世界を先導するICT企業であるNTTグループにおいて、研究開発(R&D)はグループ企業の競争力の源泉たる重要課題(マテリアリティ)だと認識しています。中期経営計画の柱である「研究開発の強化」に基づき、新しい技術の研究開発に取組み、多様な領域で新たな価値を創造することで、NTTグループの各事業会社とともに、お客さまのデジタルトランスフォーメーションや、一人ひとりに応じたライフスタイルの変革を支援していく役割を担っています。
NTTグループでは、R&Dを通じて生産性の向上、安全・防災などさまざまな問題を克服し、その結果として産業競争力の強化、社会的課題の解決をめざしています。ICTはさまざまな分野で活用されるため、NTTグループだけではなく、多分野にわたる産業界の方々とパートナリングを行いつつ、R&Dに取り組んでいます。
NTTグループは、グループ各社において、一般消費者向けの製品・サービスから法人事業者向けのサービスまで、さまざまなお客さまに幅広い製品・サービスを提供しています。
NTTグループのビジネスフィールドである通信・ICTの世界は、活発なイノベーションが展開され、新しい製品やサービスが生まれ続けています。スマートフォンやタブレットなどモバイル機器は日々進化し、NTTグループのネットワークを活用した新たなサービスも続々と誕生しています。一方で、技術やサービスの進化に伴い、それを利用するために必要な情報量が増加し、機器の不具合や各種料金・サービスの不明点などお客さまからのさまざまなご確認やお問い合わせ、ご意見・ご要望をいただく機会も増えています。
NTTグループは、サービスを利用されるお客さまの疑問や不安を解消し、すべてのお客さまの満足度を高いレベルで維持することが、お客さまとの間に信頼関係を育み、新たなお客さまの獲得にもつながると考えています。
NTTグループは、平常時から社会の通信インフラを支えることを使命とする企業グループとして、いつでもどこでもつながる信頼性の高い通信ネットワークの構築に尽力しています。災害時に必要な通信を確保するため、被災地での特設公衆電話の設置や携帯電話などの貸し出し、被災地の方の安否を確認するための手段の提供など、さまざまな取組みを実施しています。あわせて、110番・119番・118番などの緊急通報回線の被災に備え、警察本部・消防本部・海上保安本部などの指令台まで複数ルートの回線を設置するなどの対策を行っています。
NTTグループは、「重要通信の確保」「サービスの早期復旧」「ネットワークの信頼性向上」を災害対策の基本と位置づけ、東日本大震災以降はこれらをさらに強化しています。また、中期経営戦略に「災害対策の取組み」を掲げ、さらなる通信インフラの強化、初動対応の強化(プロアクティブな災害対応)、被災した方々への情報発信力の強化にも注力しています。
以下のページをご覧ください。
NTTグループ各社は、お客さま応対における時間短縮につなぐための業務の改善、アンケート調査やお客さま相談室などに寄せられるご意見やご要望などの「声」をもとに製品・サービスの改善・開発につなげていく仕組みを構築し、お客さまの声に寄り添ったサービスの開発と提供を推進しています。具体的には「ドコモショップにおける待ち時間および応対時間の短縮」「お客さまの声を活かした改善件数」「コールセンターの応答率」などをKPIとして、毎年前年度以上の実績を上げることを目標に継続的に向上できるよう好循環を図っています。
NTTグループは、今後もグループ各社が自らの事業内容に合わせて、お客さまの求めるサービス品質や現場対応力など、お客さまの満足を継続的に高めていく独自の取組みを進めていきます。
NTT、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモの5社は災害基本法における指定公共機関として、 防災に関して取るべき措置を定め、円滑かつ適切な災害対策を遂行するために、「防災業務計画」を定めています。各社は防災業務計画にもとづき、あらかじめ災害対策組織を編成し、災害発生時はその規模・状況に応じた態勢を取るとともに、関係政府機関とも緊密な連携を図り、円滑かつ適切な災害復旧と重要通信の確保に努めています。
⑨顧客エンゲージメント(NPI、NPS®)※1
2023年度実績
NPI:0.736(NTTグループ全体)
NPS:-26.2(NTTグループ全体)
2024年度目標
NPI:0.736以上(NTTグループ全体)
NPS:-26.2以上(NTTグループ全体)
※1NPI:Next Purchase Intention、継続利用意向
NPS®:Net Promoter Score®、他者への推奨度を測る指標。本文中に記載されているNet Promoter Score及びNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc.)の登録商標です。
