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2022年8月 8日
島田代表取締役社長
(同席)
中山執行役員財務部門長
谷山執行役員経営企画部門長
2022年度第1四半期決算を説明させていただきます。
対前年増収、営業利益、当期利益は増益です。営業収益、当期利益は第1四半期としては過去最高を更新しました。営業収益はNTTデータ、NTT Ltd.の増収などにより、対前年1,763億円増収の3兆689億円。この増収のうち為替影響は約570億円となっています。
営業利益は、営業収益と同様にNTTデータ、NTT Ltd.の増益などにより、対前年171億円増益の5,034億円となりました。当期利益は、営業利益見合いの増益に加えて、法人税などの一過性の増益要因などにより、対前年286億円増益の3,686億円となりました。
海外営業利益率は、NTTデータにおける増益に加え、NTTデータ、NTT Ltd.における構造改革を通じたコスト削減などにより、対前年2.1ポイント改善の6.1%となっています。
続いて5ページをご覧ください。セグメント別の収益、利益です。総合ICT事業セグメントは、法人事業、スマートライフ事業の増収はあるものの、コンシューマ事業における値下げの影響などにより、トータルでは対前年減収になっています。この減収を各事業におけるコスト削減などでカバーし、対前年増益となっています。
地域通信事業セグメントですが、固定音声収入の減や前年度に計上した不動産売却益が今年度はないことにより、第1四半期時点では対前年減収減益となっています。年間ではSI事業や成長ビジネス収入の増に加えて、徹底した経費などの削減によりカバーをし、対前年増収増益を見込んでいます。
グローバル・ソリューション事業セグメントですが、NTTデータにおける旺盛なデジタル化需要の取り込みによる増や、NTT Ltd.における高付加価値サービス拡大などによる増収に加えて、NTT Ltd.における構造改革を通じたコスト削減などにより対前年増収増益となりました。
その他、不動産、エネルギー事業などですが、エネットにおける電力取次の増加に加えて、燃料価格の高騰を反映した電気料収入の増などにより、対前年増収となっています。
次に、トピックスについて5つ説明させていただきます。7ページをご覧ください。初めに、メディカル・ヘルスケア事業の推進について説明します。遺伝子検査、データ解析におけるリーディングプレイヤーであるジェネシスヘルスケアと本日資本業務パートナーシップを締結しました。あわせて、ジェネシスヘルスケアの株式19.3%を取得します。NTTライフサイエンスの持つ遺伝子などのデータベースに、ジェネシスヘルスケアが持つデータを加えることで、データベースを強化します。NTTライフサイエンスのデータ解析、遺伝子検査の技術にジェネシスヘルスケア社の技術を掛け合わせることで、解析、検査の質を向上させ、これらを製薬会社、医療機関などへ提供することを通じてメディカル・ヘルスケアの高度化を支援していきたいと思っています。
8ページをご覧ください。次に、組織の地域への分散についてです。持株会社において群馬県高崎市、京都府京都市に分散拠点を設置し、組織の地域分散のトライアルを2022年10月より実施します。約200名規模でのトライアルを通じて、組織分散による業務遂行、コミュニケーションなどにおける課題や対策の検証を行い、本格実施に向けた検討を進めていきます。本取組みを通じ、サステナブルな事業運営の実現をめざします。
9ページをご覧ください。次に水素の大量安定輸送の実現に向けた実証実験についてです。配管内での水素の大量かつ安定的な輸送の実現に向け、二重配管方式の安全性に関する技術開発、調査研究をNTTアノードエナジーが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の調査研究依頼に基づき、産業技術総合研究所、豊田通商と共同で実施します。本取組みを通じまして、安全策に対する検討、検証を進め、将来的には水素パイプラインを活用した工場や商業施設、発電所などへの供給をめざし、水素大量消費社会を見据えた地域における供給手段の確立、スマートシティの発展に貢献していきます。
10ページをご覧ください。次に、SAPと新たなソリューション開発について説明します。NTTデータとSAPにより、壊れやすい貨物の輸送をIoTセンサーなどで追跡し、保険手続きを円滑化するソリューション、「Connected Product」を共同開発しました。サプライチェーン全体にわたる貨物のトラッキング実現と、損傷、遅延時などにおける保険手続きの簡素化により、保険会社や物流会社を含むエコシステム全体のコスト削減を実現していきます。現在ドイツの保険会社やスペインの物流会社との共同実証実験を2022年9月までの予定で進めています。今後、国際的な保険物流会社向けに実ビジネスへの適用を予定しています。
