近年、企業には自社グループのみならず、原料・資材の調達から廃棄・リサイクルに至るバリューチェーン全体までを含めて、人権への配慮、環境負荷の低減などのESGリスクや持続可能性への影響を把握することが求められています。また、今後さらにバリューチェーンがグローバルに拡大、複雑化していくと予想されることから、バリューチェーン・マネジメントを一層強化していく必要があると考えています。NTTグループはサプラチェーンを構成するすべてのサプライヤの皆さまと相互理解を深めて信頼関係を築き、皆さまとともに高い倫理観のもと、安心・安全なサプライチェーンの構築・維持に努力し続けることで、持続可能な社会の実現に主体的・積極的に貢献していきたいと考え、「NTTグループ調達基本方針」を制定し、方針に基づいた調達を実施しています。
近年、サプライチェーンにおいて、強制労働や児童労働などにかかわる人権侵害、廃棄物の不法廃棄、化学物質管理の厳格化への対応、賄賂をはじめとした不正行為など、さまざまな問題が露見しており、企業が調達活動においても社会規範や法令を遵守し、社会的責任を果たすことが求められています。
NTTグループは、こうした状況に対し、サプライヤの皆さまとともに、安全・安心なサプライチェーンを構築・維持し、持続可能な社会を実現していくため「人権・労働」「安全衛生」「環境」「公正取引・倫理」「品質・安全性」「情報セキュリティ」「事業継続計画」の7分野についてサプライヤへの具体的な要請を示した「NTTグループサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドライン」を2022年に制定しました。
本ガイドラインは日本語、英語で公開してNTTグループの国内外のサプライヤに広く発信しているほか、サプライヤの皆さまとの契約に盛り込むことで遵守をお願いしています。
監査等により本ガイドラインに記載する事項を満たさない行為や事象が特定された際には、該当サプライヤに対して一定期間内でのESG基準の遵守のための改善を要請するとともに、改善がみられない場合には、該当サプライヤとの契約の解除を行うこととしています。
また、環境に関しては同ガイドラインの内容を補うものとして「NTTグループグリーン調達基準」 をあわせて公開し、サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量の削減に向けた取組みを進めています。
NTTグループは、「NTTグループサステナビリティ憲章」を制定し、「企業としての成長」と「社会課題の解決」を両立し、「持続可能な社会」を実現する取り組みを推進しています。現代のサプライチェーンにおいては、グローバル化・複雑化が進展しており、人権、倫理、環境、災害・パンデミック、セキュリティなどの世界的な規模の問題への対応が重要な課題となっています。このような課題に対し、NTTグループはサプライチェーンを構成するすべてのサプライヤの皆さまと相互理解を深めて信頼関係を築き、皆さまとともに高い倫理観のもと、人権保護や地球環境保全などをはじめとした安全・安心なサプライチェーンの構築・維持に努力し続けることで、持続可能な社会の実現に主体的・積極的に貢献していきたいと考えています。
このために、以下の「NTTグループ調達基本方針」に基づいた調達を実施します。
NTTグループ サプライチェーン サステナビリティ 推進ガイドライン |
「調達基本方針」に基づき制定した、社会的課題等についてのサプライヤの皆さまへの要請事項 |
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NTTグループ グリーン調達基準 |
NTTの最新の環境取組み方針や目標値、サプライヤに参照を求める具体的な法律や規格、調達にあたっての評価項目等 |
NTTグループは、サステナブルサプライチェーンマネジメントの推進に関する取組みについてマネジメント層が監督の責任を負っており、取締役会のもと代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」および「グループサステナビリティ委員会(主要各社副社長等出席)」において、グループ全体でのサプライチェーンマネジメントに関する基本戦略、活動の実施状況、情報開示について議論し決定するマネジメント体制を構築しています。
NTT グループは、サプライチェーンの取引先の皆さまや価値創造を図る事業者の皆様さまとの連携・共存共栄を推進するため、サプライヤへの不適切な要求(低価格、短期的な納期など)を回避するよう、社内での必要な仕組みや手続きを徹底しています。
⑧改善要請が必要なサプライヤとの直接対話率【倫理】
2024年度目標:100%(NTTグループ全体)
⑭改善要請が必要なサプライヤとの直接対話率【人権】
2024年度目標:100%(NTTグループ全体)
各種ガイドライン等に基づき、サプライヤの皆さまと信頼のおけるパートナーシップの構築を目的として、さまざまな活動を実施しています。これまでNTTグループの重要サプライヤの皆さまにはNTTが独自で策定した「サプライチェーンサステナビリティ調査」のアンケートを実施してきましたが、2022年度からは第三者評価機関(EcoVadis)によるESGリスク評価を新たに開始しました。
それらの調査結果等を踏まえ、サプライヤの皆さまとの「直接対話」を実施するなど、サプライヤエンゲージメントの強化に向けた活動を実施しております。直接対話においては、環境、情報セキュリティ、BCP(事業継続計画)等に加え、強制労働や人権リスクについても、サプライヤの皆さまと意見交換を実施するとともに、職場の労働安全衛生等に関して、サプライヤの皆さまの対応状況を確認しています。
また、NTTは2022年7月に、グローバルにICTサプライヤへのCSR監査を実施する電気通信事業者によるアライアンス(JAC: Joint Alliance for CSR)にアジアの電気通信事業者として初めて加盟し、2023年度からはJACの監査基準に基づき、NTTグループのサプライヤ様へのCSR監査を開始しました。
リスク評価結果に基づき、是正措置が必要な場合にはサプライヤの皆さまに是正措置計画を策定していただき、その実行をモニタリングしていく予定です。こうしたサプライヤの皆さまとのサプライヤエンゲージメント活動を継続していくことで、NTTグループのサプライチェーン全体でリスクマネジメントに努めています。
