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2024年5月10日

社長記者会見

2023年度第4四半期決算について

島田代表取締役社長
(同席)
中村執行役員財務部門長
服部執行役員経営企画部門長

社長記者会見の写真

(島田社長)

それでは、2023年度の決算および2024年度の業績予想について、ご説明申し上げます。

まず、4ページをご覧ください。2023年度連結決算の状況は、対前年増収増益、営業収益、営業利益、当期利益、いずれも過去最高を更新しています。
 営業収益は、エネットにおける電気料収入の減が約2,600億円ございましたが、総合ICT事業セグメントやグローバル・ソリューション事業セグメントの増収などにより、対前年2,384億円増収の13兆3,746億円となりました。なお、この増収のうち為替の影響は約2,000億円です。
 営業利益は、災害復旧やセキュリティ関連費用の増などによる減益はあるものの、コスト削減に加え、ノンコア資産のスリム化を通じた増益などにより、対前年939億円増益の1兆9,229億円となりました。
 当期利益は、営業利益の増益などにより、対前年664億円増益の1兆2,795億円です。EBITDAは、営業利益の増益などにより対前年1,279億円増の3兆4,181億円です。EPSは、2023年度を最終年度とする前中期財務目標である14.8円を達成し、15.1円です。

続いて、5ページをご覧ください。セグメント別の収益、利益についてです。まず総合ICT事業セグメントですが、法人事業における統合ソリューションの拡大、組織再編により創出されたアセット効果などに加え、スマートライフ事業における金融・決済を中心とした成長などにより、対前年増収増益となっています。
 地域通信事業セグメントですが、災害復旧やセキュリティ関連費用増などによる減益はあるものの、コスト削減に加えノンコア資産のスリム化を通じた増益などにより、対前年増収増益となっています。
 グローバル・ソリューション事業セグメントです。日本における公共、金融、法人分野の増収に加え、為替の影響などにより対前年増収となっています。増収に伴う増益などにより、対前年増益となっています。
 その他(不動産、エネルギー等)のセグメントですが、NTTアノードエナジーにおいて、電力調達価格高騰を踏まえて電力調達量を抑制したことなどに伴う電気料収入減などにより対前年減収となっています。利益についても、前年度は電力調達価格が低く、利益が出ておりましたが、2023年度は電力調達価格が上昇した影響などにより、対前年減益となっています。

7ページをご覧ください。2024年度の業績予想です。営業収益は対前年増収、営業利益、当期利益は対前年減益です。営業収益は為替影響による減が約1,300億円マイナスに効いておりますが、総合ICT事業セグメントやグローバル・ソリューション事業セグメントの増収などにより、過去最高を目指したいと考えています。
 営業利益およびEBITDAは対前年減益の計画になっていますが、2023年度のノンコア資産のスリム化などの影響といった一過性の要因を除いたベースでは増益の計画となっています。
 2024年度は、2027年度の新中期経営戦略で掲げた目標達成に向けた各種施策を展開していく年と考えており、ベース利益は増益しつつ、中期的な利益拡大に向けた施策を積極的に実施してまいりたいと考えております。

8ページをご覧ください。セグメント別の収益、利益については、総合ICT事業セグメントにおいて引き続き統合ソリューション拡大などによる法人事業の増により、対前年増収増益を計画しています。
 地域通信事業セグメントは、2023年度のノンコア資産スリム化の反動、災害復旧費用などの増に加え、固定音声関連収入、IP系・パケット通信収入の減収が継続することなどにより対前年減収減益ですが、事業の選択と集中やオペレーションの効率化などのコスト削減策などを通じて、2025年度の対前年増益への反転と中期的な成長に向けて取り組んでまいりたいと考えています。
 グローバル・ソリューション事業セグメントは引き続きデジタル化需要の取り込みなどによる増収により、対前年増収増益を計画しています。
 その他(不動産、エネルギー等)セグメントです。NTTアーバンソリューションズにおいて分譲住宅販売の拡大に伴う増収などがありますが、前年度物件売却益の反動減があり、対前年増収減益となっております。