⑪-1重大事故発生件数
2023年度実績:4件
2024年度目標:0件
⑪-2生活基盤システム事故発生件数
2024年度目標:0件
世界に変革をもたらす革新的研究開発を推進するとともに、海外拠点での基礎研究を強化しています。具体的には、海外に設立した研究拠点を足がかりに、さまざまな研究機関との共同研究の強化、社外の最新技術の積極的な活用を行うとともに、新たな成長領域への研究投資の拡大を図ります。
また、研究開発成果のグローバル展開や研究ターゲットのグローバル化を推進します。具体的には基礎研究の強化を目的に、2019年7月、3つの研究所を擁するNTT Research, Inc.を米国シリコンバレーに開設しました。量子計算科学、医療・健康・ヘルスケア、基礎暗号・ブロックチェーンの各分野において、米国や欧州の大学・研究機関などと共同研究を開始しています。シリコンバレーをはじめとして、今後は、世界各地に拠点を展開し、さらなる研究開発のグローバル化を進めていきます。
NTTドコモとNTTは、第6世代移動通信方式(6G)の2030年頃のサービス提供開始をめざし、国内外の主要ベンダーである富士通株式会社、日本電気株式会社、Nokiaの3社と6Gに関する実証実験で協力することに合意しました。6Gではこれまで十分なエリア化が難しかった「空・海・宇宙などへの通信エリアの拡大」「超低消費電力・低コストの通信実現」が可能となる技術であり研究開発を進めています。今後、2022年度内には屋内の実証実験を開始し、2023年度以降に屋外の実証実験を開始する予定です。今回合意した国内外の主要ベンダーとの実証実験を推進するとともに、その他の主要ベンダーとも各社の強みを生かしたさまざまな取組みを推進する予定です。これにより6Gの研究開発を加速させ、世界的な6Gの標準化や実用化に向けた検討に貢献していきます。
NTTは、画像認識AIを用いてさまざまな社会インフラ設備に発生した錆の高精度な検出に成功しました。画像認識AIは、Mobile Mapping System(MMS)を用いて取得した沿道の画像から、複数のインフラ設備を識別し、それぞれのインフラ設備(道路附属物および柱上設備)に発生している錆を97.5%の精度で検出できることを確認しました。画像認識AIによって、MMSで同時に撮影した画像から複数のインフラ設備を一括で識別・点検できるため、インフラ管理者ごとに実施していた現地点検の集約による稼働削減が期待できます。さらに、画像認識AIによる点検のため、点検員ごとによって発生していたバラツキをなくし、点検品質の均一化が可能になります。今後は、AI技術のさらなる深化によって、社会インフラ維持管理業務に付加価値を与え、スマートな社会の実現に貢献していきます。
バイオデジタルツインと呼ぶシミュレータにより心身の状態の未来を予測することで、リスクのコントロールやWell-beingの向上を支援しようという「医療健康ビジョン」を掲げています。新しいセンシングの1つがウェアラブル心電計です。心臓の活動を立体的にとらえる目的で、心臓が胸郭ともっとも近接する心尖部領域を基準点とし、ほぼ直交する3方向に対極を備えたウェアラブル心電計を研究しています。
大規模な冷凍・真空装置を要するなど、実用化に向け小型化が大きな課題となっていた量子コンピュータについて、東京大学、国立研究開発法人理化学研究所と共同で、ラックサイズの大規模光量子コンピュータ実現の基幹技術である光ファイバ結合型量子光源(スクィーズド光源)を開発しました。
世界で初めてグラフェン量子ホール状態におけるスピン波発生過程を明らかにし、スピン波の電気的制御に関する知見を得ることに成功しました。これにより、スピン波の基礎物性を調べるための手段が得られたことになります。この系で得られた知見を応用研究へフィードバックすることで、マグノニクスデバイス実現に大きな波及効果を及ぼします。
NTTグループでは、年齢、性別、身体的な機能の違いに関係なく、すべてのお客さまにとって利用しやすい製品やサービスを実現する「ユニバーサルデザイン」の普及に取り組んでいます。
※2高齢者や子ども、障がいのある方、言語の壁がある訪日外国人の方なども利用することができる製品・サービス(機能拡充も含む)
NTTグループは、高齢者や障がい者の方々を含む幅広いお客さまにWebサイトをご利用いただけるよう、アクセシビリティの確保と向上に取り組んでいます。具体的には、「NTTグループウェブアクセシビリティポリシー」を制定し、日本国内に本社機能を持つNTTグループ各社の公式サイトについて、JIS X 8341-3:2016※3にしたがって方針を定め、レベルAAに「準拠※4」することを目標とします。
※3JIS X 8341-3:2016 は、日本工業規格「高齢者・障がい者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェアおよびサービス-第3部:ウェブコンテンツ」です。
