価法等に定められる環境影響評価(環境アセスメント)を実施し、各生態系(動植物)への影響調査・評価を行っています。

環境影響評価手続きでは、配慮書、方法書、準備書、評価書の4段階で審査を受けながら進め、結果は法令に基づく一定期間、各社のHPにて公表しています。

また、風力発電では施設への猛禽類の衝突について調査・予測・評価を行っており、リスクが顕在化した案件(又はプロジェクト)においては専門家からの指導・助言を仰ぎながら長期的な観察を行い、鳥類・哺乳類等の生態へも配慮した開発及び維持管理を実施しています。

地域性評価絞り込み(通信ビル、データセンター)

再エネ設備に関する各生態系への環境影響評価

②水利用

分析の結果、東南アジアの一つの拠点が水ストレスが非常に高いとされている地域に位置していることがわかりました。
当該データセンターについて詳細を確認したところ、現地で水を供給する事業者は逆浸透膜を用いて処理した再生水を活用しており、操業地域における水資源に十分に配慮していることが確認できました。
干ばつ時においても事業継続性が確保できていると評価し、渇水により影響が生じるケースは限定的と捉えています。

基地局においては別途、IBAT(Important Bird and Biodiversity Area Tool)を用いて生物多様性リスクを評価し、日本国内に設置している基地局(鉄塔)のうち約3.3%が生物多様性の重要エリアに含まれることがわかり、これらをホットスポットとして特定

生物多様性保全への貢献、循環型社会への転換

NTTグループでは生物多様性や循環型社会への関心の高まりは新たなビジネスの機会になるものと考えています。事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献していきます。引き続き、生物多様性及び資源循環についてNTTグループのリスク及び機会の検証に努め、情報開示を続けていきます。

森林保全

森林保全のための技術変革を積極的に進めていくことで、二酸化炭素吸収量の増加や生態系及び水資源の保全・保護を推進し持続可能な社会の実現に貢献します。林業における省人化及び自動化による下刈りコストの軽減を目的とした自動運転型下刈機械の植栽フィールド運用実証(以下、本実証)を実施しています。本実証では、林業における省人化及び自動化による下刈りコスト軽減を目的に開発した自動運転型下刈機械を使用し、林業現場で実際に下刈りを行い、その運用性能を検証します。機械の操作は、自動運転ルートの設定と車両の遠隔監視を行う専用アプリケーションがインストールされたタブレット端末一つで実施します。

実証実験の構成イメージ

水資源の適切な管理

NTTグループではベルギーにおいて水資源の最適化をめざす取組みとして家庭用の水道メーターにセンサーを搭載し、どこに問題があるかを検知するだけでなく、交換・修理が必要になるパイプラインを予測する予知保全の仕組みを取り入れ水資源の最適化をめざしています。給水塔や家庭の消費量をネットワーク上で分析し、さらに、収集したデータをもとに、数日後の水消費量をAIで予測することも可能です。必要な水だけを汲み上げることで、地下水を節約できるようになりました。

NTT DATA Belgium(べルギー)のスマートモニタリングによる節水。スマートセンサーを活用することで、水使用量の最適化と衛生管理を実現する節水インフラを構築

資源循環の推進

サプライチェーン上のカーボンフットプリント情報(以下CFP情報)集計やリサイクル・リユース情報等を可視化するバッテリートレーサビリティプラットフォームを構築し、2024年5月からバッテリー製造時のCFP情報を企業間で集計・連携可能なサービスを提供開始しました。
今後は海外データスペースとの相互運用確立やグローバル展開、希少鉱物を対象としたサーキュラー・エコノミーへの対応を推進します。

トレーサビリティプラットフォームのイメージ

原材料調達
金属原料の採掘段階における自然関連リスクの概要把握

金属材料の採掘段階については、主要な金属として銅、鉄、アルミニウム、レアメタルの4種を取り上げ、日本への輸出が多い主要産出国における主要鉱山について、立地を生物多様性リスク・水リスクの観点から評価することで実施しました。これらの結果、生物多様性リスクは非常に多くの鉱山で高リスクであること、水リスクも半数程度の鉱山でリスクが高く、自然への大きな影響を与えうることが分かりました。

NTTグループでは、サプライチェーンにおいて持続可能な社会の実現に向けた取組みを進めていくため、サプライヤーに対し、「NTTグループサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドライン」及び「NTTグループグリーン調達基準」の遵守を依頼し、定期的に環境保全に関する取組状況についてアンケート・調査等を行うほか、企業評価や製品評価を実施しています。今後、これらの枠組の中で、自然・生物多様性保全に関するサプライヤーとの対話を強化し、金属資源の採掘を含む上流工程における、生物多様性の保全や地域の水資源の保全に関する取組強化を検討します。

主要な金属資源の採掘地に関する生物多様性リスク・水リスクの状況

※横スクロールできます

金属種類 使用する主な設備 生物多様性リスクが高い地域への立地割合 水ストレスが高い地域への立地割合
電線、電気通信設備 91.7% 41.7%
鉄塔、アンテナ、建築材料 93.8% 12.5%
アルミニウム 鉄塔、アンテナ 84.6% 69.2%
レアメタル(タンタル) 電子部品 85.7% 57.1%
89.6% 41.7%

(備考)
生物多様性リスク: 生物多様性リスク評価ツール(IBAT)を用い、70km圏内にKBA・保護地域がある場合に高リスクとした。
水ストレス: WRI Aqueduct 2019を使用し、Baseline Water Stressにおける「High」「Very High」とされた生産拠点を高リスクとした。
なお、割合は、金属種類ごとの調査拠点数(主要産出国における主要鉱山)を分母とした割合。レアメタルについては、主要統計における拠点情報の入手可能性をふまえ、また通信事業における電子部品原料を念頭に、タンタルを選定した。

サステナビリティに関する重要項目のリスクや機会については、サステナビリティ委員会に付議し、取締役会に報告しています。

なお、NTTグループのリスク管理プロセスとして、身近に潜在するリスクの発生を予想・予防し、万一リスクが顕在化した場合でも損失を最小限に抑えること等を目的として、リスクマネジメントの基本的事項を定めたリスクマネジメント規程を制定し、代表取締役副社長が委員長を務めるビジネスリスクマネジメント推進委員会及びグループビジネスリスクマネジメント推進委員会が中心となって、リスクマネジメントのPDCAサイクルを構築し運用しており、サステナビリティ関連のリスクの識別、評価、管理に関するプロセスはNTTグループの総合的なリスク管理プロセスに統合されています。

指標と目標

当年度は、事業用設備のスクリーニング調査の概要を記載しつつ、リスクついてはTCFDに追加する形で開示拡充、機会についてはICTを活用したソリューション事例等を開示していく方向で検討を進めています。
開示ができていない指標および目標については、 TNFD勧告で示されているコア・メトリクスや欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)等を踏まえ、今後検討を進めていきます。