検索パネルを開く 検索パネルを閉じる メニューを開く メニューを閉じる

2023年12月27日

【レポート】「NTT R&D FORUM 2023-IOWN ACCELERATION」で発表された最新成果

日本電信電話株式会社(以下、NTT)は、2023年11月14日(火)~17日(金)にわたって「NTT R&D FORUM 2023 - IOWN ACCELERATION」を開催しました。本年度は、今年3月にサービスを開始したIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)の具体的なサービス・システムや、生成AIのNTT版AI技術を中心に展示しました。今回は「NTT R&D FORUM 2023 - IOWN ACCELERATION」での基調講演や前回の速報レポートでご紹介できなかった注目の展示を通して、NTTグループR&Dの最新成果をご紹介します。

<全2回の第2回/第1回へ>

1) NTT R&D FORUM 2023-IOWN ACCELERATION概要

IOWNのサービス開始後はじめての「NTT R&D FORUM 2023 - IOWN ACCELERATION」。さらに加速するIOWNの最新研究開発について、NTT幹部による講演や約100の展示などを紹介しました。展示においては技術の成熟度に応じた3つのタイムライン(IOWN Now、Evolution、Future)ごとのコーナーに加え、最近ホットな大規模言語モデル(LLM)を特集コーナー(IOWN Pick Up)として展示しました。

2) 基調講演

画像:2) 基調講演

「NTT R&D FORUM 2023 - IOWN ACCELERATION」の基調講演でNTT代表取締役社長 社長執行役員 島田 明は「挑む。人と地球のために。」 をテーマとし、人と地球のために挑戦し続けるNTT R&Dの取組みを語りました。

基調講演で島田は「現代社会が抱える労働力不足の問題、環境エネルギー問題、そして医療費増大の問題と求められるウェルビーイングな社会の実現、これらの課題について、大容量で低遅延、低消費電力を実現する次世代コミュニケーション基盤であるIOWNと、世界トップクラスの言語処理能力を持つ小型で省電力な大規模言語モデル(LMM)「tsuzumi」を中心とし解決していきたいと考えています」と講演を始めました。
 そして社会が抱えている各問題に対する対応策を順にこう述べました。
 「まずは労働力不足について。昨今の建設業界では人手不足、長時間労働、技術者の高齢化などが深刻化しています。また2024年度からは時間外労働の上限規制が適用され、作業の効率化、雇用の多様化などの働き方改革が求められています。それに対してNTTでは、株式会社EARTHBRAIN様、株式会社ジザイエ様、株式会社竹中工務店様との協業により、効率的かつ安全な工事を実施するために建設機械の遠隔操作を推進する営みを行っています。
 次に環境エネルギー問題への対応です。データドリブン社会では急増するデータを処理するために膨大な電力が必要となります。それに対してNTTは、APNを使った分散型のデータセンタによって、この課題を解決していこうと考えています。APNを導入したデータセンタならば、通信遅延の影響を受けないため、従来は検討されなかった郊外にも設置することができます。コストや消費電力も抑えられるため、データドリブン社会への貢献とカーボンニュートラルの両立が可能となります。

続いて高齢化による医療費増大への対応とウェルビーイングな社会の実現に向けてです。医療分野についての課題ですが、日本では電子カルテの導入は進んでおりますけれども、例えば同じ症状でもカルテの書き方は病院、ドクターにより異なりますので、これまではカルテデータを集積して分析活用することが非常に難しい状況でした。これに対し「tsuzumi」であれば柔軟にカルテデータを学習できるため、ドクターが記録した医療データを読解し、共通フォーマットに適切に配置して分析できる状態にすることができます。「tsuzumi」によって電子カルテデータが構造化され分析活用が進めば、例えば一人ひとりに適した効果的な治療が可能となり、社会全体の医療費の適正化にも繋がっていくと考えています」

