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2022年2月 7日
澤田代表取締役社長
(同席)
中山執行役員財務部門長
谷山執行役員経営企画部門長
本日はお忙しいところ、ありがとうございます。2021年度第3四半期連結決算の状況についてご説明します。
2021年度第3四半期決算は、対前年増収増益となり、営業収益、営業利益、当期利益はいずれも過去最高値です。営業収益は、NTTデータの増収などにより、対前年1,852億円増収の8兆9,232億円です。なお、この増収のうち為替影響が約940億円プラス側にあります。営業利益は、NTTデータをはじめとする各社の増収やコスト削減により、対前年373億円増益の1兆5,397億円となりました。当期利益は、NTTドコモの完全子会社化による少数株主見合いの利益取り込みの影響などにより、対前年1,992億円増益の1兆303億円です。1985年の民営化以来、初めての1兆円超えとなります。海外営業利益率は、NTTデータにおける増収に加え、構造改革効果などにより2.4ポイント改善しました。
次にセグメント別の状況です。収益は、全事業セグメントで拡張基調です。営業利益は、移動通信事業セグメントと長距離・国際通信事業セグメントの減益を地域通信事業セグメントとデータ通信事業セグメントがカバーしている状況となっています。
移動通信事業セグメントに関しては、後ほど詳細にご説明します。
地域通信事業セグメントは、NTT東西ともに光サービスを中心としたIP系・パケット通信サービス収入の増や会計制度の見直し、コスト削減などにより、対前年増収増益です。
長距離・国際通信事業セグメントは、NTTコミュニケーションズにおいて、2020年度にリモート化需要の高まりによるカンファレンスなどのボイスサービス収入が増えた反動により今年度は減収となっています。また、データセンター新設などによる減価償却費の増、ソリューション案件の遅れなどにより減益です。NTT Ltd.においては、構造改革費用の増加により対前年減益です。
データ通信事業セグメントですが、先日のNTTデータの決算発表のとおり、旺盛なデジタル化需要を取り込み、クラウドマイグレーションの進展によるデジタル化需要拡大に伴い対前年増収増益となりました。
移動通信事業セグメントは、月々サポートの廃止影響やアップセルがありましたが、ahamoなどの料金プランの導入影響、音声卸しの値下げにより、モバイル通信サービス収入は対前年565億円の減収です。営業収益全体につきましては、この収入減を端末販売やスマートライフ領域の増収でカバーし、対前年増収です。一方、営業利益は、前年度のポイント会計制度の見直しの影響や、前年度からの5G投資拡大などがあり、ネットワークコストが増えています。その結果、対前年減益です。なお、成長分野として重視しているスマートライフ領域は、前年度のポイント会計制度の見直しの影響を除くと、金融・決済事業の伸びに加え、リモート需要やIoTの法人ソリューションの拡大、これらにより順調に伸長している状況です。
次にNTTドコモの四半期別利益推移ですが、この第3四半期決算においては対前年521億円の減益ですが、第3四半期単独では151億円の増益ということで、特殊要因である前年度のポイント会計制度見直しを除いたベースでみると、第1四半期、第2四半期、第3四半期と改善を進めています。これは、スマートライフ領域の着実な拡大が寄与しており、第4四半期においても金融・決済領域の拡大に努めるとともに、メディカル、XR分野の取り組みの加速、さらには法人事業におけるNTTコミュニケーションズとの連携強化などを通じて、引き続き成長を図っていく考えです。また、5G投資の拡大が前年度下期からあったため、この第4四半期にかけてはコスト影響が小さくなります。さらに前年度は、3Gの不要資産の除却をしていますが、今年度はそれもないため、反転して対前年の利益が上がります。さらに、継続的にウェブシフトなどを進めていますので、販売コストも効率化しています。あらゆるコストの削減を継続するため、大幅な収支改善を見込めると見ており、NTTドコモの年間計画は十分に達成可能だと考えています。
以上の決算状況に基づき、通期の業績予想について、営業収益から海外営業利益率に至るまで全て上方修正をします。具体的には、営業収益については、先日のNTTデータの決算発表のとおり、1,800億円の上方修正を実施します。営業利益についてもNTTデータが350億円の上方修正をしていますが、NTT Ltd.の構造改革を積極的に実施するため、結果的には150億円の上方修正となっています。NTT Ltd.の内容については、別途説明します。当期利益については、支払利息の減などによる金融費用の改善、試験研究費の税額控除の拡大による税負担の減があり、150億円の上方修正をしています。EPSは、302円から306円の上方修正を行います。海外営業利益率も0.1ポイントの上方修正を行い、2023年度の7%という目標が十分射程圏内に入ってきたと考えています。