※4準拠とは、情報通信アクセス協議会ウェブアクセシビリティ基盤委員会「ウェブコンテンツのJIS X 8341-3:2016対応度表記ガイドライン2016年3月版(2016年3月22日公開)」で定められた表記によります。アクセシビリティポリシーを策定・公開し、JIS X 8341-3:2016に基づく試験を実施し て、達成基準を全て満たすことを確認したことを表します。
高齢者、障がい者など、さまざまな方がICTサービスをご利用いただけるよう、各種割引サービスを展開しています。
NTT東日本・NTT西日本では、学校教育におけるインターネット環境の普及・拡大に向けて、2001年よりインターネットの定額利用に適したフレッツサービスを学校向けに特別料金で提供しています。
NTTドコモでは、障がいのある方のさらなる社会参加支援を目的にハーティ割引を提供しています。
NTTグループ各社では、お客さまからの製品・サービスに関するお問い合わせや、故障の受付け、苦情などに応対するコールセンターを設けています。NTTグループの主要なコールセンターにおいては、毎日平均18万件以上のお電話をいただいており、お客さまをお待たせすることなく応答することを心がけています。また、それぞれのコールセンターでは応答率向上、応対・サポートの品質向上に向け、独自の目標を定めるとともに、電話応対コンクールや応対スキルの向上に向けた研修を実施するなど、さまざまな取組みを実施しています。
NTTグループでは、各コールセンターや窓口でいただいたお客さまからのご意見・ご要望(「声」)をもとに、業務改善や製品・サービスの改善・開発につなげていく仕組みをグループ各社で構築し、活動を推進しています。
たとえばNTTコミュニケーションズでは、年1回のアンケート調査だけでなく、お申し込み時や各種サポートのご利用時など、さまざまなお客さまとの接点を通じてお客さまの声を収集し、サービスの充実や事業プロセスの改善につなげる取組みを強化しています。
グループ各社の取組み詳細は、各社のWebサイトなどをご参照ください。
また、日頃より通信サービスが途絶えないよう、通信伝送路の多ルート化や通信ビル・通信基地局の停電対策、通信ビルの耐震性強化などを図り、通信の信頼性向上に努めるとともに移動電源車などの災害対策機器の全国配備を充実させ、大規模災害を想定した訓練も繰り返し実施し、緊急通信や重要通信を確保できるよう、日々対策に取り組んでいます。
大規模災害が発生した際、交通機関遮断などの社会的混乱が予想されます。その際、各通信事業者における携帯電話および固定電話の通話規制状況などを総合的に勘案し、必要と判断される場合には、公衆電話から発信する際の通話料などを無料化しています。通話料を設定している事業者においては通話料を無料とし、接続料を設定している事業者においては接続料を事業者間で精算しない扱いとしています。具体的な事業者名などについては下記Webサイトをご確認ください。
大規模な災害が発生し、被災地への電話がつながりにくい状況が発生した場合などには、安否確認手段として下記のようなサービスを開設・提供しています。
災害発生時などに、これらの安否確認手段を開設した場合には、速やかに報道機関やWebサイトなどを通じて、お客さまへお知らせしています。
「災害用伝言板( web171)」と「災害用伝言板( iモード/spモード)」は、検索機能を連携させることで、当該サービスを提供する各社に登録された内容を、いずれの提供事業者のサービスからも参照することが可能になったほか、安否情報登録時に指定された通知先へメールや音声で通知を行う機能があります。
また、「災害用伝言板(web171)」は英語・中国語・韓国語、「災害用伝言板(iモード/spモード)」は英語に対応し、登録可能な伝言数や保存期間を拡大するなど、利便性向上を図っています。
なお、災害用伝言板(web171)は2019年8月よりおよび株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社提供の「災害用伝言板」との連携により、それぞれで登録された伝言内容を、相互に確認が可能となりました。
昨今の気候変動の影響による大雨や台風の増加等、自然災害による被害の多発に伴い、水害、雷害、停電等のリスクが高まるとともに、発生した際の被害も甚大なものとなってきています。
NTTグループは、移動電源車やポータブル衛星装置などの機動性のある機器の配備や機能の高度化、各地域での防災訓練に参加するなど、通信サービスの早期復旧に努めています。また、災害に強い通信設備の構築に取り組むとともに、通信ネットワークが常に正常に機能するよう、定期的な安全パトロールや予防保全的な装置交換など保守・運用にも万全な体制で臨むことで、災害に強い通信ネットワーク・設備づくりに努めています。
