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2023年8月 9日
島田代表取締役社長
(同席)
中村執行役員財務部門長
服部執行役員経営企画部門長
2023年度の第1四半期決算を説明します。
4ページをご覧ください。第1四半期連結決算の状況は、営業収益は対前年増収、営業利益は減益、当期利益は増益です。営業収益、当期利益は第1四半期としては過去最高を更新しました。
営業収益は、総合ICT事業セグメント、グローバル・ソリューション事業セグメントの増収などにより、対前年422億円増収の3兆1,111億円となりました。この増収のうち為替の影響は+400億円ほどです。
営業利益は、地域通信事業セグメントにおける大規模システム更改によるオペレーションの効率化、セキュリティの強化のための先行的な費用が増えています。ならびに電気代の増等により、第1四半期時点では対前年287億円減益の4,747億円です。
なお、第1四半期の計画は開示していませんが、収益、利益ともおおむね想定どおりの進捗となっており、年間で増益となるNTT連結計画の達成に向けて取り組んでまいります。
当期利益は、営業利益の減や支払利息の増などを株式売却益でカバーし、対前年72億円増益の3,758億円です。EBITDAは、営業利益の減益などにより、対前年189億円減の8,385億円です。
続いて5ページをご覧ください。セグメント別の収益、利益についてです。
総合ICT事業セグメントは、法人事業およびスマートライフ事業の増収などにより、対前年増収となりました。スマートライフ事業における成長投資の加速に伴う減益はあるものの、法人事業の増収に伴う増益やコンシューマ通信事業のコスト効率化などにより、対前年増益となっています。
地域通信事業セグメントは、固定音声関連収入の減収、光サービスのリモートワーク需要の一巡に加え、調達や財務の大規模システムの更改による先行費用の増加、セキュリティ強化のための先行費用の増加、ならびに電気代の増により、第1四半期時点では対前年減収減益です。収益、利益ともおおむね想定どおりの進捗であり、増収増益となる年間計画の達成に向けて取り組んでまいります。
グローバル・ソリューション事業セグメントは、公共・法人分野を中心とした国内の増収に加え、為替影響などにより対前年増収です。増収に伴う増益はありますが、海外事業統合コストの増、成長投資の増により、対前年減益となっています。おおむね想定どおりの進捗であり、年間では対前年増収増益を見込んでいます。
その他の不動産、エネルギーなどでございますが、エネットにおける電気料収入の減などにより、対前年減収減益となっています。
次にトピックスについて3つご説明します。
7ページをご覧ください。初めに、新たな価値創造に向けた新会社の設立について、先日発表した新中期経営戦略の実現に向けた取り組みとして、光電融合デバイスの製品開発、製造、販売を行うNTTイノベーティブデバイス株式会社、魚の陸上養殖、販売を行うNTTグリーン&フード株式会社を設立しています。また、ヒューマン・キャピタル分野の戦略会社として、NTTビジネスアソシエとNTTラーニングシステムズを、株式会社NTT ExCパートナーとして統合しています。これらの事業を通じて、新たな価値創造を実現してまいります。
8ページをご覧ください。株主還元についてご説明します。資本効率の向上、株主還元の充実を図るため、本日の取締役会において、取得総額2,000億円を上限とした自己株式の取得について決議いたしました。
9ページをご覧ください。過去の自己株式の推移について、1999年からはじめ、今回の2,000億円までで24年間で大体5兆5,000億円の自己株式を取得しています。EPSもそれに伴い上昇しています。
10ページをご覧ください。株主数の状況について、先般公表した株式分割について多くの関心が寄せられていますので6月末の株主数の状況をご報告します。2022年度末の株主数と株主分割公表後の2023年6月末の株主数を比較すると、従来微増傾向だった株主数は、プラス18%と大幅な増加となっています。株式分割を機に、NTTの株式投資にご関心をお持ちいただけたのではないか考えています。
なお、株主数の集計は四半期ごとになりますので、株式分割の効力が発生した2023年7月1日以降の状況は、第2四半期の決算発表時に改めてご報告いたします。
11ページをご覧ください。先日発表した新中期経営戦略について、2023年5月以降の取り組みの進捗状況はご覧のとおりです。