9ページをご覧ください。現状の利益水準の考え方と中期目標達成に向けた取り組みについてご説明いたします。2023年度を最終年度とする前中期経営戦略の目標達成に向けて、これまでNTTグループ全体で積極的なノンコア資産のスリム化を進めてまいりました。2023年度はその効果として大幅な増益を実現し、EPSの目標値を達成することができました。
 2024年度は一旦減益となりますが、ノンコア資産スリム化などの特殊要因を除いたベースでは増益しつつ、2027年度の中期目標達成に向けた施策を積極的に展開していく考えです。具体的には積極的な成長分野への投資によるリターンの最大化、ドコモやデータの統合シナジーなどを生かした国内外の法人ビジネス強化、抜本的なグループ全体のコスト構造改革に取り組むことで、2027年度におけるEBITDA対2022年度比20%増の達成を目指してまいります。

続いて10ページをご覧ください。今回の決算で1点補足いたします。ご覧のとおりバランスシートの金額が増加しておりますが、その多くが中期経営戦略で成長分野と位置付けている金融事業、データセンター事業の事業拡大に伴うものです。これらの事業は既存事業の中心である通信事業と異なる事業、財務特性を持ちますので、区分してお示しさせていただき、ステークホルダーの皆様に企業価値や信用力の評価に役立てていただく仕組みといたしました。
 なお、データセンター事業については、資産、負債に加え、EBITDAや営業収益、営業利益についても2023年度から決算補足資料で開示をしています。金融事業については、新規の連結子会社のマネックス証券とオリックスクレジットのバランスシートについて2024年度末を目途に開示を充実してまいります。

11ページをご覧ください。株主還元についてご説明いたします。本日の取締役会において、2023年度の期末配当について、当初の配当予想から0.1円増の1株当たり2.6円とすること、2024年度の配当予想については、年間配当予想の対前年0.1円増の5.2円とすることを決議しています。これにより2011年度から14期連続の増配を予定しております。

12ページをご覧ください。次に、トピックスについてご説明いたします。
 まず、NTTドコモ・グローバルの設立についてご説明いたします。NTTドコモグループにおいてグローバル事業を統括し事業横断で統合的かつ機動的に事業を推進するため、新会社を7月に設置、設立いたします。グループ会社のうち、NTTデジタルおよびOREX SAIなどを移管し、Web3などアプリケーションサービスの海外展開や、海外通信キャリアに向けたOpen RAN導入支援を軸に事業展開を進め、世界中のお客様にとってより豊かな生活、社会の実現を目指してまいります。

14ページをご覧ください。次に、NTTプレシジョンメディシンの設立についてご説明いたします。「プレシジョンメディシン」はよく精密医療などと言われますが、パーソナナライズされた最適な予防や医療を提供するという医療の概念です。この実現には、個人に紐づいた臨床データや検査データなどのメディカルヘルスケアデータを統合的に収集、分析、活用していく必要があるため、NTTグループ内の各社が保有するアセットやリソースを統合し、データの生成から活用までをワンストップで実現するNTTプレシジョンメディシン株式会社を発足させていただくことにしました。ステークホルダーの皆様と連携して、本事業に腰を据えて挑戦してまいりたいと考えています。

15ページをご覧ください。CCXOおよび、CAIOの任命についてご説明いたします。CXの強化、カスタマーエクスペリエンスの強化に向けて、新たにCCXO(Chief Customer Experience Officer)をNTTグループ主要会社で任命いたします。またあわせて、顧客エンゲージメント指標を役員の業績連動報酬に反映していきます。
 さらにAIファーストを推進するため、持株会社で新たにCAIO(Chief Artificial Intelligence Officer)を2名任命いたします。

16ページをご覧ください。2040年ネットゼロの実現に向けご説明します。Scope1、2の2023年度実績は242万トンになり計画を上回るペースで順調に進捗しています。加えて、2040年のネットゼロを既に新中期経営戦略で発表いたしましたが、その中間目標として2030年度にScope1、2、3を合わせ40%削減となる1,700万トンを目指してまいります。

17ページをご覧ください。次にIOWNの海外ビジネスの展開に向けた取り組みについてご説明いたします。Upgrade2024をサンフランシスコで開催いたしました。グローバルにおけるIOWNなどの社会実装に向け、APNを活用した分散型のデータセンターやtsuzumiなどの研究開発成果、製品開発のご提案を実施し、国内外の多数メディアの皆様にも掲載いただきました。