NTT Ltd.の通期業績予想の見直しですが、新型コロナウイルスの影響、半導体不足の影響で、マイナスが継続していますので、営業利益ベースで対当初業績予想から70億円の減益を見込んでいます。これに加え、中期財務目標の確実な達成に向けて、一層の構造改革を加速したいと考えており、アウトソーシングを活用したオーバーヘッド業務のスリム化、セキュリティ事業の再編、これらのために150億円の費用を追加します。構造改革費用につきましては、当初の為替レート104円ベースを前提にすると、280億円から430億円の費用増という形になりますが、直近の想定では1ドル112円ベースのため、構造改革費用は470億円になります。一方、構造改革の効果として、2021年度で30億円の営業利益増を見込んでいます。この結果、営業利益においては、当初の業績予想から190億円の減益となる30億円で業績予想を見直したいと考えています。
個社別の2021年度通期業績はプレゼンテーション資料のP.11のとおりです。お話ししたように、NTT Ltd.の営業利益が対当初に比べて190億円のマイナス、NTTデータの営業利益が350億円のプラスとなり、それ以外の事業会社につきましては当初の目標をめざして頑張ってもらいます。
続いて営業収益・営業利益の推移ですが、各年度の営業収益、営業利益の対前年増減率を四半期別に並べています。2018年度の青色の折れ線グラフから、2019年度は緑、2020年度は黄色で表示しており、2021年度は赤の折れ線ですが、今回、業績予想を見直しますので、当初の予定からは角度が上がり、より増益を図っていく形態になっています。
次に株主還元ですが、期末配当を年度当初の配当予想から5円増額し、60円とすることを本日の取締役会で決議しました。これは、年間1株当たり115円の配当、対前年で10円の増配になります。今期、業績が非常に順調に進捗して利益増も見込まれるということで増配を検討している状況です。自己株式取得については、2021年8月に取締役会で決議しており、上限2,500億円の取得を2021年12月に完了しています。
次にトピックスについて5つ説明します。1点目は、セキュリティ事業の強化です。サイバー空間上も安全保障を考慮していく時代になっており、特に脅威分析能力を強化したいと考えています。このため、2022年4月にNTTセキュリティを再編しサービス開発力、顧客対応力、セキュリティガバナンス、マネージドサービスの提供力を強化していきたいと考えています。 構造的には、新たに持株100%子会社のNTTセキュリティホールディングスを設立し、NTT研究所から実用化開発機能の移管、NTTコミュニケーションズからSE機能の移管、更にはNTTのオペレーション機能の移管でグループのCISO機能のサポートを実現したいと考えています。NTT Ltd.においては、セキュリティサービスをマネージドサービスに統合・一元化し、コンサルティングの機能を各地域に移管をします。これらにより、マネージドサービスの提供力を高めていきたいと考えています。
2点目のトピックスは、スマートエネルギー事業の拡大加速に向けた電力関連業務の統合です。これは、2022年7月にNTTファシリティーズの電力関連業務をNTTアノードエナジーへ移管、統合します。これにより、NTTグループの電力に関わる能力をNTTアノードエナジーに結集し、グリーン発電、地域グリッド、需要家エネルギー、構築・保守オペレーションをバリューチェーンで結びつけ、スマートエネルギー事業を強化、拡大していきます。2021年9月に公表したNTTグループの新たな環境エネルギービジョンの取り組みを推進し、NTTグループ、および社会のカーボンニュートラル、エネルギー地産地消、レジリエンス強化を実現していきたいと考えています。
3点目のトピックスは、新しい経営スタイルの変革に向けた進捗です。まず、ゼロトラストシステムの導入、スタッフ/営業系のIT環境整備を2022度導入完了に向け、予定どおり進めています。2021年秋に、女性新任管理者登用率30%を目標にすると説明していましたが、この2月でNTTデータを除く主要5社では、新任管理者登用率が31%となり、目標をクリアしています。
