NTTグループは、2030年度の目標として、私たちのサービス・技術などを提供することで削減可能な社会からの温室効果ガス排出量を、NTTグループ自身の排出量の10倍以上とする目標を設定しています。
これは、私たちが事業を通じて排出する温室効果ガスを抑制するとともに、サービス・技術などの提供によって社会全体からの排出量削減に貢献していくための目標です。
NTTグループ自身の温室効果ガス排出量(万t-CO2) 社会からの温室効果ガス排出削減貢献量
スマートフォンや光コラボレーションによる高速・大容量のネットワークの普及によって年々拡大している情報通信の活用は、通信のためのエネルギーを必要としています。しかし一方で、情報通信の活用は、社会の効率化やデジタル化によるモノの削減などによって、通信に必要なエネルギー消費を上回る環境負荷を低減し、社会全体の温室効果ガス排出量削減に貢献しています。
社会からの温室効果ガス排出削減貢献量は、ICTサービス等により得られる省エネの効果をCO2量で数値化しています。省エネ効果の数値化には、TTC(情報通信技術委員会)の標準「ICT製品・ネットワーク・サービスの環境影響評価手法(JT-L1410)」と、LCA日本フォーラムの「ICT(情報通信技術)事業の組織のLCA」研究会の算定方法を参考にしています。
ICTサービス等の導入により得られる省エネの効果としては、例えば、エネルギーマネジメントによる家庭や会社、工場などでのエネルギー消費削減、渋滞・運行情報解析による渋滞回避、交通ダイヤ効率化・最適化などによるエネルギー消費削減などがあります。
NTTグループ自身の温室効果ガス排出量には他の通信事業者やデータセンター事業者がサービスを展開するために必要な設備の排出分も含みます。
NTTグループは、2030年度の目標として、データセンターを含めた通信事業の通信量あたりの電力効率を、2013年度比で10倍以上※1に設定しています。電力は通信事業継続に不可欠であり、またNTTグループの温室効果ガス排出要因の9割以上を占めています。電力利用の効率を上げることは、事業継続リスクの回避と、気候変動の緩和の両面につながると考え、目標を設定しました。グリーン調達基準に基づく、省エネ性能の高い機器の導入や、ネットワーク構成の効率化を進めています。
また、2018年10月には、The Climate Groupが主催するエネルギー効率に関する国際イニシアティブEP100※2に電気通信事業者として初めて加盟しました。このような国際イニシアティブに参画することで、NTTグループの環境への取り組みを対外的に宣言し、国際的な環境問題への取り組み姿勢を示していきます。
通信事業の電力効率(2013年度を1とした場合の改善率)
1 通信事業の通信量当たりの電力効率は、東日本、西日本、コミュニケーションズ、ドコモ、データの5社の国内の事業を対象
2 事業のエネルギー効率を倍増させること(省エネ効率を50%改善等)を目標に掲げる企業が参加する国際イニシアティブ
NTTグループは、気候変動への適応に貢献するため、NTTグループ自身の適応、および社会の適応に向けた取り組みを進め、適応事例の普及・展開を図っています。
NTTグループでは、2030年度の目標として、NTTグループが排出する廃棄物のリサイクル率を99%以上に設定しています。
情報通信をはじめとするさまざまなサービスを提供し、事業を継続していくためには多くの資源が不可欠です。そのため、事業継続リスクの回避と、資源の循環の両面に資する目標として設定しました。
2021年度の廃棄物のリサイクル率は97.8%でした。99%以上の目標達成をめざし、引き続き3Rの推進に努めていきます。
なお、廃棄物のうち、撤去した通信設備については、2004年度以降、18年連続でゼロエミッション(廃棄物の最終処分率1%以下)を達成しています。
廃棄物のリサイクル率
廃棄物の最終処分率
NTTグループでは、生態系の保全にも貢献を進めていくため、貢献事例の普及・展開をめざし生態系に配慮した事業活動、および生態系保全に向けた貢献活動に取り組んでいます。
ICTは、例えば、書籍や音楽·映画などのデジタルコンテンツ化(脱物質化)により、書籍やCD·DVDそのものをなくすだけでなく、それら配送するためのエネルギー消費が低減できるなどの物や人の移動を代替する効果(移動代替)や、生活や仕事の効率化などを通じて、暮らしや社会の環境負荷低減に貢献しています。
NTTグループでは、2016年度までThe GREEN VISION 2020のもと推進していたGreen by ICTの考え方では、これら全ての効果(脱物質化、移動代替、効率化)について、削減可能な環境負荷量をCO2量に換算し公表してきました。
環境目標においては、社会からの温室効果ガス排出削減貢献量の目標設定·実績管理の範囲を、私たちのサービス·技術などを提供することで得られる「省エネルギーの効果」分についてCO2量換算値で設定·管理しています。
これは、環境エネルギービジョンで述べているように、さまざまな環境課題の解決に貢献していくにあたり、気候変動に係るCO2量だけで環境貢献を測るだけではなく、さまざまな分野での環境貢献をより分かりやすく測り、またご紹介していきたいと考えたためです。例えば、脱物資化においては、紙などの資源の削減量についてはCO2量に換算せず、紙の削減量そのものを提示していきます。
省エネ効果の例
reen by ICT効果と省エネ効果
2015年度までと同じGreen by ICTの効果全体について算定した結果(左:試算値)と、「省エネルギー効果」分についてのみを算定した結果(右)を比較しています。
算定はこれまでと同様に、TTC(情報通信技術委員会)の標準「ICT製品、ネットワーク、サービスの環境影響評価手法(JT-L1410)」を参考にしています。
TTC標準JT-L1410では「ICTが達成する環境負荷削減」と「ICTが引き起す環境負荷」を定量化する方法を標準化しており、情報通信の利用に必要となるエネルギー増加分も含めて、環境負荷低減効果を算定しています。
TTC標準JT-L1410では、ICT製品、ネットワーク、サービスに関連する活動項目として、以下の8つの項目を挙げています。
活動項目 | 対象とする内容 | |
---|---|---|
1 | ICT機器利用 | ICT機器の製造・使用・廃棄のための資源・エネルギー |
2 | NWインフラ利用 | NWインフラの製造・使用・廃棄のための資源・エネルギー |
3 | ソフトウェア利用 | ソフトウェアの製造・使用・廃棄のための資源・エネルギー |
4 | 人移動 | 人の移動に必要な資材・エネルギー |
5 | 物移動 | 物の輸送に必要な資材・エネルギー |
6 | 材料・エネルギー消費 | 製品・システムに入出力される資材・エネルギー |
7 | 物保管 | 物の保管に必要な資材・エネルギー |
8 | 人執務 | 人がオフィス等で執務を行うのに必要な資材、エネルギー |
これらの活動項目において、これまでは脱物質化、移動代替、効率化という効果を全て考慮していましたが、省エネ効果の算定にあたっては、主に移動代替、効率化によって削減できるエネルギーについて算定を行っています。
移動代替においては、自家用車の利用減少や配送の効率化などを算定対象とし、公共交通機関の利用機会減少による効果は、算定対象外としています。