最後に11ページをご覧ください。中期経営戦略の進捗について、記載のとおりとなっています。私のほうからの説明は以上です。
組織の地域分散について今回、高崎市と京都市を選ばれたとのことだが、この2カ所を選んだ理由を教えて欲しい。
今回の組織の地域分散の目的は、1つはレジリエンスの強化です。首都直下地震を想定して、従来の対策だけで十分かどうかということも含めて検証していきたいと考えています。そういう意味では、過去の地震の頻度や内陸にあるかどうかといった点に加え、新幹線でのアクセスなども考慮して、高崎市と京都市を選ばせていただきました。
持株会社で地域分散を進めるということで、今後、NTTドコモやNTTデータといった事業会社にもこういった地域分散を更に促すという考えはあるのか。
今回は、例えば、災害時などに、事業の継続性の判断をする経営企画部門や従業員の現状把握などを行う総務部門などの組織について、実際に遠隔で分かれていても一緒に機能できるかどうかなどを試すために、まずは持株会社でトライアルを始めます。今後、持株会社の成果を踏まえた上で、各事業会社の特性に合わせつつ、各社にふさわしい形のレジリエンスの強化を促していきたいと考えています。
先月のKDDIの通信障害について、政府が相互乗り入れ、ローミングについて真剣に検討を始めることを表明しているが、これに関し課題や、こうあるべきだという考えを聞かせて欲しい。
先般のKDDIの通信障害は他人事ではありません。昨年NTTドコモも障害を発生させています。まだKDDIの通信障害の詳細なデータが把握できていないため、まずはそのあたりをよく確認させていただきながら、自らのネットワークに関して、見直すべきところがあればしっかり見直していく必要があると思います。緊急通報のローミングに関しては、色々なところで申し上げていますが、できるだけ早く実現できるように私どもとしても協力していきたいと思っています。そのためには、事業者間の協力が重要であり、総務省にもご指導いただきながら整理していくことが必要だと思っています。また、時間をあまりかけないでやることが大事だと思います。折り返し機能などの議論も必要ですが、時間とコストがそれなりにかかる議論だと思いますので、まずはできることをなるべく早く実現して対応していくのが良いのではないかと思っているところです。
また、IoT時代のネットワークのアーキテクチャーやオペレーションのあり方というのは、やはりこれからの自動運転などを考えた際に、再度強化していく必要があると思いますので、そのあたりについても勉強していきたいと思っています。
通信障害時のローミングについて、緊急通報だけ部分的にやるのか、データ通信まで含めてやるのかで差は出てくると思うが、コスト負担のあり方についてどのように考えているのか。島田社長は事業者が負担すべきとのコメントを出されていると思うが、例えば国や政府も一部負担すべきなど、考えを聞かせて欲しい。
ローミングについて、コストに関して言えば、最低限の部分は事業者で負担していくべきだと思っています。もちろん、対応策のさまざまな段階や要求水準というのがあると思うので、それに応じて負担の在り方を考えていく必要はあると思いますが、まずは緊急通報のみをローミングすることに関して言えば、それぞれの事業者の責務として負担すべきである、というのが私としての認識です。
通信障害時のローミングについてコストの試算などはしているのか。
試算はまだできていません。ローミングについては、緊急通報だけでなく、どこまでやるのかという議論もあると思いますが、輻輳が波及することがあってはいけません。したがって、仮に緊急通報以外も対象として考える際には、輻輳を起こさない、波及しないよう最大限考慮しなければなりません。また、主に法人顧客向けになろうかと思いますが、例えばバックアップサービスみたいなメニューも考えていく必要があるのではないかと考えています。
7月にリモートスタンダード組織ができ、対象が3万人と聞いているが、現状どの程度まで広がっているのか、数字として見えてきているものがあれば教えて欲しい。
7月1日に3万人の組織を対象にしてリモートスタンダード組織の制度を入れました。今後徐々に増えていくと考えていますが、現時点でデータとして申し上げられるのは、もともと対象組織の中で単身赴任が1,500人程度いましたが、1カ月後の7月末の段階で200名ほど減って、1,300人程度になっています。恐らく単身赴任をしていた200名ほどの社員の後任者は、リモートスタンダードで転居をしないで自宅から勤務をすることを選択した可能性がありますが、まだ詳細については明らかでありませんし、徐々に人事異動が行われていくので、少し時間が経った段階で、また報告させていただければと考えています。