また、ワークインライフに関しては、リモートワークの実施率が、第3四半期で70.8%になっています。まん延防止等重点措置対象地域については、出社率上限を20%程度とする運用に切り替えています。働く場所の選択拡大ですが、居住地制限の撤廃や、出社に係る費用負担などにつきまして、来年度に向けて整備を進めています。コンタクトセンターにおいても、リモートワークの拡大を現在進めているところです。サテライトオフィスについては、2022年度末で260拠点とお話ししていましたが、現時点で249拠点と前倒しして整備を進めている状況です。恐らく、260拠点を上方修正していく形になるかと思います。
組織の地域分散ですが、本社・間接部門の地域分散を順次拡大していく予定です。加えて、地域に居住しながら本社業務をテレワーク前提で働ける、あるいは兼業できる、ふるさとダブルワークの取り組みも進めているところです。
4点目のトピックスは、新たなサービスのご紹介です。2月4日にNTTドコモから発表させていただいていますが、モバイルネットワークを利用した0AB~Jの固定電話サービス、これを3月末から提供します。工事不要で簡単にご利用いただけます。付加機能や無料通話を付帯した「homeでんわベーシック」、基本機能のみの「homeでんわライト」をラインナップし、home5Gとのセット割引でそれぞれ1,650円、550円から利用可能となります。さらに、「ドコモでんき」も3月からスタートしますので、ご自宅でご利用のサービスを、携帯を含めて、おまとめ可能にしていきたいと考えています。
最後に、中期経営戦略の進捗です。1つは、中堅・中小企業のDXを推進する「ビジネスdXストア」を新生ドコモグループとして開始をしています。IOWNの関係では、ラックサイズで大規模な光量子コンピュータを実現する基幹技術開発に成功しています。また、NTTドコモと持株になりますが、エアバス、スカパーJSATとのHAPSの実用化に向けた研究開発に関する覚書を締結しました。最後に、Science Based Targets、SBTの「1.5℃水準」の認定を取得しました。
私からの説明は以上です。
2022年度の設備投資の規模感や重点テーマについてどう考えているのか。また、原材料高や半導体不足といった要因を設備投資計画にどのように織り込んでいく予定か聞かせて欲しい。
来年度の設備投資計画は、今の時点でお話しはできませんが、基本は5Gを加速しますし、IOWNの研究開発も進めます。一方で、グローバルの構造改革や旺盛なデータセンター需要もあります。さらには不動産、エネルギーなどの設備投資も見込まれていますので、増えていく傾向ですが、オフバランスもさせながら、自分たちが投資する範囲を極力効率化しながら実施をしていく、ということが基本的な考え方です。さらに、今年度のCapex to Salesの目標を実現していく上で、既存のネットワーク投資については、より効率性を高めていきたいと考えています。一方で、半導体不足により数%程度の値上げが見込まれており、設備投資を増額する圧力が出てきますので、その影響を織り込んでいかざるを得ないと考えています。
他の通信会社の首脳から、値下げ競争は一息ついた感じがある、仮に5Gが現在のARPUのままであれば、収益効率が悪くなって、新技術が生まれない国になるリスクがある、といった意見が出ている。澤田社長は、現在、今後の通信料金の在り方について、どのように考えているのか。
個人、あるいは企業のお客さまにとって、安くて使いやすい、というのは究極の普遍的ニーズであると考えています。当然、良いサービスを出していくことで、料金はそのままでも、その価値を上げていくという場合もありますが、料金やサービスの内容については、お客さまに受け入れられていくようにこれからも努力をして、コスト削減も含めて頑張っていきたいと考えています。ただ、各社が言われているように、国際的な料金比較においては、既に世界一の安さになっていますので、一旦、競争は一息をついていると考えています。よって、基本的には継続していくスタンスですが、特異事例での値下げの実施は一旦終えた、と考えています。一方で、ARPUを高めたり、コスト効率を上げたり、あるいはサービスを増やしていく営みなど、次の投資を生んでいく努力を事業者はすべきだと考えています。
前回の決算発表時には200万を超えたという話があったと思うが、現在のahamoの足元の契約数について教えて欲しい。
ahamoは好調で200万台半ばまできていると思いますが、詳細は控えさせていただきます。
エコノミーMVNOについての現状や手応えを教えて欲しい。
提供開始が遅れ、認知もまだ十分ではなかったのですが、12月あたりからプロモーションに力を入れており、これからどれぐらい伸びるのか、期待しているところです。エコノミーMVNOを増やしていくということがNTTドコモの方針ですので、持株としてもそれを支持していきます。