18ページをご覧ください。次に株主数の状況についてご説明いたします。3月末の株主数について、従来微増傾向だったところ、株式分割発表以降継続して増加を続け、1年前に比べて倍増し186万人となっています。40代以下の層の割合が約4倍となるなど年齢構成も多様化しています。

19ページをご覧ください。新中期経営戦略について2月以降の取り組みの進捗状況は記載のとおりです。私からの説明は以上です。

質疑応答

  • NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTデータグループの新社長に対する評価と、3名の新社長に課せられている役割、期待することを教えて欲しい。

    まずかなり若返ることになります。NTTドコモの前田氏は54歳、NTTコミュニケーションズの小島氏、それからNTTデータグループの佐々木氏は58歳ということで、いずれも50代の社長です。新しい世代に次の戦略を構築していってもらいたいと考えています。
    その中でまず、NTTドコモの前田氏はスマートライフ事業を牽引してきてこられましたが、まさにこれからスマートライフやグローバルといった、新たな事業分野に向けたNTTドコモの挑戦が続いてまいります。その意味で、今まで新しい事業を牽引してきた前田氏がそれをさらに飛躍していくことは非常に重要だと思っています。
    NTTコミュニケーションズの小島氏は、長く法人営業に携わってこられ、近年は、統合ソリューション、特にモバイルと一体となったソリューション、加えてセキュリティ等もあわせて積極的に推進し、実績を残しています。相応しい人が社長になられるということに対して期待しています。
    NTTデータグループの佐々木氏は、既に国内のNTTデータの社長であり、今回の決算でも国内のNTTデータの成長は素晴らしく、全ての分野で伸びています。NTT DATA, Inc.に関しては、CEOがAbhijit Dubey氏になりますが、佐々木氏も非常に懇意にしておりますので、全体を牽引していくに相応しい方だと思っています。3名とも私から非常に大きな期待を寄せているということです。

  • NTT法の議論で、他社がよく言う特別な資産や外資規制、ユニバーサルサービスの議論について、島田社長はどう捉えているのか教えて欲しい。特に、ソフトバンクの宮川社長がユニバーサルサービスの今後のあり方について、「携帯通信回線ではなくて光ファイバーをユニバーサルにすべきだとずっと言っている」と言っていたが、どう捉えているのか教えて欲しい。

    NTT法の議論では総務省の中でワーキングが3つございますが、一番重要なのはユニバーサルサービスをどうしていくかということだと思っています。NTTとしては議論を促進するために、コスト負担について、モバイルや光で提供した場合にコストがどれぐらいになるかという規模感をご提示しています。例えば光回線で全部カバーする場合は約770億円の赤字、モバイルも利用しhomeでんわなども使っていけば約30億円の赤字といったいくつかの選択肢をお示ししています。
    こうした基本的なデータをご覧になっていただき、専門家の方々に経済合理性と便益の両面で整理いただくことが重要だと思っています。
    試算についてはもちろんいくつかの前提条件をつけていますので、ワーキンググループの中で、算定の根拠について説明してほしいと指示がありました。これは既にご説明させていただいておりますので、これから具体的に議論が進展していくと思っていますし、経済的バックデータを考えていただきながら、国民にとって何が相応しいのかという議論が進捗することがあるべき姿だと思っています。
    光回線は1つの選択肢ですが、その場合コストが非常にかかってくるので、NTTとしては組み合わせか、モバイルを多く利用した形の整理をしていった方が、経済合理性が高いと考えています。
    皆さんもほとんどモバイルで仕事されていると思いますし、国民の皆さんも大半の方がモバイルで毎日通話をされたり、メールをされたりしているというのが日常でございますので、こうした利用実態も踏まえ検討が進められることが望ましいと思っています。ユニバーサルサービスの議論が決まった上で他の公正競争や外資規制を考えていくべきだと思っています。
    ただ、外資規制について申し上げると、それぞれの立場の方々がそれぞれ自分のところはあまり変えたくないというスタンスで保守的な議論が進んでいるように見えます。何を日本国として守るべきなのか、軸がしっかりぶれないように議論を進めてもらいたいと考えています。ずっと保守的に物事を考えていると何も世の中の変化は生じないと思いますので、どうあるべきかという議論をするべきだと思います。
    公正競争に関して言えば、基本的には電気通信事業法で内容については確立されておりますので、NTTとしては粛々と対応してまいりたいと思っていますし、携帯事業者に対してはNTT東日本、NTT西日本の光ファイバーについて、提供しているエリアはもちろん、提供されていないエリアでもご要望があれば設置するようにしておりますので、引き続き対応してまいりたいと思っています。