通信障害時の緊急通報のローミングについて、ソフトバンク株式会社の宮川社長は、緊急通報以外にも広めていくべきと発言しているが、その点について、島田社長の考えを教えて欲しい。
緊急通報以外にどこまで広めるのかというのは、先ほども話させていただいたとおり、ある通信会社で輻輳した状態が他の通信会社に波及すると、もっと重大な事故になってしまいますので、やはり輻輳が波及しないということが最低限の前提になると思います。ですのでそのあたりを考えながら、例えばSMSを流すなどの対応はあり得るのではないかと思います。ただ、それをどういう仕組みでお互いにやっていくのかというのは、コンセンサスを形成していかなければなりませんので、総務省が検討の場を持たれるということですから、ぜひそういう場で議論が深められれば良いと思っています。いずれにせよ、輻輳を波及させないということが大前提だと思います。
通信障害時のローミングにについて、緊急通報の折り返し機能に関してそれなりの議論が必要になると思うが、できることをなるべく早く実現するために具体的にどのような範囲をイメージしているのか教えて欲しい。
緊急通報について言えば、折り返し機能がない形でのローミングの実現だと思います。まずそういうところから議論すべきだと思います。ただし、それだけやれば良いと言っているわけではありません。例えば、SMSみたいなものもやるべきだというご意見でコンセンサスがまとまっていけばそれも必要になると思います。一方で、色々拡張すると、ネットワークの改造に付加的なコストがかかり、どのようにコスト負担をしていくのかという検討もセットになってきますので、議論が長引いてしまう可能性があると思います。したがって、まずは最低限の議論からスタートすべきではないかと考えている次第です。
今回の決算について、4-6月期の四半期ベースでは営業収益と当期利益が過去最高だったということだが、何が一番貢献したのか、またこれは想定の範囲内だったのか、想定以上に何か業績に寄与したところがあるのか、教えて欲しい。
業績予想に沿った形での決算になっていますので、そういう意味では概ね想定していた決算になったと考えています。国内の事業に関しては想定した水準で進んでいます。海外は、NTTデータのデジタル化需要ですとか、NTT Ltd.の高付加価値サービスがやはり伸びていますので、今回は海外事業が全体を引っ張って持ち上げたということは言えるかと思います。一方で、海外は、半導体不足の影響もあり、受注残が解消していない状況です。第1四半期は受注残が増えました。今後、通信機器納入の滞留が解消されるタイミングによっては、海外のビジネスをさらに伸ばしていける余地があると思っています。
電力が逼迫する中で、政府が冬の電力供給を確保するために最大9基の原発稼働と火力発電の追加供給を進めようとしているが、このことについての評価と、エネルギー価格高騰に伴う業績への影響について教えて欲しい。
エネルギーの供給は非常に重要な問題だと思っています。そういう意味では、政府が最大限の努力をされるということは非常に重要なことですし、それは率直に評価させていただきたいと思います。電力に関して申し上げると、事業計画上は20%ぐらい価格が上がることを想定していますが、実態としては第1四半期が終わった段階で、電力料金は30%ぐらいまで上がっています。エネルギーコストと円安は影響が大きいので、大口の電力需要家として、注視していかなければいけない要素だと思っています。
楽天モバイルがゼロ円を廃止したが、その受け止めと、その後のユーザの動向を教えて欲しい。
基本的にはネットワークビジネスはコストがかかりますので、楽天モバイルさんの対応は当然のことだろうと考えています。直接影響があったのかは分かりませんが、今年度の第1四半期に関しては、NTTドコモのMNPがプラスになっているのは事実です。またahomoも順調に伸びています。
地域通信事業について減収減益となっているが、NTT東西社長が交代され、地域会社の今後の方向性や期待について教えて欲しい。
NTT東西からは、2025年には非通信の売上を50%以上に引き上げ、いわゆる地域ビジネスで新規に立ち上げたものを3,500億円ぐらいまで持っていきたいというような話も出ています。NTT東西とも、例えば農業や漁業、バイオマス事業ですとか、色々な地域の事業にチャレンジしています。地産地消的な意味で、それぞれローカルでの新しいビジネスを立ち上げていくというのは、NTT東西のこれからの事業の大きなミッションだと思います。第1四半期は、前年の不動産事業の売却などの影響でマイナスになっていますが、年間通しては計画を達成してもらえると思っています。地域でのそれぞれ特徴を生かした新しいビジネスの創出に励んでもらいたいと考えています。