NTTデータの好調の要因を教えて欲しい。また、来年度以降も、好調は続く見通しか。
NTTデータは、国内外ともに順調で、特に一般企業向けの1件1件の案件は大きくなくても、DXのコンサルティング、つまり利益率の高い案件が、この1年で増えています。金融関係では、大きな案件を受注しており、毎年そういう傾向がありますので、一般企業や金融機関向けのビジネスは来年度も続いていくと考えて良いのではないかと思います。公共分野においても、国内外ともにDXをかなり進めており、基本は来年度以降も継続すると思っていますが、日本の場合は、デジタル庁の調達方針にもよりますので、不透明な部分もあります。最後に、医療分野ですが、特にアメリカにおいてはNTT DATA Servicesが、得意な分野で、新型コロナウイルスの影響もあり、病院やヘルスケアのDXがかなり進んでいますので、来年度以降も案件は続いていくと考えています。
政府がデジタル田園都市国家構想を掲げており、5Gの地方への基地局の設置も加速していく必要があるかと思うが、どのように対応していくのか。また、総務省において、ブロードバンドの地方への整備も議論に上がっているが、コストパフォーマンスの考え方などを含め、どこまでNTTとしてやっていくべきだと考えているのか。
5Gについてはスタンドアローンを出したところです。政府からは人口カバー率を上げるように言われており、5Gの人口カバー率を上げていく考えですが、まずは、既存4G用の周波数を転用した5Gではなく、真に5Gの価値を体感できる、5G専用の新周波数を用いたサービスを導入、展開していくべきであると考えています。また、ブロードバンドについては、総務省で整理をいただいて、電話にしかなかったユニバーサルサービスという概念をブロードバンドにも適用することになりました。ブロードバンドサービスを整備できていない地域も基金による補助を頂きながら、私ども自身が公共性の性格を持っている会社でもあるので、頑張って整備やサービスの維持をしていきたいと思っています。今回の総務省のブロードバンドサービスに係る政策は、現状を踏まえた上で賛同できる政策だと捉えています。
先日の通信障害についてNTTドコモが本日影響や原因を発表したが、同じようなことで障害が起きていることに対して今後の対策についてどう考えているのか。
先般、2月1日に起こしてしまいました通信障害について約18,000のお客さまにご迷惑をお掛けし、大変申し訳なく思っています。内容は、おっしゃったように、いわゆる新しいものに変えるときのサーバ設計、容量設計なり、トラフィック設計が十分ではなかったというところになります。前回の通信障害はパートナー企業のサーバシステムを含めての議論でしたが、今回は、IPv4からIPv6への新しい住所のようなものを読み取るサーバの容量が足らなかったことが原因です。端末とサーバとのやりとりが遅延した場合に、例えば端末からの情報を切断するなど、色々な機能が入っており、単にサーバ容量を多めに用意していくだけではなく、より深いところでネットワークの設計、つまり過大なパケットが来たときには、どの装置はどういう対応をするかというところの基本的な動作をもう一度1から考え直して欲しいと考えています。
NTTドコモの 「homeでんわ」について、これはNTT東西の固定電話と競合するサービスと捉えられるが、これは一昨年の完全子会社化によって実現したものなのか。また今後、NTTグループとしては、ラストワンマイルのところは無線に置き換えていく考えか。
「homeでんわ」は、お客さまから見れば、固定とモバイルを融合した電話サービスをご契約できるサービスですが、既に他社は導入済みですので、基本的には、NTTグループとしては、他社に取られているものを取り返すという意味合いになります。NTTドコモの完全子会社化により、移動・固定融合サービスを実現すると説明していましたが、「homeでんわ」もその1つとなります。そのため、NTT東西とNTTドコモの間を調整する考えはありません。むしろ、3社で健全な競争をしてもらう方が正しい姿だと考えています。ラストワンマイルは、利便性、コストから考えると、先々は無線で対応していくような時代になると考えています。
最近の世界の通信分野では、マイクロソフトがゲーム会社を巨額で買収したほか、フェイスブックが社名を変えるなど仮想空間やメタバースビジネスの動きが活性化している。その中で、NTTとしての取り組み方針を伺いたい。