  • 澤田会長の代表権が外れるようだが、その狙いと意図を教えて欲しい。

    2018年に、当時の澤田社長が前の中期経営戦略を作りましたが、2023年度をもってメインの指標だったEPSも達成でき、1つの区切りを迎えました。このたび本人から代表権を降りたいといお話があり、指名委員会、取締役会の議論を経て決定しました。

  • NTTグループ内はNTTデータグループに海外事業がまとまっている認識だが、NTTドコモ・グローバルとNTTデータグループとの連携・シナジーといったことを視野に入れているのか、それともNTTドコモ・グローバルはコンシューマ向けのグローバル事業としてNTTデータグループとは別に成長を求めていくのか、グループフォーメーションの考え方を教えて欲しい。

    NTTドコモ・グローバルを作る決断した背景は、NTT DATA, Inc.ではBtoBのビジネス展開をしている中で、そこにコンシューマ系のビジネスを新たに展開していこうとしても求められる人材リソースも全く異なるので、コンシューマ系のビジネスで国内でも頑張ってきたNTTドコモにてBtoC、BtoBtoCのビジネス展開がうまくできないかと前から模索していました。
    Web3のビジネスをいよいよ立ち上げていくというタイミングになり、BtoCビジネスをさらに拡張できればという思いがあります。

  • NTTドコモの社長人事について、前田氏は初めて生え抜きではない、電電公社出身ではない社長ということだが、この意味合いについて教えて欲しい。

    中途採用やプロパー採用ということを今は考えていません。それはNTTドコモの井伊社長も全く同じ考えでした。持株会社の中でも例えばグローバルビジネス部門執行役員の勝山氏は元NTTにいましたが一度外部に出て活躍し戻ってくるなど、NTTグループの中での中途採用も非常に増えてきていて、採用している中の4割近くを占めています。
    したがって、当然これからも中途採用の社員がトップや幹部になることは十分に想定されます。その意味で前田氏がこれからのNTTドコモを引っ張っていくというのは、1つの大きな象徴的な人事になったと思います。

  • NTTグループでは海外展開にこれまで苦戦してきたという歴史があると思うが、今このタイミングで改めて形を作って海外に出ていく意義や背景、また今回新会社という形態にした狙いがあれば教えて欲しい。

    基本的には仕組みづくりを新たにしないといけないということだと思います。もしNTT DATA, Inc.のリソースで対応できる分野だったなら当該のリソースを使った方が早いということになりますが、コンシューマ分野では違った人材を集めて展開をする必要があります。
    例えば、東南アジアのペイメントのビジネスは、NTT DATA, Inc.ではなく日本のNTTデータが手掛けています。それぞれの事業分野や得意分野、最終的には人のスキルなど、求められているケイパビリティ異なるので、別の事業体を作ってやっていった方が効率的だと判断しています。
    将来的に事業が大きくなって重複する取り組みが出てきたときには、また整理をしていくということだと思いますので、それぞれのチームがチャレンジして、グローバルビジネスを伸ばしてもらえることを期待したいと思います。

  • 先日施行された改正NTT法について、研究成果の公開義務の撤廃、外国人役員の登用など現時点で新たな取り組みや現場への影響など、状況を教えて欲しい。特に電信電話とついた正式社名の変更が可能となるが、その想いも伺いたい。

