日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、2020年11月13日に発表したデジタルツインコンピューティング構想のグランドチャレンジ(※1)「感性コミュニケーション」と「Another me」を題材としたSF小説2編を特設サイト(※2)で公開しました。これは、Sci-Fiプロトタイピングと呼ばれる未来探索手法によって、NTTの研究する技術がもたらす未来社会とそこに生きる人々を描き、実現への道筋と課題を浮き彫りにする取組みの成果です。2023年2月発刊のNTT技術ジャーナルでは、本取組みの紹介を行うとともに、小説本編を別冊として付録する予定です。
未完成感性社会 (津久井 五月 氏)
ユーザーの感性に合わせた商品開発『感性マーケティング』が普及した2044年、ゲームクリエイターの小泉亜里沙は、花形の開発部からの異動を命じられ失意の底にいた。「この会社<エステシア>というコミュニティをより深く知ってほしい」 ― 上司の説明に納得できないまま訪れた部署には、意外な人物がいた ―――
AM(アナザーミー)のライフサイクル Another pain. (吉上 亮 氏)
2054年、観音崎。汀(みぎは)は、『Another Me<デジタルの複製>』でしかない自分を孫として、人間として扱う岬に戸惑いを感じていた。岬はツールと人間とを取り違える年齢ではないはずだ。岬の真意は何か。考えを巡らせる汀の前に、黒いスーツ姿の男が現れる。自らを「祖父」と名乗るその男は、岬のことをよく知っている、と告げた ―――
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津久井 五月 氏
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吉上 亮 氏
※1
DTCグランドチャレンジ https://group.ntt/jp/newsrelease/2020/11/13/201113c.html
※2
SF小説公開サイト: https://www.rd.ntt/dtc/sf_prototyping/
- ■SF作家について
- 津久井五月|ITSUKI TSUKUI
SF作家。1992年生まれ。東京大学・同大学院で建築学を学ぶ。2017年、「コルヌトピア」で第5回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞しデビュー。著書は『コルヌトピア』(ハヤカワ文庫JA)。
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吉上亮|RYO YOSHIGAMI
1989年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒。2013年『パンツァークラウン フェイセズ』でデビュー。主な著書に『泥の銃弾』『生存賭博』など。「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズのノベライズを手がけ、映画『PSYCHO-PASS サイコパス│ SS Case.1 罪と罰』では脚本を担当。
- ■デジタルツインについて
- デジタルツインとは、現実の世界から収集した物や人の様々なデータを、まるで双子(ツイン)であるかのように、デジタル空間上で再現したものです。NTTでは、これら多様なデジタルツインを自在に掛け合わせて演算を行うことで、一人ひとりの心の機微から地球規模の環境・社会の循環など幅広い領域で、大規模かつ高精細な実世界の再現や予測を実現する、デジタルツインコンピューティング構想を掲げています。
- ■Sci-Fiプロトタイピングについて
- Sci-Fiプロトタイピングとは、起こりうる未来社会を構想し、そこを起点にバックキャスティングすることで、従来のトレンド分析では想定しきれない、新たな研究課題を特定したり、その重要度を定めたりする未来探索の手法です。
- ■WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所について
- SF作家とともに未来を構想するプログラムを提供する研究機関。世界で最も影響力のあるテクノロジーメディア『WIRED』の日本版と、クリエイティブ集団「PARTY」が協働し、2020年6月に設立。プログラムの基盤となるワークショップやメソッドの開発のほか、ウェブサイト「WIRED.jp」などを通じた「SFプロトタイピング」に関する情報発信を行なっています。
https://wired.jp/sci-fi-prototyping-lab/
- ■WIRED(ワイアード)
- 1993年に米国で創刊し、現在6カ国/地域で展開する、世界で最も影響力のあるテックカルチャーメディア。日本版は、1994年にスタート(2011年からコンデナスト・ジャパンより発刊)し、雑誌(年4回)、ウェブサイト、サブスクリプションサービス「SZ MEMBERSHIP」、イベント/カンファレンス、コンサルティングサービス「WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所」などを展開する。テクノロジーの進化を通して、ライフスタイルからビジネス、カルチャー、エンターテインメントまで、その明確な未来へのインサイトを人々に提示し、イノベーターたちをインスパイアするメディアです。