仮想空間、メタバースについては、NTTは数年前からデジタルツインコンピューティングとして技術面からそれを表しておりました。世の中では、セカンドライフという言い方もあって、技術面などでの問題がたくさんありました。ある面、メタバースという言葉もバズワードだと思いますが、ツーステップに分けて考えています。まずは、一昨年からDOORというVR空間を用意し、私たちのオウンドメディアの1つと捉えて、新しい技術や3D、XRを取り入れようとしています。 そのような中、NTTドコモに限らず、次のステップに向けたサービスや基盤をつくっていこう、という動きをとっておりまして、NTTグループも、まずXRという切り口から、仮想空間の世界を検討していきたいと考えています。また、長期で見ると、メタバースの世界は、法律や制度上も色々な議論が必要です。また、より精緻で、現実感のあるコンテンツにしていくためには、大容量のデータ処理やそれに伴う消費電力の抑制が必要になります。そのためにはIOWN構想の実現が必要であり、メタバースについては、将来を睨みながら、現状に対応していきたい、と考えています。
総務省の電気通信事業ガバナンス検討会の報告書がまとまり、サイト利用者の同意取得の義務化やサーバ設置国の公表を見送るといった方針などの方向性が出されたが、改めてNTTのスタンスを教えて欲しい。
ガバナンスに関しては、事業者は、自分たちのお客さまの安全の確保や不安を取り除くことが大事だと考えています。具体的には、サーバは自分たちがハンドリングできる自国に置くというのが正しい議論だと考えています。もちろん、例えば考え方が同じ同盟国や、信頼のおける国というものが明確化された場合には、そういうところに設置場所を拡張することは可能だと考えます。その概念がData Free Flow with Trust(信頼性のある自由なデータ流通)であり、サーバをどこにあるのかを言いたくない、というのは、事業者としてはスタンスがおかしいと考えています。総務省の電気通信事業ガバナンス検討会とその報告内容については、他国の状況に遅れることなく、しっかりと対応を進めていただきたいと思っています。
リモートワークについて、遠隔地から出社する際の費用を負担する方向で検討するとのことだが、居住地制限の撤廃と併せて、もう少し詳細を教えて欲しい。また目的としては健康経営とあるが、優秀な人材を確保したいという狙いもあるのか。背景も併せて教えて欲しい。
リモートワークについては、分断勤務や、在宅手当、定期代の廃止などの制度を既に整備していますが、居住地を自由にしていくというのは、私たちのように18万人の社員を抱える会社としては、実現には時間がかかります。また、どこに住んでも良いとなった場合に、新幹線を利用する場合は、何回まで利用して良いのかなどの整備が必要となり、その整備を2022年度から実施しようと考えています。現時点では具体的には明示できませんが、NTTの主要子会社で色々な取り組みを展開してもらいたいと考えています。人材確保については、中途採用も増やしており、居住地制限の撤廃もNTTグループを選んで頂く一つの条件になってくるとは考えています。ただ、一義的には優秀な社員を採用するためではなく、社員、あるいは経営の健康やワークインライフの充実、ウェルビーイングが目的になります。
NTTドコモのキャリアメールの持ち運びについてどれくらい開発費がかかったのか。また、現状ではどの程度利用されているのか。
キャリアメールの持ち運びは、競争を促進するためにボトルネックになっていた障壁を取り除くという事で、各社で取り組んでいますが、開発費については非開示となっています。一般的にメールの開発にはある程度の費用がかかりますので同様の事例から推察頂ければと考えています。また、キャリアメール持ち運びの利用状況ですが、SNSなどでキャリアメールの持ち運びができて良い、というお声は頂いていますが、大きな影響はないと見込んでいます。利用者の詳細は非開示とさせていただきます。
ahamoについて、料金面での競争は一段落したとのことだが、今後、春商戦に向けてサービス面の拡充など、現時点で考えているものがあれば教えて欲しい。
NTTドコモの春商戦に向けては、「ドコモでんき」、あるいは「カボニュー」関連サービス、さらには先ほど申し上げた「homeでんわ」のサービスを開始予定です。それらをどのように販促するか、OCNモバイルやフリービットさんのサービスとどう連携して販売するのか、などを含めて詳細はNTTドコモにご確認頂ければと考えています。
NTTドコモとNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアの再編が完了し、今年の夏に組織内再編が本格化すると思うが、現状の手応えと、今後のシナジー発揮に向けた見通し、期待について教えて欲しい。
