2026年9月11日
お知らせ
2026年9月8日~12日にスウェーデンのマルメで開催される国際会議ECCV2026(The19th European Conference on Computer Vision)に、NTTの研究所より提出された4件の論文が採択されました。ECCVは、計算機が画像・動画を理解・制御・生成する技術の開発やそのための基礎理論の探求をめざす研究分野であるコンピュータビジョンにおける世界最高峰とされる国際会議であり、論文採択率は27.5%(投稿数10,473件に対して2,883件が採択)でした。
なお、所属としてそれぞれ略称で書かれている研究所名は、以下の通りです(所属は投稿時点)。
人間研:人間情報研究所
CD研:コンピュータ&データサイエンス研究所
CS研:コミュニケーション科学基礎研究所
田中 涼太 准特別研究員(人間研)、長谷川 拓 主任研究員(人間研)、西田 京介 上席特別研究員(人間研)
複数ページにまたがる文脈を考慮したマルチモーダル文書検索タスクCMDRを提案しました。従来のページ単位検索では困難だった、文書全体の構成やページ間の依存関係理解を必要とするIndirect検索を新たに定式化し、その評価基盤CMDR-Benchを構築しました。さらに、複数ページを同時に埋め込むCMDR-Embedと文脈を考慮した対照学習CMCLを提案し、大幅な検索性能向上を実現しました。本研究は、実世界の長大文書を対象とした高精度な情報検索技術の実現に貢献しました。
山根 大河 研究員(人間研)、鈴木 聡志 研究主任(人間研)、増村 亮 特別研究員(人間研)、折橋 翔太 研究主任(人間研)、田中 智大 研究主任(人間研)、庵 愛 研究員(人間研)、牧島 直輝 研究員(人間研)
マルチビュー歩行者検出は複数のカメラで同時に撮影した画像から鳥観図形式で歩行者を検出するタスクです。本タスクにおける従来技術は、2D画像-3D空間の関係を把握する能力の不足と、画像特徴を3D空間に投影する際の透視投影変換によって生じる歪みにより、未見のカメラ配置に対する汎化能力が低いという問題がありました。この問題に対処するため、我々は幾何学的基盤モデルを活用します。幾何学的基盤モデルは、多様なカメラ配置に対して2D画像-3D空間の関係を正確に把握する能力を持ちます。さらに、この基盤モデルは画像内のピクセルが3D空間のどこに位置するか正確に予測できるため、歪みを回避しつつ画像特徴を3D空間に投影することが可能です。この基盤モデルを活用することで、提案手法であるMV2GFは、未見のカメラ配置に対して、既存手法を大きく上回る汎化性能を達成しました。
曽我部 陽光 主任研究員(CD研)、杉本 志織 主任研究員(CD研)、齊藤 翔一朗 主幹研究員(CD研)、北原 正樹 主幹研究員(CD研)
拡散光学素子を用いたレンズレスイメージングは、レンズの代わりに薄い光学素子を用いることで、薄型・軽量なカメラを実現する技術です。応用先としては、3D撮像、蛍光顕微鏡、高フレームレート動画撮像、プライバシーに配慮したセンシングなどが知られています。レンズを用いないため、センサには被写体像がそのまま結像されるのではなく、被写体像が複雑に重畳された符号化画像として記録されます。そのため、撮影後に計算機上で元の画像を復元する処理が不可欠であり、この復元では、実際の撮像系で光がセンサ上に記録されるまでの過程を正しくモデル化することが重要となります。
しかし、実際の光学系では、画面中心と周辺部で光の広がり方が異なるため、従来よく用いられてきた単純な光学モデルでは、ぼけやアーティファクトが生じるという課題がありました。本研究では、実機で生じる光学モデルのずれを、物理的に解釈可能な少数の補正カーネルとして学習し、深層展開ネットワークに組み込む手法を提案しました。実機データを用いた評価により、光学モデルの物理的な解釈性と計算効率を保ちながら、従来手法を上回る復元精度を達成し、高精細な画像復元を実現しました。また、本成果は、拡散光学素子を用いるレンズレスカメラだけでなく、DOEレンズやメタレンズなど、薄型光学素子を用いる幅広い計算撮像技術への応用が期待されます。
大海 佑介(慶應義塾大学)、柴田 優斗(慶應義塾大学)、入江 豪 教授(慶應義塾大学、東京理科大学)、木村 昭悟 主席研究員(CS研)、青木 義満 教授(慶應義塾大学)、五十川 麻理子 准教授(慶應義塾大学)
スピーカから発した音が物体に遮られる際の微細な音場の変化を計測するアクティブ音響センシングに基づく人物の三次元姿勢推定は、夜や暗所など可視光が十分に届かない環境でも利用でき、顔や容姿が撮影されずプライバシーの問題も小さいことから、近年注目されています。しかし、従来技術では単一人物の姿勢推定にとどまっており、複数人物の推定にそのまま適用しても、音の相互反射や伝達経路の複雑化により、音場変化と人物・動作との対応関係を取ることが困難でした。本研究では、多様な時間的特徴および高精細な周波数特徴を捉えるマルチスケール特徴抽出と、連続するフレーム間に存在する複数人物の情報を分離する注意機構に基づく姿勢推定により、従来技術を上回る姿勢推定精度を示しました。
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