今回のKDDIの通信障害について、色々な対応の1つとしてWi-Fiの活用があるが、00000JAPANのような、地域災害が起きたときに活用するという取組みなどについてどのように考えているのか。
具体的に議論が始まっているわけではありませんが、災害時用公衆電話などもご活用いただけると良いのではないかと考えています。今、ご提案ありましたWi-Fiなども含めて、いわゆる従来の災害対策に向けて考えていた施策を、通信障害時に応用できるかどうかということについても、各社と議論できればと思います。もちろんそういう場合には、コスト負担の議論も当然出てきますので、どのように仕組みを作り上げていくかということも併せて一緒に考えていく必要があるかと思います。
KDDIの通信障害について、公衆電話の存在にも改めて注目が集まっている一方で、今年の春に基準が変わり、NTT東西で公衆電話の削減計画を示していると思うが、通信障害、あるいは大規模な災害時の公衆電話の活用について、今回の事象を踏まえて、計画の変更や、何らかの検討など、今の段階での島田社長の考えを教えて欲しい。
公衆電話の利用というのは当然あるわけですが、通常の公衆電話よりも、これからは、災害時にコンビニの前に並べて設置するような、いわゆる災害時用公衆電話を活用した対応を中心に考えるべきだと思います。(将来は)災害時用公衆電話の数の方が多くなりますし、お客さまの便益などを考えれば、災害時用公衆電話の方がお客さまにとって、使い勝手がいいものになるかと思います。今後、検討していきいと思います。
KDDIの通信障害の関連で、個人向けや法人向けのIoTなどの契約で影響が出ているのかどうかについて教えて欲しい。また今期見通しに与える影響があるかどうかについても教えて欲しい。
法人のお客さまの中では、すでにバックアップについてどうしていくのかという議論が始まっていると認識しています。基本的には、例えばNTTドコモをお使いの場合は他社の回線でバックアップするということになるかと思いますので、双方のネットワーク事業者がバックアップについてお客さまにこれからどういう提案をしていくかということだと思います。その中で、例えば、SIMを2枚入れるなど、そういうサービスも出てくるかもしれませんし、それ以外に、お互いがMVNOになるということもあるかもしれません。色々な方策をそれぞれ考えながら、お客さまの事業継続性をどうやって担保していくかということを考えていくのだと思います。例えば今までも、専用線やVPNなどで、法人のお客さまがバックアップを使われているケースがあります。例えばNTTコミュニケーションズのメニューにおいて、そのバックアップはKDDIを使われてるというケースは既にありますので、その延長線上で考えれば当然、法人向けのサービスとして、新たなモバイルサービスを考えていくということがあり得ると考えています。個人向けにも、例えば2台持ちしていただくとか、SIMを2枚入れて、ネットワークを選択するなどもサービスとしてはあります。その分、お客さまにとってコストがかかりますので、お客さまがどのように選択されるかによります。
通信障害時のローミングについて、折り返し機能なしで行う場合、いつまでに実現できると考えているのか。
議論が始まっていないためいつまでというのは明確に申し上げるのは難しいです。携帯4社でしっかり議論し、総務省を交えて早い段階で実現できればと考えています。
KDDIが一律で200円のお詫び返金をすることについて不十分という意見もあるが、どう受け止めているか。
KDDIの今回の補償に関しては、コメントは控えさせて頂きます。約款に基づき返金することが原則だと思っています。さらに、通信障害の大きさや社会的な責任なども考慮しながら、状況に応じて決めていくことだと思います。
折り返し機能なしで緊急通報をローミングでやる場合、ネットワークはどの程度改修しなければならないのか。折り返し機能ありの場合よりも改修は少なく済むのか。
折り返し機能なしで緊急通報をローミングでやる場合も当然ネットワークの改修が必要になり、今日話して明日できるという話ではなく、それなりの対応は必要です。折り返し機能を実現するには、データベースの整備などが必要になってきますので、より大きな改修が必要になります。
海外事業に関連して、営業利益ベースで円安の影響はどの程度あったのか。
海外売上高は、987億円増加していますが、このうちの570億円が為替の影響です。営業利益については、為替の影響はほとんどありません。
以上
NTTグループ中期経営戦略
2023年5月、「NTTは挑戦し続けます。新たな価値創造と地球のサステナビリティのために。」を基本的な考え方とした中期経営戦略を発表しました。
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