    まず研究開発の開示義務の撤廃は非常にありがたく思っています。これをきっかけにパートナーリングが一段と進むことを期待しておりますし、そういう対応ができてくるだろうと思っています。
    それから、外国人の役員について、今年の総会には議案の中には入っておりません。役員の選任プロセスは結構時間がかかります。例えば、今回の社外役員を選任するのにも、去年の夏以降から色々なプロセスを経て現時点に至っています。来年に向けてしっかり人選をしてまいりたいと思います。
    それから役員の認可については、もう既に施行されましたので、今年の株主総会では最後に、「総務大臣の認可が必要になります」ということを言わないことになりますので、ありがたいなと思っています。
    最後に社名の変更について、今の段階では何とも申し上げられませんが、ブランドをどうしていくかということは非常に大きな課題ですのでしっかり考えてまいります。仮に変えるとすれば株主総会に付議しないといけませんので、来年ぐらいを目途に考えていきたいと思います。

  • 経済安全保障に関する重要機密の取り扱いを国が認めた人に限るセキュリティ・クリアランス制度を導入する法案が先ほど、参院で可決成立したが、制度への受け止めや御社への影響に関する見通し、現時点もしくは今後のご対応などを教えて欲しい。

    セキュリティ・クリアランスは元々しっかりとした制度設計をするべきだと主張してまいりました。例えば米国の政府や民間団体、アソシエーションのセキュリティの議論にNTTも参加していますが、現時点でそこで共有されていた色々な情報を日本国内には共有してはいけないことになっています。
    日米などでセキュリティ・クリアランスのルールが共有化され、同じように情報が共有できるような仕組みになれば期待が大きいと申し上げたいと思います。

  • 金融事業について、今NTTドコモが担当している分野が大きいと思うが、NTTグループとしてどのようなフォーメーションで取り組むのか、銀行をはじめとするほかの金融分野については具体的にどのような考えか教えて欲しい。

    証券や融資、保険でのアライアンスなどが着実に進んできています。金融分野に関しては、基本的にはNTTドコモで生業としてやっていくべきと思っています。もちろんそれを支えるシステムはNTTデータなど有力な能力を持っているNTTグループ企業がいますのでタッグを組んでいくことにはなりますが、お客様向かいはNTTドコモがやっていきます。
    金融事業をさらに拡大してまいりたいなと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

  • 来期の予想で営業収益がほぼ横ばいの一方で、営業利益がかなり下がっていると思うが要因を教えて欲しい。

    来期の業績予想について、まず営業収益は為替を円高に予想しているので、約1,300億円低くなっています。為替影響を除くと、約2,000億円を超える収益の伸びになります。為替の状況によって、不透明なところがあります。
    営業利益が約1,000億円下がっているのは、NTTは再開発可能な資産を順次NTT都市開発に移して再開発をしてきているのですが、NTT都市開発の方で開発対象外と判断した物件や、かつて保有していた無線中継所などの不要資産、NTTドコモとNTTコミュニケーションズを一体化したことによって資産効率を上げる観点で不要になってきている通信局舎の土地などを、順次建物を撤去したり除却したりという施策を進めてきたところ、2023年度で最終的な売却をしたことによる反動が出ているからです。
    当期利益は、1,795億円の減ですが、これはIIJ株式を売却した反動で出ており、このような一時的な前年度の変動要素の影響が出てマイナスになっているということです。それに加えてNTT東日本、NTT西日本は先々に向けて、老朽化設備に対しての対応や、コストをさらに改善していくための費用計上などにも2024年度は取り組んでいこうとしているので、一旦しゃがんで、おおきくしゃがむほどではないですが、そこからジャンプしようという計画の作りになっています。

  • インフレーションが進んでいく中で、本来ならば価格転嫁と賃上げの好循環というのが望ましいと思うが、通信料を値上げすると国民負担に直結するという業界として難しい部分もあるかと思う。今期一定の賃上げを決めたが、インフレーションが続く中、賃上げと価格転嫁についての考えを教えて欲しい。

    当然、賃上げもしていきます。環境としては、例えばNTT東日本、NTT西日本は固定電話も減少していますし、光回線も伸び悩むなど、現状環境は厳しくなっています。NTTドコモも競争環境の中にありますので、中々簡単には値上げするのは難しいと思っています。色々ご理解を得ながら、必要なタイミングでは視野には入れてまいりたいと思いますが、今の段階では値上げしようとは考えていないというところです。

  • 以上

NTTグループ中期経営戦略

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2023年5月、「NTTは挑戦し続けます。新たな価値創造と地球のサステナビリティのために。」を基本的な考え方とした中期経営戦略を発表しました。