新生NTTドコモグループについては、組織再編後も地域の販売やエンジニアリングの再編を実施していくことになります。さらに、スマートライフ事業も強化をしていきますので、動きとしてはこれからもまだまだ続いていくと考えています。今日の2021年度第3四半期決算において当期利益などが過去最高になりましたし、この7月向けてNTTドコモやNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアの決意を感じていますので、手応えとしては大いにあります。シナジーは従前どおり、2023年度で1,000億円、2025年度で2,000億円という目標値を着実に達成していくものと考えています。
5Gの設備投資で、先ほど、純粋5Gを大切にしながら、普及率も伸ばしていくという説明だったが、政府が2023年度中に人口カバー率9割という目標を掲げている中、現時点でのNTTドコモの(5G専用の新周波数帯による「瞬速5G」の)目標である2024年3月末で80%という目標を前倒しする考えはあるか。その場合、設備投資などが収益面にどのように影響してくるのか教えて欲しい。
5Gの投資、人口カバー率については、メディアのみなさんにも、「既存4G用の周波数を転用した5G」と「5G専用の新周波数による5G(瞬速5G)」の違いをぜひご理解いただきたいと思います。総務省が言われているのが、「既存4G用の周波数を転用した5G」を含めたものなのか「5G専用の新周波数による5G(瞬速5G)」なのかは、はっきりしませんが、他社が人口カバー率と言われているのは「既存4G用の周波数を転用した5G」を含めた人口カバー率です。しかし、お客さまが本当に5Gの高速・大容量といった良さを感じられるのは「5G専用の新周波数による5G(瞬速5G)」になります。NTTドコモが人口カバー率8割と言っているのはこの「5G専用の新周波数による5G(瞬速5G)」となります。つまり、起点が4G用の周波数ではなく、「5G専用の新周波数による5G」からスタートし、今後5Gのエリアの広がりを優先するエリアでは、「既存4G用の周波数を転用した5G」による効率的な5Gエリア展開も実施していくことが、NTTドコモの考え方です。もし前倒しの議論の中で、「既存4G用の周波数を転用した5G」の部分を広げるのであれば、設備投資は大きく発生しないと見込まれます。
※実際の発言から一部表現を修正しています
5Gが開始され間もなく2年になるが、消費者のメリットが感じられるサービスはまだない、と見られている。NTTとして5Gの現状認識、世界における日本の状況についてどのように捉えているか教えて欲しい。
5Gのメリットは、ビジネス、企業向けの利用用途で発揮されるという説明を以前からさせて頂いていますが、IoTなり、高速接続なりは、ローカル5Gを含めて、企業においてはDXのために利用されやすい、と考えています。実際、B向けには色々なサービスが出つつあります。そういう意味では、B向けにはこの2022年、2023年が大きく進む年ではないでしょうか。C向けには、端末が4GベースではなくSub6やミリ波に対応した5G対応で、さらに例えばメタバースのようなサービスで高速・大容量に対応したものが出てこないと5Gのメリットを実感することはできない、と考えています。そういう意味では、先ほどの「既存4G用の周波数を転用した5G」での人口カバー率では少し厳しく、「5G専用の新周波数による5G」の人口カバー率を上げていく必要があり、もう2年かそこらはかかるのではないか、という認識です。
※実際の発言から一部表現を修正しています
欧米などで金融緩和の縮小、利上げの観測が出ている中で、今後の資金調達への影響について聞かせて欲しい。
グリーンボンドもそうでしたが、基本的には有利な金利で資金調達をできています。世界的に金利が上がっていく傾向ですが、当面資金調達のコストがかさむことにはならないと想定しています。現状、前期末で有利子負債が7.6兆円、今期末で7兆円強と予想していますが、私たちの償還スケジュールでいきますと、概ね10年間にならした形になっています。したがって、毎年リファイナンス、償還分の調達が6,000億円から7,000億円必要になります。一方でグリーン投資枠を5,000億円程度見込んでおり、毎年6,000億円ぐらいのリファイナンスを社債の発行や、銀行からの長期の借り換えなどに切り替えていくことになります。いずれにせよ社債発行については、今後もグリーンボンドを中心に進めていく形になると見ています。
以上
NTTグループ中期経営戦略
2023年5月、「NTTは挑戦し続けます。新たな価値創造と地球のサステナビリティのために。」を基本的な考え方とした中期経営戦略を発表しました。
NTTとともに未来を考えるWEBメディアです。