NTTグループでは、調達額や部品の重要性、代替構成など、以下の観点で重要サプライヤを特定しています。
重要サプライヤ種別 | 定義 |
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①調達額の多いサプライヤ | NTTグループの調達額の上位(全調達額の約90%以上)を占めるサプライヤ |
②重要物品のサプライヤ | グループ各社の基幹事業に必要な重要物品を扱うサプライヤ |
③代替不能なサプライヤ | 市場に代替品のない製品を扱うサプライヤ |
※上記、サプライヤの中で環境/社会/ガバナンス側面でリスクの高いサプライヤに対しては是正措置計画を策定し、その実行をモニタリングしています。
NTT、KDDIおよびソフトバンクは、通信業界におけるサステナブルなサプライチェーンの実現に向けて、サプライヤエンゲージメント活動の標準化やさまざまな取り組みを3社共同で実施していくことを公表しました。
2023年度からはサプライヤの皆さまに対するサステナビリティに関するアンケートを標準化し、3社共通のSAQ※(自社評価調査)として各社のサプライヤエンゲージメント活動で利用しています。
今後もさまざまな業界や企業の皆さまと連携し、サステナブルなサプライチェーンの実現に向けて取り組む予定です。
NTTグループは、サステナブルサプライチェーンの推進に向けて、ESGに関する取組みが優れたサプライヤに対しては、取引選定時に加点評価を行っています。具体的には、グリーン調達基準に基づき、温室効果ガス削減の取組みを推進しているサプライヤからの優先的な調達を実施しています。また、グループ各社では、CO2排出量をコスト換算することで環境負荷の低減を促進する仕組みである「インターナルカーボンプライシング制度※」を順次導入しており、製品の提案価格に加算して評価しています。
※インターナルカーボンプライシング制度
「脱炭素に係わるプロジェクト判断」、および「調達(製品選定等)」において、CO2排出コストを考慮して意思決定を行う制度。
サプライヤの皆さまに対しては「NTTグループサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドライン」の中で公正取引・倫理の禁止事項(7項目)を明記し、その中で調達取引に関しては、契約等をベースにして誠実かつ公平・公正に行い、優越的地位を濫用するような行為をしないよう要請しています。
NTTグループでは、「持続可能な社会」を実現する取組みとして、NTTグループサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドラインの説明会を実施することでサプライヤへの要求事項、プロセス、取組みの説明を実施しています。また、サプライヤにサステナビリティに関する評価サービスである Ecovadis に回答してもらうことでサプライヤが同業他社等とのサステナビリティパフォーマンスと比較ができるようにしており、是正措置を実行する中で助言提供などの支援を実施しています。今後は、通信事業者 3社による共通 SAQも併用し、サプライヤの皆さまの取組みを確認し、その結果をフィードバックしながら、サプライヤの皆さまと共にさらなる改善に向けて取組んでいく予定です。
サプライヤスクリーニング | 2022年度 |
---|---|
1.1 一次サプライヤの総数 | 約 4.5 万 |
1.2 重要な一次サプライヤの総数 | 126 |
1.3 支出総額に占める重要な一次サプライヤへの支出割合(%) | 90% |
1.4 重要な二次以降のサプライヤの総数 | 0 |
1.5 重要なサプライヤの総数(一次および二次以降) | 126 |
※横スクロールできます
サプライヤ評価 | 2022年度 | 2022年度の目標 |
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1.1 机上/現地訪問評価で評価したサプライヤの総数 | 117社 | 重要なサプライヤの割合(%) 100% |
1.2 評価を受けた重要なサプライヤの割合 | 92.9% | |
1.3 重大な実際の/潜在的な負の影響があると評価されたサプライヤの数 | 0 | |
1.4 重大な実際の/潜在的な負の影響があると評価されたサプライヤのうち、合意された是正措置/改善計画を講じているサプライヤの割合(%) | 100% | |
1.5 重大な実際の/潜在的な負の影響があると評価されたサプライヤのうち、契約解除に至ったサプライヤの数 | 0 |
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是正措置計画の支援 | 2022年度 | 2022年度の目標 |
---|---|---|
2.1 是正措置計画の実施において支援を提供したサプライヤの総数 | 0 | 重要なサプライヤの割合(%) 100% |
2.2 重大な実際の/潜在的な負の影響があると評価されたサプライヤのうち、是正措置計画の実施において支援を提供したサプライヤの割合 | 100% |
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サプライヤ評価 | 2022年度 | 2022年度の目標 |
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3.1 キャパシティビルディングプログラムに参加しているサプライヤの総数 | 126 | 重要なサプライヤの割合(%) 100% |
3.2 キャパシティビルディングプログラムに参加している重要なサプライヤの割合 | 100% |
NTTグループは調達活動において持続的に社会規範や法令を遵守することや、環境負荷低減に取組んでいくために、調達スタッフ部門へのESGに関する研修を実施しています。
NTTグループは、サプライチェーン全体でのCO2排出量の削減の取組みが評価され、国際的な環境分野の非政府組織CDPにより、「サプライヤエンゲージメント評価※」において最高評価である「サプライヤ・エンゲージメント・リーダー」に選定されました。
※サプライヤエンゲージメント評価:企業の気候変動に関するサプライチェーンにおける活動を評価し、特に優れた取組みを行っている企業を「サプライヤ・エンゲージメント・リーダー」として選定。
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