島田は基調講演の中で、「人と地球のためにこれからもNTTは挑戦を続けていきたい」と締めくくりました。

3) 注目展示をご紹介

自転車レースを再現したバーチャル空間において、選手との共走を体験

画像:自転車レースを再現したバーチャル空間において、選手との共走を体験

広域な屋外環境の空間と時間の変化、振動をバーチャル世界に再現し、リアル世界の体験を再現する超高臨場メタバース空間「XRスポーツ空間」の構築を実現するメディア処理技術。
 デジタル技術を活用した新たなスポーツの形として、バーチャルスポーツやeスポーツが広まりつつありますが、リアル世界の体感を再現するまでにはいたっていないのが現状です。そこでリアル世界と同等、もしくはそれ以上の体験を与えるバーチャル世界の生成に向け研究開発を推進しています。
 会場では、宇都宮市で実際に行われたロードレースの映像から作り出された3次元空間を投影したスクリーンと自転車の実機を展示。自転車を漕ぐとスクリーンの風景が移ろい、さらにハンドルを切ることで風景も変化する様子が体験できました。
 将来的にはこの技術を利用し、遠隔地でのレースに、自宅に居ながら参加できるよう開発が進められます。

XR:クロスリアリティ(VR(仮想現実)、AR(拡張現実)などの技術)

空間をリアルタイムに計測し、別の場所に自由な視点で再現

画像:空間をリアルタイムに計測し、別の場所に自由な視点で再現

空間をリアルタイムに計測し、遠隔地で3D点群によって空間を再現する技術です。
 点群は手軽かつ正確に3D空間を計測することができるため、主にインフラ設備管理などの用途で使われてきましたが、リアルタイム化することによってエンターテインメントや監視用途など多彩なシーンでの活用が期待されています。例えばコンサートやスポーツ観戦などにおいて、リアルタイムで計測した空間を自分の好きな視点から自由に見ることが可能に。また空間内の三次元形状の時間的形状差分を把握することができるため、地表傾斜面の異常検知や、道路、建物内の異物検出といった、映像や写真では判別しづらい監視用途に活用できるようになります。
 会場の武蔵野市から遠く離れた横須賀の部屋で遊ぶ人物たちの様子を、会場のモニターで3D点群によってリアルタイム再現。コントローラーを使って3D空間内での視点を自由に動かすデモンストレーションが行われました。

その他の注目展示

NTT版大規模言語モデル「tsuzumi」やIOWN APN、究極のプライベート音空間を実現するPSZ(Personalized Sound Zone)技術、「人工光合成」技術などの注目展示については前回の速報レポートをご覧ください。

2023/11/13 更新
IOWN活用事例&NTT生成AI大規模言語モデルに注目!「NTT R&D FORUM 2023 - IOWN ACCELERATION」はこちら

4) IOWNが描く未来

画像:4) IOWNが描く未来

動き出した次世代コミュニケーション基盤・IOWNが持つ大きな可能性を「NTT R&D FORUM 2023-IOWN ACCELERATION」でご紹介しました。この技術をさらに加速させ、NTTは人のために、地球のために、持続可能な世界の実現に向けた挑戦を続けていきます。

なお、「NTT R&D FORUM 2023 - IOWN ACCELERATION」につきまして、その他展示を以下の記事でもご紹介していますのでぜひご覧ください。

画像:4) IOWNが描く未来

IOWN活用事例&NTT生成AI大規模言語モデルに注目!「NTT R&D FORUM 2023 - IOWN ACCELERATION」

5) 関連リンク

NTT R&D FORUM 2023 - IOWN ACCELERATION
https://www.rd.ntt/forum/2023/当該ページを別ウィンドウで開きます

IOWN活用事例&NTT生成AI大規模言語モデルに注目!「NTT R&D FORUM 2023 - IOWN ACCELERATION」
https://group.ntt/jp/magazine/blog/rd-forum2023/

NTT版大規模言語モデル「tsuzumi」
https://www.rd.ntt/research/LLM_tsuzumi.html当該ページを別ウィンドウで開きます

IOWN APNによる建設機械の遠隔操作
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/11/09/231109b.html

究極のプライベート音空間を実現するメディア処理技術
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/11/10/231110c.html

人工光合成技術
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/10/27/231027a.html

リアル世界の体感を再現するXRスポーツ空間を生成する技術を開発
~自転車競技レースを再現した超高臨場メタバース空間において、選手との"共走"体験を創出~
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/10/12/231012a.html

点群メタバース構築技術
https://www.rd.ntt/hil/category/arvr/metaverse/当該ページを別ウィンドウで開きます

<全2回の第1回はこちら