通信設備や建物、鉄塔などは、地震・風水害・火災・停電などさまざまな災害を想定した設計基準を定め、耐災性を確保しています。
近年、大規模な災害影響が多発しています。通信設備やサービスへの影響の増大や復旧の長期化を踏まえ、設備の強靭化や復旧対応の迅速化等に対するさらなる取組みも推進しています。
常に安心して通信サービスをご利用いただくことができるよう、通信ネットワークの監視システムの運用、事故や故障の未然防止対策、ネットワークの保守・運用に携わる人材のスキル向上に取り組んでいます。
電波の人体への影響については、これまで60年以上にわたり世界各国で研究が行われ、日本をはじめ世界では、電波を安全に利用するための基準や制度が設けられています。
日本では1990年に郵政省(現在の総務省)が過去40年にわたる国内外の研究結果にもとづいて、電波の人体に対する安全性基準を「電波防護指針」として定めています。同指針の基準値は世界保健機関(WHO)が推奨する国際的な指針と同等で、この基準値以下の強さの電波は健康に悪影響をおよぼすおそれはないと世界的にも認識されています。
NTTドコモの携帯電話基地局ならびに端末は、同指針の基準値を下回るレベルで運用しています。電波防護指針のもとで制定された関係法令を遵守し、サービスを提供しており、安心して携帯電話をご利用いただけます。
大規模災害時の船舶を相互利用した物資運搬や災害対応の訓練・啓発活動における相互協力を開始するため、2020年9月11日に「社会貢献連携協定」をKDDIと締結しました。この取組みを通じて、レジリエントな社会基盤の構築など、持続可能な社会の実現をめざします。また、今後は災害対策や就労支援に加え、スマートフォンの健全利用、気候変動への対応など、両社のアセットを活用して貢献できる分野を共同で検討していきます。
NTTの通信ビルや鉄塔は、震度7クラスの地震でも崩壊・倒壊を回避できる耐震設計となっており、日本が経験した最大級の災害にも十分に耐えられるよう独自の厳しい基準に基づいて建設されています。
火災に対しては、通信ビル等の建物を不燃化、耐火構造化しており、通信機械室には防火シャッターや防火扉を設置し、貫通孔の耐火塞ぎを実施しています。
津波や洪水等に対しても、通信ビルへの浸水を防ぐため、立地条件にあわせて、ビルの扉を水防扉へ取り換え、窓等の開口部を閉鎖、津波の水圧に耐えられるよう壁をコンクリートで補強する等の対策を行っています。
停電時にも電力を長時間確保できるよう、通信ビルや無線基地局にはバッテリーやエンジン等の予備電源を設置しています。
また、東日本大震災の教訓を活かし、自治体の災害対策本部が設置される都道府県庁や、市区町村役場等のある重要エリアにある約1,900の基地局において、エンジン発電機による無停電化、またはバッテリーの24時間化対策を実施しています。
さらにバックアップとして移動電源車や可搬型の発電機等を各エリアに配備しており、状況に応じて被災地への広域支援も実施します。
国内の中継伝送路は、網目のように構築されており、万一、ひとつのルートが被災しても、自動的に他のルートへ切り替え、通信が確保できるよう設計されています。また、中継交換機等の重要設備を設置した通信ビル(重要通信ビル)が被災すると、このビルを経由する通信は途切れてしまうことになるため、重要通信ビルを分散して設置し、複数の重要通信ビルが同時に被災する危険を回避しています。
被災時には、機動性のある災害対策機器の活用や、ドローンによる状況確認等により被災エリアの早期復旧に努めます。
災害により無線基地局に被害が発生した場合に、現地で応急復旧措置を取れる移動基地局車や移動電源車を全国に配備しています。また、津波などにより沿岸部が広範囲にわたって通信不能となった場合、海上に錨泊する船舶に搭載した携帯電話基地局から、衛星エントランス回線を使用して沿岸に向けて電波を発射しサービスエリアを構築する船上基地局も導入しています。
道路の寸断などにより基地局などに近付けない場合、その状況確認をいち早く行い、その後速やかに復旧などができるようにドローンを活用しています。
全国の通信ネットワークは、24時間365日リアルタイムで運行状況を監視・制御し、故障や災害に即応しています。
有事等万一の事態にも即応するため、社会情勢に応じ適宜監視体制の強化等を実施しています。
災害や予期せぬ装置故障が発生した際にも、迅速かつ的確な回復措置を可能とするため、ネットワークの保守・運用に携わる人材を育成する研修・訓練を適宜実施しています。
また、過去のトラブル対応から得た教訓を水平展開し、再発防止策の実施、措置手順の見直しや基本動作の徹底を図っています。
社会
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