私からは以上です。
政府が保有するNTT株の売却について、完全民営化も含めた議論が自民党で始まろうとしているが、その検討チームの座長に就くとされている甘利議員が先日のテレビ番組で、株価への影響を避けるために長時間に分けて徐々に売却していくという考えを示していた。受け止めを教えて欲しい。
政府がNTTの株式を売却することに対しての評価について当社はニュートラルな立場ですので、売却されても、継続して保有いただいてもどちらでもよいと思っています。
ただ、一度に売却されると株価に影響を及ぼすことがありますので、できるだけ株価に影響を及ぼさないように検討をお願いしたいということは再三申し上げてきているところであり、甘利議員より、長期にわたってNTT株を売却することによって株価への影響を抑えたいとご発言があったことは、当社としては非常にありがたいと思っています。
これから議論が始まるところではあると思いますが、是非株主様に影響を与えないような方策を検討いただけるとありがたいと思っています。
NTT法では研究開発の開示というものが責務として定められているが、現状のNTT法のままだった場合、IOWNへの影響が生じるのか教えて欲しい。
NTT法に関して申し上げると、項目単位では今後のことを考えると見直していった方がいいものはございます。研究開発の開示義務などは、かつて電話の時代に独占だったという背景でできている制度です。
昨今の経済安全保障上の課題や、国際競争の観点を踏まえると、こうした条項は課題だと思っています。
あわせて申し上げると、例えば固定電話に関しては、2022年度末の契約数は1,350万件ですが、大体毎年150万契約程度減っていますので、ここ数年の間に1,000万契約を切ることになります。今でも赤字ですので、事業経営上も負担は増えていきます。したがって、固定電話を将来どのようにしていくのか、そろそろ議論を始めなければいけない時期になってきていると思います。こうした議論をしていくということは、非常に重要なことだと思っています。
NTT法の在り方等について議論が始まるということについて島田社長の受け止めと、与党に対してどういった議論を期待するか教えて欲しい。
この議論は元々防衛財源の話の特別委員会の中で出てきた話ですので、基本的には財源の話だというふうに認識しています。財源をどうされるかというのは、与党、政府でお考えになっていただくことだと思います。
ただ関連してNTTの完全民営化の話が出てきています。NTT法が整備されてから時間も経っている中で今の時代にマッチしていない部分も出てきているので、その点は議論を進めるべきだと思っていますし、良い機会になるのだろうという認識でいます。
政府が株を持っているということで国際競争力が阻害されるような事例があるか教えて欲しい。
政府が株式保有している企業はあまりいないので、政府関連の会社だと見られることはあると思います。ただ、このことにより具体的に影響が出ているケースはない認識です。
また、技術開発の開示義務が法律上定められていますが、国際競争をしている中で経済安全保障の要素も強く意識される時代において、技術を開示すること自体に国際競争力上の課題があるのではないかという認識はあります。
特定の会社を法律で規制することへの見解を教えて欲しい。
基本的には自由競争の中でビジネスを展開しているので、特定の会社を規制する法律はない方が良いと思います。
また経済安全保障上の問題を考えた時には、個別の会社に対しての保護規制というよりも、通信事業者や電力事業者、経済のインフラを支える企業に対してどのようなルール作りをしていくか検討することが求められている時代なのかと思います。
研究開発の開示に関して現状どのような足かせになっているのか教えて欲しい。
今の時代は単独ではなく共同で開発することが求められていますが、その際にパートナー企業から、開示義務を懸念し協業を拒否されるケースもあります。
総体的に申し上げると、開示義務はないほうが当社自身の競争力強化にもなると思っています。
固定電話事業について、将来的な撤退を見据えているか教えて欲しい。
契約数が減少していく状況を踏まえると、設備のマネジメントや保守などの課題が生まれるので、どこかでひかり電話やワイヤレス固定電話、もしくは携帯電話など代替手段を考える必要があります。
これにより電話局の大きな設備が解消できるとすれば町の再開発なども可能になりますが、再開発は非常に長期に渡るプロジェクトになりますので、こうしたスケジュールも見据えて様々な議論をしていかなければならないと思っています。
