検索パネルを開く 検索パネルを閉じる メニューを開く メニューを閉じる

2018年8月31日

増加する訪日外国人に
快適な旅を提供するために

近年、日本には数多くの外国人観光客が訪れており、2018年1月の政府発表によれば、2020年には4000万人を超える見込みとなっています。訪日する外国人観光客にとって、快適な旅になるように、NTTでは最先端テクノロジーを活用した様々な取り組みを実施しています。

人の流れを解析する技術

2020年には、想定を超す人々が駅や競技場に集結することが予想されます。もちろん、来日者、帰国者が入り混じる国際ターミナル空港も同様。多くの人が集まる場所では、大きな事故につながる混雑が発生する可能性があり、人々が安全かつ快適に移動できるよう誘導することが求められています。

事故を未然に防ぐためには、エリア全体の人の流れをリアルタイムに把握し、複雑な要因で発生する混雑を事前に予測する必要があり、適切な対策を講じたうえでスマートに誘導することが求められます。NTTでは、このような"人流"の最適化に向けた取り組みを行っています。

日本の玄関口、国際空港における取組み

2017年8月より、空の玄関口である東京国際空港国際線旅客ターミナルビルで、"人流誘導"の公開実証実験を開始しました。カメラ画像から"人流"を自動計測し、混雑状況の推定結果に応じて自動的に表示コンテンツを変更してプロジェクタやデジタルサイネージなどで提示する「ICTによる情報ユニバーサルデザイン」の実現をサポート。リアルタイムに収集したデータに加え、空港施設運用スケジュールも活用する仕組みを取り入れて混雑状況をリアルタイムに推定・可視化することで混雑平準化を図り、空港を利用するお客さまの満足度向上を目指しています。

画像:東京国際空港国際線旅客ターミナルの出国審査口の写真。 画像認識による人流計測技術を用いた動的サインによる人流誘導(TIAT 3F 出国審査口)

もうひとつの日本の玄関口である成田国際空港では、2018年9月に、空港ターミナル内で利用可能な国内空港初の高精度屋内ナビゲーションアプリ「NariNAVI(ナリナビ)」のサービスが開始されました。

本アプリでは、屋内測位技術として「地磁気測位」を採用しました。これにより、GPS電波の届かない空港ターミナル内においても、利用者はスマートフォンの地図上でリアルタイムに、自分の現在位置を把握することが可能になります。

また地図表示にはNTTの地図基盤技術を活用し、通常の2Dの地図に加え、複数のフロアにまたがる複雑な空港ターミナル内を立体的に表現する「2.5D地図」を実現、利用者にとって直感的でわかりやすい地図により、円滑な移動を支援します。

2017年10月よりサービス開始されている次世代双方向型デジタルサイネージ「infotouch(インフォタッチ)」との連携によるルート検索結果のスマホへの持ち出し機能や、多言語対応、マイフライト機能による搭乗開始の通知なども実現し、訪日外国人はじめ成田空港を訪れる多くの方が、ターミナルの中で迷うことなく快適に過ごしていただくことをサポートします。

画像:高精度屋内ナビゲーションアプリ「NariNAVI(ナリナビ)」のイメージ画像。 「NariNAVI(ナリナビ)」のイメージ

鉄道会社との新たな実証実験

多くの観光客が利用する交通機関の最適化を目的とした取り組みも始まっています。近畿日本鉄道株式会社とNTTは、複数のAIを組み合わせた訪日外国人向け観光サービスの商用化に向けた実証実験を開始。言語に依存しない、直感的操作による視覚的案内が可能なスマートフォン向けアプリの開発を進めています。

近鉄奈良駅にWi-Fi環境を構築し、対話AI機能「チャットボット」と画像認識AI機能「かざして案内®」を組み合わせた「マルチモーダル・エージェントAI」を外国人観光客に提供。利用頻度や満足度、ICT環境の快適度数を分析し、新たな観光案内サービスの実現を目指します。

競技会場における人流解析技術の応用

国際的なスポーツ大会が開催される競技会場においても、NTTの人流解析の技術とパートナー企業の技術が応用された実証実験が実施されました。2020年の競技会場となる「さいたまスーパーアリーナ」と周辺地域において、観客をスムーズに誘導する「移動最適化システム」実証実験を実施。

カメラや携帯電話の位置情報を使い、混雑状況を解析・予測するシステムの評価を行いました。

バリア情報の収集

外国人観光客の中には、障がいをお持ちの方もいらっしゃいます。あらゆる人がバリアを感じない旅行を楽しんでいただくために、2016年4月よりNTTでは自治体や企業と連携しながら、日本で開催されるメガ・スポーツイベントの開催地となる競技会場から最寄駅までのバリア情報の収集・地図データ化に努めてきました。ボランティアが参加し、街を歩きながら道路の傾斜や段差、ユニバーサルトイレの設備や位置などを調査。2018年8月時点では、13,600件のバリア情報をWEB上の地図「ジャパンウォークガイド」に集約・公開しています。

このバリア情報の収集では、NTTのバリアフリー情報技術「MaPiece®」が活用されています。「MaPiece®」は、専門的な知識がない人でも、スマートフォンを持って歩くだけで路面情報の収集が可能な技術。初めて参加するボランティアが無理なく調査ができる環境を整えています。

  • 画像:バリアフリー情報収集技術「MaPiece®」を表示するタブレットと操作する手の写真。 バリアフリー情報収集技術「MaPiece®」を使った情報収集

  • 画像:屋外の一般道。車いすで数センチの段差を乗り越えようとする様子の写真。 車いすの通行には2cmの段差が通行の支障となります

交通機関へのアプローチ

公共交通機関の混雑やレンタカーを利用する外国人観光客の増加なども予測して、都市交通のスマート化も進めています。観光客や車が多く集まる都市部では、ビッグデータ解析やスマートナビゲーション技術を応用して、人や車の流れを最適化。AIを活用した渋滞予想・信号制御の研究開発に取り組み、実証実験を重ねながらスマートシティの実現に取り組んでいます。

また、バスなどの公共交通機関にウェアラブルセンサやセンシング技術、AIを活用し、安全運転支援や自動運転バス走行支援など、交通事故防止につなげる取り組みを進めています。

すべての観光客が快適に旅を楽しめる、そして日本に来て良かったと思えるような環境づくりを目指し、NTTはこれからも最先端技術の活用法を提案していきます。