本日も2,000億円の自社株買いを発表したが、案として出ている、政府保有株について時間をかけて自社株買いしていくというのは現実的なのか教えて欲しい。
どういうやり方で政府が株を売却されるかは、政府がお考えになることだと思います。
ただ、これまで私どもは過去24年間の間に5兆5,000億円程度の株式を自己株買いしていますので、選択肢としては取りえると思います。また長期にわたって政府が売却されるのであれば、自己株取得か市場に出すのかという議論はありますが、株主様からすると安心できるスキームかと思います。
当社としても、自分たちの能力の範囲の中で最大限の協力はしてまいりたいと思っています。
NTT法が改正されれば、NTTグループの再編の可能性の選択肢も広がると思うが、現時点での考えを教えて欲しい。
基本的にはNTT東日本・NTT西日本に関するご質問かと思いますが、NTT東日本・NTT西日本はNTTグループだけではなく、他の通信事業者様にもアクセス回線をご利用いただく事業形態です。現在、NTT東日本・NTT西日本に関わる様々なルールは市場をキープするためのものですので、今回の議論で変更していくことはあまり想定できないと思っています。
NTT法にはNTT東日本・NTT西日本の業務範囲についての規制もありますので、この点の議論はあると思いますが、事業運営のルールについて変わることを期待しているわけではありません。
再編については、NTT東日本・NTT西日本が1社になった方が電気通信事業の市場全体としてコストが効率化され公共の福祉にプラスになることを皆様が認識されればそうした結論になるでしょうし、現在の形の方が1社化するよりも公共の福祉が高いということであればそうした結論になると思います。したがって今後の議論次第ではあろうかと思います。
NTT法では持株会社に外国人取締役が就任できないなど外資規制の側面もあるが、考えを教えて欲しい。
外国人が持株会社の取締役もしくは監査役になれないというNTT法のルールになっていますが、グローバルビジネスを考えれば当然海外の方の知見は非常に重要になってまいりますので、仮にNTT法改正の議論が出てくるとすれば日本国籍に限るという条項について見直す方向で検討してもらいたいと思います。
外資規制は外為法の規制でやっていくということになると思いますが、これはNTTだけの問題ではなく、日本のインフラ事業を経済安全保障上どのように見ていくのかという観点で、幅広く検討されるのがよろしいのではと思っています。
ユニバーサルサービスの見直しに伴う固定電話の巻き取りが必要になると、IOWNの開発・実装などコストがかかる取り組みが重複する可能性があるが、中長期的な見通し・シナリオを教えて欲しい。
まず、固定電話を巻き取るとどれぐらいコストがかかるか現時点では試算をしておりません。ただ、巻き取った銅線は売れるかもしれないとか、特に都市部に関しては巻き取りにより再開発可能な不動産が出てくるかもしれないとか、そうした観点も踏まえてトータルでキャッシュをどうやって賄っていくのか考えてまいりたいですし、さらに申し上げれば新たなビジネス創造ができればありがたいと思っています。
2023年7月からNTTドコモが新料金プランを導入したが、出だしの評価と、今後の収益に与えるインパクトを教えて欲しい。
2023年7月からNTTドコモが新料金プラン「eximo」、「irumo」を始めました。もう少し様子を見ないといけませんが、NTTドコモからはポートアウトの影響がプラスに効いていると聞いています。
例えば「irumo」は、コンペティターのセカンドブランド対抗ということを意識して導入しましたので、この効果を見て、また次の機会にお答えできればと思います。
「irumo」はセカンドブランド対抗ということだが、ARPUを引き下げて減収や減益につながるリスクはないのか教えて欲しい。
今後の状況をよく見ていかないといけないと思っています。ただ今のお客様の使い方を見ると、映像をご覧になる方が非常に増えています。もちろん小容量で十分だというお客様には「irumo」は良いプランだと思いますが、空いた時間で映像を見るという習慣になっていられる方には「eximo」や、「ahamo」の大盛りを選択されるお客様が増えてくると思っています。
したがって全体としては大容量のプランに移っていかれる方が多くなると見ており、ARPUは下がるとは思っていません。この第1四半期決算ではARPUは3,990円となり、4,000円を少し切りましたが、年間で見れば4,000円を超える程度の水準になると思っていますので、心配しておりません。
NTTドコモの決算についてスマートライフ事業が減益だが、要因や見立てを教えて欲しい。
NTTドコモのスマートライフ事業は、年間の計画では増収増益を目指しています。第1四半期はdカードに関するシステムの負担やNTTコノキューへの先行投資が出ており、第2四半期以降で回復していくと見立てています。
第1四半期については元々の計画を開示していませんが、概ね計画どおりの進捗です。
NTT法を議論する上でのNTTドコモの位置付けについて、現状の市場シェアなどを踏まえ考えを教えて欲しい。
NTTドコモの市場シェアはコンペティターの会社とそう変わらない環境になってきていますから、同環境で戦っていくべきだと思います。メインブランドでは良い勝負をしていますが、セカンドブランドでは負けていて、NTTドコモはシェアを落としてきた歴史があります。
「ahamo」などの新料金プランを出して反転攻勢を始めており、2023年7月から開始した「irumo」など反転攻勢施策の第2弾も始めていますので、シェアを回復していくように持株会社としてもNTTドコモをサポートしてまいりたいと思います。
携帯キャリアの基地局を支える回線にもNTT東日本・NTT西日本の回線が使われていると思うが、このことがNTT法の議論にも影響するか教えて欲しい。
あまり影響するとは思っていません。現在もNTT東日本・NTT西日本は、NTTドコモに対しての回線の提供も、コンペティターに対しての提供も、同等条件で提供しています。そのルール自体は基本的には変わらない認識ですし、また変えてはいけないと当社としても思っています。NTT東日本・NTT西日本は、基本的には日本国内のモバイル事業を成長させる方向で高いレベルで同じ環境を整備していく義務があると思っています。
生成AIへの研究が盛り上がっていると思うが、メタバースやWeb3への投資は継続するのか教えて欲しい。
メタバースとWeb3への投資は継続します。特にメタバースに関しては、大阪・関西万博バーチャル会場の実現に向けてNTTドコモ・NTTコノキューがお客様へ新しい体験を提供していくことが義務だと思っていますので、しっかり強化していきたいと思います。
Web3に関しては今年度から来年度にかけて、順次プラットフォームを整備してまいりますので継続してまいります。
AIに関しては、海外では例えば製薬会社様や風力発電会社様、化粧品会社様などのお客様へ既に提供しています。国内でもNTTデータが中心になって、お客様とPoC環境をさらに拡張しようとしています。
また2023年10月末から11月頭に、NTT独自で開発を進めているLLMについて発表予定です。法人向けサービスを想定し、今まで私たちが提供してきた音声認識や画像処理なども含めたAIに、LLM機能を加えて強化したサービスを開始したいと思っていますので、是非期待していてください。
ドコモの通信品質問題に関連して、利用者数や業績への影響があるのか教えて欲しい。
まずNTTドコモの通信品質に関してはご迷惑をおかけして誠に申し訳なく思っています。先般NTTドコモから発表しましたが、特に東京都内の4エリア(新宿・渋谷・池袋・新橋)に関しては、渋谷駅のホームを除いておおむね改善いたしました。9月には渋谷駅のホームもアンテナ設置ができる目途が立っていますので、改善してくると思っています。
今回の通信品質の問題は、アフターコロナのタイミングになって映像視聴など通信の使い方がこれまでと変わっており、そこに対しての予測が少し甘かったというところもあろうかと思います。
今、東京都内の重点エリア以外の全国のポイントでもモニタリングしながら、お客様のリクエストやお問い合わせを受けてしっかりお応えするような、カスタマージャーニーに沿った形での品質を高めていく活動をしています。
NTTドコモの最大の売りは高い回線品質だと思っていますので、この売りをしっかりキープできるような対応をこれからも継続してやってまいりたいと思いますし、投資していきたいと思っています。
また本件による業績への影響はほとんどないと思っています。NTTドコモへの激励をいただいたと思っていますので、しっかり頑張ってまいりたいと思います。
以上
NTTグループ中期経営戦略
2023年5月、「NTTは挑戦し続けます。新たな価値創造と地球のサステナビリティのために。」を基本的な考え方とした中期経営戦略を発表しました。
NTTとともに未来を考えるWEBメディアです。